おれのおきゃくさま~異世界で幼女を保護したので光源氏計画を発動させる~
はじめての小説執筆&投稿です。
生暖かい目で見てやってください。よろしくお願いします。
「きつねのおきゃくさま」という童話のifストーリー
~もしきつねが異世界転移した不遇中年男性だったら~という
コンセプトだったつもりだが……どうしてこうなった!?
とりあえずあまんきみこ先生ごめんなさい。
むかし、むかし、あるところに異世界に転移した中年のおっさんがいました。
チート能力もなく大して役に立たないのでパーティーを追い出され、
人里離れた森で1人まったりスローライフを送っていました。
そんなおっさんが森を歩いていると、犬のような耳が生えた5~6歳くらいの
幼女に出会いました。ところどころ土で汚れていますが、整った顔立ちにぱっちり
とした愛くるしい目をしています。
ストライクゾーンが下に広いおっさんはがぶりとやろう(性的な意味で)と思い
ましたが、まだ幼いので考えました。
育ててから食べよう(性的な意味で)と。
将来ガチ美女になることほぼ確定の幼女を今のうちから育てていいカンジに
なったらおいしくいただくっ!これぞ『光源氏計画』!!
悠久より伝わる圧倒的策略っ!!!
などとバカなことを考えつつおっさんは話しかけました。
「やぁ、おじょうちゃん」
「こんにちは、にんげんのお兄ちゃん」
「お兄ちゃん……だと……?この娘が天使か!?」
おっさんは感動に打ち震えました。
そうとは知らず犬耳幼女は言いました。
「ねぇ、にんげんのお兄ちゃん。どこかに良いすみかない?あたしの住んでいる村
が獣人狩りにあって、わたしを逃がすためにみんなが……もう、住んでた村には
もどれないの」
1人歩いていた理由に衝撃を受けつつも、おっさんは心の中で――計画通り――
とにやり笑いました。
「そうか、それは大変だったね。なら、おれのうちに住むといいよ」
「ほんと!?お兄ちゃんって優しいね!!」
「優しい?べっ、別にあんたのために優しくしてんじゃないんだからねっ」
おっさんは中年男性のツンデレという誰トクなキモさを発揮しました。
でも、おっさんは異世界に来て初めて「優しい」なんて言われたので
少しテンションアゲアゲでした。
おっさんは、犬耳っ娘を、それはそれは優しくお世話しました。
そして、犬耳っ娘が「やさしいお兄ちゃん」というと頬を赤らめツンデレ
対応をしました。キモい。
犬耳っ娘はすくすくと美しく成長しました。
ある日、犬耳っ娘が遠くへ行きたいと言い出しました。
―もしかして、故郷の村に戻りたいのか?
おっさんはそぅっとストーキングしました。
犬耳っ娘が歩いていると、ぼろぼろの服を身にまとい傷だらけでやつれた
エルフの少女がやってきました。これはハーレムフラグ勃ったか!?
「ねぇ、獣人族のあなた、どこかに良い隠れ家はないかしら。つかまって
馬車で運ばれているところから命からがらにげだしてきたのよ」
「あるわ。にんげんのお兄ちゃんちよ。一緒にすんでいるの」
「人間?とんでもない!あいつらが私たちを捕まえて売り飛ばそうと
してたのよ!」
「ううん、にんげんのお兄ちゃんはとーっても親切なのよ!」
それをかげで聞いていたおっさんは感動のあまり涙目になりました。
そして「親切なお兄ちゃん」という言葉を500回もつぶやきました。
エルフの少女は信じていないようでしたが、疲労と空腹で今にも倒れそうな
状態では背に腹は代えられず、犬耳っ娘についていくことにしました。
さぁ、こうしてはいられない!おっさんは急いで家に帰ると
「お・も・て・な・し」と言いながらエルフっ娘をお迎えする準備を
しました。……何クリステルだよおっさん。
おっさんは、犬耳っ娘とエルフっ娘に、それはそれは親切でした。
そして2人が「親切なお兄ちゃん」の話をしているのを聞くと
テンション上がりすぎてかげでキョドっていました。
エルフっ娘もすくすくと美しく成長しました。
ある日、犬耳っ娘とエルフっ娘が遠くへ行きたいと言い出しました。
―もしかして、さらわれた仲間を探したいのか?
おっさんはそぅっとストーキングしました。
犬耳っ娘とエルフっ娘が歩いていると、メイド服を着て憔悴しきった
淫魔の少女がやってきました。
「あのぅ、あなたたち人間じゃないですよねぇ?どこかに隠れて暮らせるとこ
知りませんかぁ?領主さまのお屋敷から追手が来る前に隠れないと連れてかれて
しまうんですぅ」
「あるよ。にんげんのお兄ちゃんちだよ。あたしたち一緒にすんでるの」
「に、人間ですかぁ?とんでもないですぅ!きっとひどいことされますぅ!」
「ううん。お兄ちゃんはね、神様みたいなんだよ」
それをかげで聞いていたおっさんは、ほぼイキかけました。
淫魔の少女は半信半疑でしたが、ぶたれたりいじめられたりしなければそれでいい
と2人についていくことにしました。
そして、おっさんは、犬耳っ娘とエルフっ娘と淫魔の少女を、まさに
神様のように育てました。そして、3人が「神様みたいなお兄ちゃん」の話を
しているとおっさんは嬉しさと気恥ずかしさのあまりもはやイっちゃってました。
淫魔の少女もすくすくと美しく成長しました。
こうしておっさんと美少女ハーレムによるまったりスローライフが
はじまりました。
ところがぎっちょん!そもそも子育て経験のない中年独身こじらせキモ男性の
おっさん、しかも異世界で種族も違う少女の世話が一筋縄でいくわけが
ありません。
「にんげんのおとこのひとってここをちゅぱちゅぱするとぉ、気持ちいいん
ですよねぇ?わたしがご奉仕「やめなさいっ!!」」
「お兄ちゃん、ごめんなさい。エルフはお肉がダメなのです。お野菜や
果物しか食べられないのです」
(…エルフの完全菜食主義者設定って実際に世話する立場になると
メンドくせぇぇ!!)
なお、その後自力で大豆とにがりを見つけて豆腐を作り出し、レパートリーを
広げた模様。そして、
「お兄ちゃん、お股から血が出てきたの。おっぱいからは水が出てきたし…
わたし、病気なの?」
(女の子の日キマシタワー!…あれ、人であれば生理だけど犬ならば発情だよね。
獣人の場合はどっちなんだ?乳汁が出てるってことは偽妊娠?はっ、獣人って
子宮蓄膿症とかあるのか?昔飼ってた犬はそれで死んでしまったからな…
放っておくわけにはいかん、だれか知っている人を探さなければ!)
テンパったおっさんは、町の冒険者ギルドにいた獣人の女冒険者に詰め寄り
問いかけました。
「なぁ、獣人の女って生理が来たときどうするんだ?ていうか発情するのか?
おっぱいが出たときはどうやって対処してるんだ?子宮蓄膿症…あそこから
膿が出てくる病気になることはあるのか?あんたはなったことあるか?」
「死ねこの変態がっ!!」
おっさんはドン引きした獣人に半殺しにされたあげく憲兵さんに突き出され
ました。その後釈放されましたが、その町ではめでたく危険人物認定されて
女の人は目を合わせなくなり、小さい子は親におっさんが来たらすぐ逃げる
か隠れるように、としつけされるようになりました。
「心配のあまりちょっと人に聞き込みをしただけなのにこの対応とは…解せぬ」
おっさんはキモい上に残念な人でした。
それでも、おっさんと少女たちの暮らしは楽しく過ぎていきました。
しかし、そんな日々はずっと続くわけではありませんでした。
ある日、山から山賊たちがおりてきました。
「こりゃあ上玉の獣人にエルフに淫魔じゃねえか!3人まとめて売りゃあ
しばらく遊んで暮らせるぞ」
「いやいや、こんな上玉ただ売るだけだなんてもったいない!売り飛ばす前に
ちょっと楽しませてもらってもバチはあたるまい」
「だが処女だったらどうする?キズモノにしちまったら商品価値が下がっちまう」
「それを確かめるためにもちょっとばかし味見が必要だろう?」
「そりゃあ違いない」
山賊たちが下卑た笑いを浮かべつつ3人に迫るその時、
「いや、まだいるぞ。超絶イケメン☆お兄さんがいるぞ!」
おっさんが山賊たちの前に立ちふさがりました。
「話は聞かせてもらった!うら若き少女たちに欲情する変態ロリコン野郎
どもめっ、覚悟しろ!!」
おっさんは飛び掛かりました。が、くりかえしますがおっさんはチートも何も
ないただのおっさんです。10人以上いる山賊相手では勝負にすらならない、と
誰もが思いました。しかしおっさんは、斬られたら斬り返し、突かれたら
突き返し、殴られたら殴り返し、血みどろになりながら必死に戦いました。
がむしゃらに泥臭く、守るべきもののためにあがくその姿は、戦いに身を
おくものであれば誰もがそうありたい、と胸を打つような壮烈な戦いぶりでした。
そして、みな深手を負った山賊たちはとうとう逃げていきました。
全員の姿が見えなくなるのを確認したおっさんは、ばさりと倒れました。
「……みんな…無事で…よかった……。あぁ、おまえたちの…ウェディングドレス
姿が……見たかった…なぁ……」
誰もが息をのむほどに美しく育った、犬耳っ娘とエルフっ娘と淫魔の少女は、
森に小さなお墓を作りました。
そして、ちょっとキモいけど世界一優しい、親切な、神様みたいな、その上
勇敢なお兄ちゃんのために、涙を流しました。
その後、犬耳っ娘は『サンゾクスレイヤー』となり、慈悲もなく山賊を狩り
続け国中に名が轟く冒険者になったり、エルフっ娘はお兄ちゃんの死のショック
から闇堕ちし死霊術を極めたのち、愛しのお兄ちゃんを生き返らせたいがために
『お兄ちゃんゾンビ』を爆誕させてしまったり、淫魔の少女は立派なお墓を
作って弔ってあげたいと思い、国王の愛妾にまで上り詰め、森にマ○文明の
古代遺跡のようなお墓を建てたりしましたが、それはまた、べつのはなし。
とっぴんぱらりのぷう。
初めて小説を書ききって、3000字強の小説(のようなもの?)を
書くのがこんなに大変なのかと実感するとともに小説を書いている
諸先輩方への尊敬の念がわきまくりです!
なお、この小説は『光源氏計画』という素敵なパワーワードを
私に教えて下さった冴羽獠氏に捧げたいと思います。