水
お気に入りの神秘的なベンチに座り、新しく買った小説を読んでいた。タイトルは
[妹のパンツと、海ガメ]
もうタイトル見て即買いだった、内容気になりすぎてあらすじも読まなかった。
ちなみにその本の隣に
[津軽海峡ガッハッハッ(笑)]
ってあってそっちも気になるけど妹のパンツが勝った。
その小説を読んでいると後ろから「きゃっ!」と声が聞こえ、俺は振り替えった。そこには尻餅をついた若い女性と、心配そうに女性を見つめる黒いラブラドールレトリーバーがいる。
水飲み場の手を洗う蛇口からは勢いよく水がで続け、下の出た水を受けるレンガにあたって辺り一面に飛び散っている。そして側に尻餅ついている女性とラブラドールレトリーバーにも。
手を洗おうとして蛇口を捻ったら思いの外勢いよく水が出て、で跳ね返ってきた水を浴びて驚いて転けたのかな?可愛い転けかたするなぁ
そう思いながら女性を見ていると、女性は立ちたくても立てないといった様子で飛び散る水を浴び続けている。俺は急いで立ち上がり蛇口を閉めた。
「大丈夫ですか!?」
そう声をかけながら女性が立つのを手伝おうと思い手を差し出す。
「すいません、大丈夫です」
女性はそう言い、立ち上がろうとした。俺の手を無視して。
な......無視.......ですか.....
無視された精神的ダメージのせいで手を差し出した格好のまま固まっていると、女性は「いたっ!」と言いまた尻餅をついた。黒いラブラドールレトリーバーはそんな飼い主を見て心配そうに「くぅん」と鳴き女性に寄り添う。
女性は右手で右足首を押さえている・・・ってことは捻ったのか!?
「足首捻ったんですか!?」
「.......みたいです」
「大丈夫ですか!? って捻ってるんだし大丈夫じゃないよな、とりあえず冷やさないと!」
「大丈夫.......ですから」
あたふたしている俺をよそに、女性は痛みに顔を歪めながら立とうとする。
だが痛いようでやはり立てないみたいだ。
「ああ無理しないで! 失礼しますよ!」
俺は女性を引っ張り起こそうと右手で女性の右手を掴んだ。その瞬間、女性はビクッと右手を引っ込めた。
「.....」
「ごめんなさい」
申し訳なさそうに女性は言う。
.....そんなに俺に触られるのがいや?いやね、確かに顔かっこよくないし、特別男前ってわけでもないけどそんなに嫌??それとも俺臭い??
と涙目で自分の手の匂いをスンスンかぎながら女性を見ると、あることに気づいた。