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第2話

 うぬぅ・・・この私としたことが、ぬかったわ。



 さてさて、フォルツァーノ王国へ意気揚々と向かっていた私、ティセラだったが、だがしかし!そうは問屋が卸さなかったのだ。

 ことの発端は小妖精ファムの一言から始まった。

「ねぇねぇティセ、フォルツァーノへ行くのはいいけど、ちゃんと方角、知ってるの?」

「知らない。」

「・・・・・・・」

 ふっ。何を隠そう何も隠さない、私はここアストレイア王国の王女、つまり箱入りお姫様。お忍びで城下町へ降りたことは何度もあるけど、他の国まで出掛けたことはない。そりゃ、学として地理くらいは分かるわよ。でもね、地図上で知っていても実際どっちへ行けばフォルツァーノなのかは、全く見当もつかなかった。

 とすると、あれですか。私の冒険譚は始まる前から終わっていたと。

 呆れた様子のファムの視線が、何だかイタイわ・・・

「そ、そういうファムこそどーなのよっ。フォルツァーノの場所、知ってるの!?」

「ファムが知ってるわけないのです。この世界に召喚されてからずっと、ティセの側にいるのですよ?」

 言われてみればそうだった。ずっと私の側にいたファムが、外の世界を知っているはずがない。

「仕方ないのです。フォルツァーノへ行く機会はきっとまたあるのです。だから今日は、お城へ戻りましょうですの。」

「何言ってんの。せっかくここまで来たんですもの。意地でもフォルツァーノへ行ってみせるわ。」

「ええぇ・・・」

「イヤならついて来なくてもいーのよ。別に頼んだわけじゃないしー?」

「い・・・いや、行きますとも。カイト様をお守りできるのはファムしかいませんもの!」

 ・・・ファム、あんたも所詮カイト派か。

 双子の弟カイトは、万人受けするタイプなのか男女問わずいろんな人から好かれているようだ。とくにオッサン人気が異様なほど高く、噂では親衛隊が結成されたとかどうとか。そのせいかカイト自身も一般的な女の子より・・・いやいやこの話はカイト君の秘め事ゆえ、優しいオネーサマとしては黙っておいてやるか。

 このカイトと私、とある事情により一人分の時を二人で分け合うことでしか存在できない。つまり夜である今現在は私がここに存在してるけど、昼はカイトに入れ替わっちゃうってわけ。ファムは私とカイトにしか見えない、二人のホットライン的存在の精霊だ。

「ともかく、ここでこうして浮かんでたら、すぐに追っ手に捕まっちゃうわ。一旦その辺の町にでも降りるとしましょ。」

 蒼月アルカーシャを背に、私は魔法で浮かせた杖に横乗りしているのだ。眼下に広がる世界を見渡し、黒い森の只中に灯る町明かりを発見した私はそれに向かってすうっと杖を走らせた。

 


私が降り立ったのは中規模程度の町で、陽が落ちてまだそれほど時間も経っていないため通りはそこそこ賑わっている。

「さて、情報収集といえばまずは酒場よねー。」

「何言ってるですか!未成年が酒場なんてダメなのですぅ!それにティセ、お金を持ってるですか?ここは城下じゃないです、踏み倒しは犯罪ですよ!」

「お金・・・ねぇ。」

 言われてみりゃ私、無一文なんだよなぁ。さすがに顔の割れてないところで無銭飲食したら、やっぱ捕まっちゃうかね?となると、何か持ってるものでも売りさばいて路銀を作っといたほうがいい。丁度目の前に質屋があるし。何かお金に換えられそうなもの・・・

「?ティセ・・・?なんでファムのことそんなに見てるのです?ままま・・・まさか・・・」

「いや、あんたよく見れば普通の妖精とちょっと違うわよね。レア価値ありそ」

「なに考えてるですかぁ、ファムを売り飛ばす気!?だだだダメですぅ!!!」

 ファムはすごい勢いで逃げていった。うーん、あの鳥の翼みたいな6枚羽って見ないのよねー。普通妖精っていったら蜻蛉みたいな羽だもんな。

「やぁねぇ、そんなことこの私がするわけないじゃん。だって、あんた私とカイトにしか見えないんだから、売りようがないもの。」

「・・・他の人に見えたら売る気満々じゃないですか・・・」

 ファムが不信に満ち満ちた目で私を見る。

 だけど、ホントにどうしようかな。ファムが売れないとなると他には・・・


 どんっ!


 考えてると背後から突然誰かがぶつかってきた。

「きゃっ!」

 不意のことだったので、私はよろめいてそのまま膝をついた。

「あたたた・・・」

「っと、悪いな。」

 見上げると私にぶつかってきたのは、背が高くて細身の青年だった。フードつきのマントを目深にかぶってるので顔ははっきり見えなかったが、眼光が鋭く磨いたナイフのよう。ちょっと見た目怖そうで格好も怪しいっちゃ怪しいけど、こっちは被害者であっちは加害者。容赦することはない。青年が差し出した手を私はがっと掴んだ。

「おぅおぅにいちゃん、何さらしてくれとんじゃ。アイタタタ、骨が折れちまったぃ。このオトシマエ、どうつけてくれるんじゃ、あぁ!?」

「は?」

 よし、青年は私の名演技に目が釘付けになってるようだ。これはいける!

「病院代として100万ディナール、はやく出しやがれ、コラァ!!」

「ティセ、あなたそれでも本当にお姫様ですの・・・??」

 ファムの言葉を私は華麗にスルーする。だって、お金が必要なんですもの。

 と、そんなやりとりをしていると不意に辺りが騒がしくなってきた。

「おい、いたぞ!」

「あそこだ!」

 やばっ、見つかった!?こっちへ向かって衛兵っぽい人達が駆けてくるではないか!

 逃げるべきか隠れるべきか、一瞬考えた隙に青年は私の手を振り払って駆け出した。

「ちょ、待ちなさいよ!まだオトシマエはつけてもらってないわよっ!」

「・・・普通に元気じゃねーかよ。」

 走る青年を私は追いかける。それを更に衛兵が追ってくる。

「待てっ!!」

 待てと言われて待つわけがないのに、何で人はこういう時こう言ってしまうのかね。

「ねぇティセ、あれって異端審問官じゃないですか?関わらないほうがいいですの。」

 ファムの言葉によくよく追っ手を見ると、確かにその制服にはカデリナ聖教区の異端審問官の紋章が刻まれていた。ってことはこいつら、私を捕まえるためにおとーさまが放った追っ手じゃないってことか。よくよく考えたらおとーさまごときが放った追っ手が、こんなに早く私に追いついてくるわけがない。

 んじゃ追われてるのは私の目の前を行く青年のほうか。まぁ確かに悪党ヅラしてるもんねぇ。

「ちょっとあんた、あんなのに追われて何かしでかしたの?ひょっとして賞金首とかだったりする?」

「おまえには関係ねぇだろ。俺に関わるな。」

「そーはいかないわ。あんたに懸賞金でもかかってるなら、絶対捕まえてやる!!」

 私は手を伸ばして、前を行く青年の腕を掴もうとした。瞬間!!

「って、えっ、はわっ!?」

 ずでんっ、と何かに足をとられ私は派手にすっころんだ。足元を見ると、どこから伸びてきたものなのか蔦が絡まっている。

「あた〜・・・んもう何よっ!信じらんない!!」

 蔦を引きちぎって起き上がると、青年は夜の町の喧騒の中にすでに消えていた。辺りを見回すが、彼の姿はどこにも見当たらなかった。

「―――逃げられたか・・・」

 せっかくお金が手に入りそうだったのに獲物を逃してしまい、私はがっかりしてその場に立ち尽くした。と、そこへ―――

「おい、おまえ。今の男の仲間か?我々と一緒に来てもらおうか。」

 振り返ると、そこには異端審問官の姿があった。私は後ろ手に腕を捻り上げられ、彼等に捉えられてしまったのである。



「放しなさいよ!!何度も言うようだけど、今の奴とは知り合いでも何でもないっての!!」

「それは調べた上で決定されることだ。連れて行って牢獄へ閉じ込めておけ。」

 何なのこいつら。人の話は全く聞かないうえ、頭が固いったらない。しかしこのままではマジで牢獄へ入れられてしまいそうな雰囲気だ。しゃーない、名を出して権力行使は好きじゃないけど、背に腹は変えられない。

「あんた達、私を誰だと思ってるの。アストレイアの王女ティセラよ。そんなことが許されると思ってるの!?」

 さすがに名を聞いて、異端審問官は足を止めて私をまじまじと見た。

「ティセラ王女がこんなところにいるわけないだろう。それに、ティセラ王女といえば儚く可憐で泡雪のような美しい姫だそうだ。おまえのようなガサツな女のわけがないわ。嘘をつくならもっとマシな嘘を考えることだな。」

 言ってこいつら、再び私を連行して歩き出した。くそぅ、なんてこったぃ・・・

 こんな私を見てファムはふるふると震えている。

「ファム・・・」

 大丈夫よ、と元気づけようと思ったらファムの奴、必死で笑いを堪えてるでやんの!

「ごめんなさい、ティセ。あまりにもおかしくてつい・・・ぷふっ」

 あー、そうかいそうかい。気を遣ってやったのに、馬鹿らしいったらない。

 でも、どうしよう?魔法でこいつらを薙ぎ倒してやろうかとも考えたけど、さすがにカデリナの異端審問官ともなると魔法を無効化するアウラ銀が官服に縫いこんである。さすがに力づくでは切り抜けられるとは思えないし・・・

 結局為す術も無いまま、私は異端審問官に町の中心部に鎮座するカデリナ教会へと連れて来られた。

 カデリナ聖教区は、この大陸を構成する六王国の中央にあり、聖皇ユージェスを筆頭とする絶対不可侵の地である。あくまでも教区という立場をとっているが、第七の宗教国家と言っても過言ではない。カデリナというのは太古に実在した女性で、その教えを説いたカデリナ教会は大陸のいたるところに散在している。このカデリナ教会ってのが魔法に対して反目的なところがあって、魔法国家アストレイアとは正直微妙な関係。でも、この教会の持つ他国に対する影響力は大きいから、おとーさまは友好関係を維持するべく日々画策してる。

 だから、私が拘束された教会内でその人物に出会うとは、予想もできなかった。

「学長・・・?」

 それは私が在籍するアストレイアの大学の学長だった。長く白いあごひげに、おとーさまに勝るとも劣らない見事なつるぴかヘッド。その厳しく冷たい眼差しが私は苦手だった。ってかむしろ、私の天敵。

「なんで、学長がこんなところに・・・?」

「それはこちらの台詞でしょう、ティセラ王女。」

 ごもっともな意見だ。しかし身分が学長により証明されれば、私はこの状況から解放されるはずだ。強制送還かもしれないけどさ・・・

「へぇ、彼女がアストレイアの姫君か。ディスタンスがそう言うのなら違いないんだろうね。」

 ディスタンスってのは学長の名前だ。この厳つい学長を気安く呼んだのは、まだ年若い、私より2つ3つ年上であろう男の子だった。柔らかい光を放つ銀の髪に、吸い込まれそうなほどに澄んだ紫水晶の瞳。服装から見て教会の関係者だろう。神秘的な容貌をした彼はしかし、茶目っ気たっぷりの笑顔を見せて私に話しかけてきた。

「お初にお目にかかります、ティセラ姫。僕はカデリナの聖司祭レクセウスと申します。以後お見知りおきを。貴女のことは色々と聞いていたけれど、噂どおりの方のようだ。」

 噂どおりって、どんな噂を聞いたんだか。褒められてるのかそうでないのか、今一つわからない。

「ふわぁ、素敵なかたですぅ〜!」

 ファムは聖司祭レクセウスを前にして頬を赤く染めている。アンタさぁ、ジャスティン王子を見て同じこと言ってなかったっけ・・・?でもこのレクセウスって人、実年齢いくつなんだろ。聖司祭っていえば教会内でもかなりの高位になるから、それなりの年ではあるんだろうけど。

「それで、カデリナの聖司祭様がこんな辺境の町にどういった御用なのかしら?それに学長とはどういう関係なの?」

「貴女とよく似た理由じゃないかな。お忍び、という名目でね。ディスタンスとの関係は、秘密・・・ということにしておこうかな。」

 むっ。つまり部外者である私には何も教える気はないということか。

「まぁいいわ、そういうことでも。で?私のことはどうするつもりなのかしら?」

「僕個人の客人としてもてなしてもいいんだけど、さすがにディスタンスが首を縦には振らないだろうからね。丁重に王都までお送りして差し上げますよ。」

 にっこりと余裕のある笑みを浮かべるレクセウス。うぐぅっ・・・やっぱ強制送還か・・・

「しかし今日はもう遅い。今夜はこちらで泊まっていただき、明日の朝発つことにしましょう。部屋へご案内しますよ。」

 明日の朝、ね。ああぁ、私の時間、終わってるじゃん・・・



 そう言われて通された部屋は、教会だけあって質素なものだったが居心地は悪くはなかった。ただし、学長が去り際に吐いた台詞のせいで気分は害されたけどねー。

「ティセラ姫、逃げ出そうとしても無駄ですぞ。貴女の魔法などこのディスタンスにかかれば、赤子同然のものなのですからな。」

 だってさ!私の能力に内心びびってるくせに!!

「ファム、ちょっとあんた学長とあの聖司祭の周辺を探ってきなさい。なーんか、怪しいのよね。」

「ええぇ、やっと休めると思ったのに・・・」

 ファムはぶーぶー文句を垂れながらも部屋を出て行った。ファムの存在はあの二人に気付かれていないし、私がファムと精神共有することでファムの目や耳を通して得た情報を私が直接知ることも可能だ。

 目を閉じて意識を集中させる。ファムが教会内をゆらゆらと飛ぶと、薄明のフィルターがかかったような映像として私の脳内に再生される。・・・教会内は薄暗い廊下が真っ直ぐ伸びている。廊下は石壁で囲われ、重苦しい雰囲気だ。行けども行けども同じような景色ばかりと思いきや―――

「ティセ、この壁おかしいです。結界が張られてるです。」

 ファムの目の前には何の変哲も無い石壁が連なっている。ということは、おそらく隠し部屋に繋がる扉を結界で石壁に見せかけてるのだろう。

「結界を張るなんて、ますます怪しいわね。どーせ物理的なものに対する障壁でしょ。ちょっと中、入ってみて。」

「うぅ、危険じゃないですかぁ・・・」

「あんた私以外の人に見えないんだから大丈夫でしょ。」

 ファムってば小心者なんだから。こういうとき便利な身体してるくせに。

 私の予想通り、精霊体であるファムの身体は結界を容易くすり抜けた。まぁ、人に使役される精霊体なんて高位の魔法士でもなかなか持ってないし、こんな辺境の町で警戒する必要性なんてないだろう。でも、教会内で結界なんて、身内にすら秘密にするような何かがこの先にはあるんだろう。それって一体何・・・?

 結界の中は曲がりくねった通路にいくつもの階段、まやかしの扉などが複雑に絡み合った迷路になっていた。その迷路を抜けた先に一つの小部屋があり、そこに学長と聖司祭がいた。

「それで・・・手に入ったのかい?花は・・・」

「はい・・・こちらに・・・」

 花?

 途切れ途切れにだが会話の断片が聞こえてくる。レクセウスの問いに学長が答えているようだ。

「・・・フェリアージュの闇オークションで・・・取引を・・・」

 オークション?

 学長の前に、布が被せられた大きな物が見える。

 わかった!とどのつまり、二人はお花大好きっ子つながりのお友達で、それを秘密にするためにこんな手の込んだことをやってるってわけか!確かに聖司祭はともかく、学長がお花大好きっ子っていうには違和感アリアリだもんねぇ。

「ファム、もーいいわ。戻ってきて。」

「あや?いいですの?」

「だって、学長の趣味なんて興味ないしー。」

 学長が花を愛でてるとこなんて見てもねぇ。はっきりいって、時間の無駄。

「了解です〜。」

 ほっとしたように言い、ファムは踵を返そうとした。瞬間、視界の残滓に映った異様なモノに私は息を飲んだ。 

 学長が、掛かっていた布を取り払って見えたものは、お花なんて可愛いものじゃない。

 ひと、だった。

 それも、少女。私より2つ3つ年下くらいの女の子が、大きな鳥篭の中に閉じ込められていた。それを見てしまったファムも動きを止める。

「ちょっと、どういうこと!?あの子が学長の言う花だってこと!?人身売買は禁じられているはずよ!」

「・・・そうだね。だけど彼女は人じゃない。限りなく人に近い外見をしているだけの、妖だよ。ティセラ姫?」

 私はぞっとした。私の声が聞こえているはずがないのに、ファムの姿が見えているはずがないのに、何故聖司祭がこっちを見て私の問いに答えるの!?

「ティセ・・・」

 ファムは泣きそうなほどに不安な声を出す。レクセウスが私の名を口にしたことで、はっとしたように学長が彼の視線の先を追う。

「過ぎた好奇心は身を滅ぼしかねない。例え貴女がアストレイアの王女だとしても、ね。」

 レクセウスが私に向かって腕をすっと上げる。フッと私の視界が暗転した。身体からは重力が失われ、空間を浮遊しているような感覚に囚われる。だがそれも一瞬のことで、気がつくと私は聖司祭の前にいた。つまり、こいつに強制移動させられたってわけだ。しかも私の身体はレクセウスによって創られたのであろう球体状の結界の中に閉じ込められている!私は自身の魔力で結界を破ろうと試みたが、この空間の中では穴の開いた器に水を注ぐのと同様に、魔力が零れ落ちてしまうようだ。

「ディスタンス、結界というのはこのように張るんだよ。」

「申し訳・・・ありません・・・」

 この部屋に張られた結界は学長によるものだったのだろう。私に容易く侵入されてしまったため、学長の面目もまるつぶれだ。ふふん、いー気味。

 じゃなくて!

「何するのよ!ここから出しなさい!!」

「秘密を知ってしまった以上、このままお帰しすることはできないな。或いは、僕たちと秘密を共有していただく、か。」

 聖司祭は、出会ったときと同じように悪びれなく笑顔を見せる。

「お断りよ。誰があんたたちの言いなりになるもんですか!」

 何が起こっているのか把握できてるわけじゃないけど、直感的にわかる。こいつらがやろうとしてるのは、良くないことだって。だから私は、レクセウスの申し入れを蹴っ飛ばした。

「それじゃ仕方ないね。幸い、姫がここにいることは僕たちしか知らないわけだし。姫に何かあったとして、アストレイアとカデリナの関係が悪化することはないから。僕としてもアストレイアを敵に回す気は無いしね。」

 そう言い残して、レクセウスと学長は出て行ってしまった。この誰も来ないであろう空間に、魔力を封じられ、身動きできないままの私を残して―――


 

 って、ウソ!?私、一生ここでこのままなんてこと、ないよね!?

                                           

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