鉄拳に怒りをぶつける
彼が私のためにだけ作ってくれたランチを食べた後、
ちゃんと洗い物をすませた私はテレビのスイッチを入れた。
「駄目だ。全然、面白くない。」
ニュースではポケモンGOが話題になっていた。
三重県出身の私としては、伊勢神宮の対応は凄くクールだと思い、
誇りに感じたけど、面白い番組がない。
「やーめた。」
私は、薄メイクを手早く済ませ、ラフな格好に着替えてから、
散歩がてら歩いてROUND1に向かった。
夏休みの日曜日とあって、混んでいた。
家族連れやカップルがやたら目につく。
おひとりさまは私だけか・・・・・・・・・・。
「くそ~。あいつのせいでこんな気分を味わう。
ぶん殴ってやりたい。」
私はゲーセンの格闘ゲームに100円を入れた。
もちろん鉄拳だ。
私が使うキャラは風間飛鳥と風間仁。
お似合いのカップルでしょ。
そう、私と彼みたい・・・・。
失礼、自慢になるが私は実際にある武道の黒帯で、
このゲームも100円で最後までクリアーする。
イメージトレーニングと時間つぶしとうさはらしにもってこいだ。
「いやっほ~。」
私は、ゲームになると頭は冴える。
精神集中である。
私はいつもより早く最後までクリアーした。
年寄りコンビと金色の風間準の顔が悔し気に見えた。
後ろで見ている観客からも拍手が舞い上がる。
「えへへへ。」
私は観客に会釈してから、次のゲームに向かった。