みるみる見える
四日目
何時ものように水に触れたり、木々に触ったりしていた。
魔法を意識するようになってからはその気持ちはより一層前向きになれた。
二日目に岩を破壊出来たのが僕の中の革命になったんだと思う。
もっと理解を深めたい・・・
その探求心がなおのこと深くなった。
「クスクス、見て見て女の子みたいな男がいるよ?」
「クスクス、本当だ!女の子みたいな男がいる!きっとあれが今流行りの男の娘って書いて男の娘って奴だね!」
「凄いね!凄く可愛いけど変態だね!」
「そうだね!凄く可愛いけど超変態だね!」
最近、僕の近くをビクシーが飛ぶようになった。
いや、正確には僕の近くで遊ぶビクシーが見えるようになったというのが正解だろう。
しかも、僕が見えているのは気が付いているのに
わざと気付いてない降りをして
男の娘と言いにくる!!
ムカつく!
寝たフリをして近くに来たら捕まえてやろうと思ったけど、間一髪でかわされる!
ムカつくので対処法をナオミさんに聞いてみたが
「無理無理、あいつらはいたずら好きだから絶対に捕まらない距離で貴女をからかって遊ぶわよ!多少脅しても無駄無駄、それにアイツらは時間軸が私たちと違うのよ、もうなん百年って生きてるから娯楽に飢えてるの!」
「でも、あいつらムカつくこと言うんですよ!僕のことを男の娘!男の娘!って」
ふっ!と鼻で笑い
「大丈夫!貴女は立派な女の子よ!」
「違うわ!ボケ!!!」
はっ!思わず言ってしまった。
「ふっ!怒った顔も可愛いわ!」
ダメだこの大人なんとかしなきゃ!!
そして、今度は森を歩いていると
「おお、女の子じゃ!女の子が歩いておる」
「おお、こんな森の中を歩いとる!危ないというのに」
木の精がこんなことをヒソヒソと話していた。
まあ、ユニークスキル「魔法少女」を発動しているから
そう言われても仕方がない・・・
うんな訳あるかい!ムカつくわ!
「木の精たちよ!僕の名は亮と言います」
「女の子が喋った!」
「おお、女の子が喋ったぞ!」
イラッ!違う!
「木の精よ!私は男です、今ここの近くで修行している者のです」
「そんなヒラヒラした服をわざわざ着る男なんておるものか」
「これはその・・・スキルのせいで・・・」
「証拠を見せよ」
なにか・・・証拠は・・・
こうなれば仕方がない!スカートの中身を膝まで下ろし、スカート裾を掴み高らかに言い放った。
「これが証拠です!!」
一気にたくしあげた!
「おお!なんと立派な!」
「おお!なんと威圧的な男樹か!」
ざわめきが聴こえる、と言うかスースーする。
修行に来た筈なのになんでこんなことになっているのか・・・
ところが・・・
それ以来ピクシーたちのいたずらが治まった。
ピクシーたちの対応がガラリと変わり、色々なことを教えてくれた。この果物は人間でも食べれるとか、ここらのキノコは美味しいとか、温泉が沸いているとか・・・
おお!ピクシーたちの情報で一番有り難かった。
水で身体の汗を流すのが精一杯だったので、お湯に浸かれるのは有り難かった。
さっそく二人に相談してみた。
「ピクシーから聞いたのですが、ここら辺に温泉が有るみたいなんですよ!」
「温泉か!いいな!最近水以外で身体洗ってないしゆっくり浸かりたいな」
勇治さんはかなり喜んでいる。
「良いわね!ピクシーが教えてくれたならきっと良質な温泉よ!」
ナオミも凄く喜んでくれているようだ。
「一緒に入ろうぜ亮くん」
「一緒に入りましょ亮くん」
二人同時に同じことを言った。
「え?いや、え?」
思わず反応に困ってしまう。
「まてまて!ここは男同士で裸の親睦を深めるのが当たり前だろ?」
「待ちなさいよ!貴方と亮くんなんて獣の檻に生肉放り込むのと一緒じゃない!!」
え?なんでそうなるですか?
二人の不毛な言い争いが続く
「まてまて!なんでそうなる!そもそもなんで俺が男色の趣味が有ると決め付ける!お前の方がどうかしてるだろ?」
「女の子同士なら問題無いじゃない!ちょっと下に大き目の出っ張りがあるだけの立派な女の子よ!」
いや、あの、男なんですが・・・
「どうだかな~!お前は亮くんの追っかけやってたんだから適当な理由付けてあわよくば貞操を頂こうって腹だろ?この飢えた肉食女子が!」
いや、あの~ですね。
「いいえ!私とって亮くんは・・・そう!神なの!彼は神その物なのよ!そのような不埒な行いをするわけがないわ!」
「いやいやいや、お前が亮くんの裸を見て本当に神だと言えるのか?絶対に信用出来ない!どうせ、背中流そうとか言ってだな、その貧相な筋肉だらけの二つの大きくもないもの擦り付けて、ふふふっどうしたの?恥ずかしいの?あらあら、こんなにも大きくしちゃって・・・大丈夫よ、お姉さんが治めてあ・げ・る♥
とか、考えてんだろ!」
「ばばばばばばかなことを!そんなこと思うわけ無いじゃないか!そそそそそそそんなとこは絶対しない!神に誓う!決して間違いなど起こさない!」
この動揺振りに、二人して凄く冷たい視線を送ってしまった・・・
危険を感じて勇治さんと入ることにしました。
「いやー!久しぶりの風呂だな!」
本当に楽しそうに手拭いを肩に掛けて隠そうともしない・・・
「本当ですね!せめて暖かいシャワーでも良いと思ってましたが、まさか温泉に入れるだなんて!」
流石に僕は恥ずかしいので手拭いを腰に巻いて隠していた。
「あぁ?お前温泉の作法が分かってねぇらしいな!温泉に入る時は手拭いなんて巻いて入っちゃいけねぇーんだよ!取れ!そんなもん取っちまえ!」
そう言って僕の手拭いを奪おうとする!
「ちょっと!止めて下さい!僕こうゆうの嫌なんですよ!本当に勘弁して下さいよ!」
「へへへ!嫌がれば嫌がる程脱がしたくなるねえ!さっさとてめぇのお粗末な物を見せやがれ!」
手拭いが宙に舞う・・・
勇治さんが黙りこんだ・・・
「・・・なんて凶暴なものしてやがる」
そう言って手拭いを腰に巻き始めた。
それから、あまり喋ってくれなくなった・・・