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大切なこと  作者: タスマニアン
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妄想

木曜日


 午前中はおじいちゃん教授による、材料力学と熱力学の講義を受けた。どちらの講義も日本語であり日本語でない言葉(捻れ係数やヤング率、熱伝統率や熱膨張など)を90分聞かなくてはいけないため、気づいたら机に突っ伏して寝ていた。

 起きたら講義は終わり、お昼の時間帯になっていたので準と俺は食堂に移動し、昼食を食べている。


 準はカレーで俺は豚骨ラーメンだ。

 俺はラーメンを食べながら、この後会う新垣凛について思考を巡らす。



 彼女はどんな気持ちで俺にお礼をしてくれるのだろう?

 少なくとも純粋に感謝の気持ちだけのお礼ではないことはわかる。



「だから迷惑かけっぱなしではもう嫌なんです......」


 彼女の言葉が頭をよぎる。

 きっと迷惑をかけてしまったという罪悪感が大きいのだろう。



 俺は少しも迷惑だなんて思ってないのに......。純粋に困っている人を助けたいという気持ちだけだったのに......なぜかお礼を強要させたような気持ちだな......あ、嘘、途中ゲスい下心ちょっと出ましたすいません



 これからとても綺麗な女性に会い、お礼をしてもらえるというのにどうしてもその考えがあり喜べず複雑な気持ちになってしまう。



 それにしてもお礼って何してくれるのだろう?



 俺がそんなことを考えていると準が食堂のテレビで流れているニュースを見てボソッと言った。



「うわ、新垣組ってヤクザが他の組のヤクザと撃ち合いになって二人死亡だって」


「新垣組......ヤクザ?」



~~~~~~~~~



「片桐さん、お待たせしました」


「あ、新垣さ......ん......?」



 そこにはスーツを身にまとった厳つい男の人が3人ほど立っていた。



「先日はどうも、うちのお嬢がお世話になったそうで」


「い.....いえいえ、お、お気になさらず」


「そういう訳にはいきません、組の掟で他人に迷惑をかけた場合自分の体に傷をつけるか、迷惑をかけた人を消して誰にも迷惑なんてかけなかったことにするんですわ」


「なにその掟......」


「というわけでお嬢を傷つける訳には行かないので、片桐さん、悪いけど、眠ってもらいます」



 そう言って懐から映画で見るような黒い拳銃を取りだし銃口を俺に向ける。



「え......」



パアァァン!



~~~~~~~~~




ガタガタガタガタガタガタガタ!



「うおっ! ど、どうした良?いきなり震えだして」


「い、いや、ちょ、ちょちょちょちょっとね」



 俺は冷静を装いラーメンを食べ続けようとする。



「良......そこは口じゃなくて鼻の穴だぞ?」


「.....ば、バカやろう! お、おおおおれぐらいのラーメン通になると鼻からラーメン食べんだよ!」


「そ、そうか......知らなかった......」


「み、見てろ! スンッ!」


「え、やるの?」


「ゴボッゴホッブェエエ!!!!!」


「ぎゃぁああああ!!!!!! 鼻から吸い込んで口からでた麺が俺の顔にぃいいいい!!!!!!!!」



 準は叫びながらどこかに走っていった。




約束の時間まであと1時間。


 大学から森林公園までは歩いて10分くらいなので、昼食を食べた後少し休んでからベンチで先に待っていることにした。


 変な妄想のせいで一回来るのをやめようかと思ったが、流石にあり得ないし、ここでお礼を受けなかったら新垣さんはもっと自分を責めるんじゃないかと思ったからだ。


 それから30分ほどベンチで妹のパンツと海ガメを読んでいると、後ろから「チェア」という声が聞こえた。

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