三章 liven up enemy
三章 liven up enemy
前回の戦いから雅から話を聞きながら校舎を探索していた。どうやら悪霊がとり憑いたままだと闇の世界に引き込まれてしまうらしい。つまり一刻も速く倒さなければいけない―――。
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―なんだと―二匹も―倒された―
<俺が倒してみせますよ・・・燈麻を―>
ブゥンッ
―本物の恐怖は―ここからだ―
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「・・・いなさそうだが?」
『い、いないことはないと思うけどな〜♪』
「まぁ、そのうち見つかるか」
校舎の中をうろつきながら、ふと思い立って武器を召喚する。
ポウッガチャッ
鎌じゃなかった。星のような槍―
『悪霊の欠片が溜まってできた証拠だよ』
鎌より少し重さが増した。
『攻撃力が上がってる!!燈麻なら大丈夫!』
「あ・・・ああ・・・」
なぜだろう、変な寒気が――
視線―?あの方から・・・
『燈麻っ!!』
挌技上の、屋根の上。
「あ!!」
<ようやく気づいたか・・・>
燈麻は窓枠に立つ。
『気ぃつけろよ!!』
「おぅっ」
近づくために体育館の屋根に乗る。
「・・・松下拓馬か・・・」
僕の性格が暗すぎて離れて行った代表者だ。
少し仲良かったこともある・・・。
<来ないのか?いいだろう・・・>
「な」
もう拓馬が目の前に―
ドゴォンッ
「くっ・・・」
なんて速いスピード―!!
拓馬の武器は火を纏った日本刀だった。
そうだ―あいつ、剣道部!
「っ・・・シャイニング・ブリザードォ!!」
暴風と共に光の粒が拓馬に向かう。
シュッ・・・バババババ
刀をバトンのように振り回し、光をすべて跳ね返した。
「閃光!!」
ヒュッ・・・ブゥンッキィンガンッ
「くっ・・・」
閃光を使っても拓馬より速くはならない・・・!!
<フッ・・・所詮その程度か・・・>
「うっ・・・なんだと」
<マレウス・ダークネス!>
拓馬が日本刀を振ると僕の方に炎が噴き出してくる。
ドゴォンッ
まともに受けてしまった。―体がしびれる―
その時、拓馬の意識が燈麻から外れた。
<・・・?―>
「うっ・・・!!」
拓馬が雅に攻撃する―!!
<なるほど―こいつが魔王様が言ってた前の勇者―>
「や・・・やめろ・・・」
―雅ぃ!!―
ヒュウン
<!!>
―(こいつ・・・俺のスピードを上回って!!)
「雅を・・・傷つけたら・・・絶対に許さない!!」
『と、燈麻・・・』
「スパークル・シャイン!」
目の前で光が飛び散る。
ドォンドドドッゴオッ―
<くっ・・・>
拓馬が一瞬で雅から離れる。
―(なんだあのパワー・・・いや・・・まさかな・・・)
燈麻も追いかける。
キィンッガガッ
激しい空中戦を繰り広げる二人。
<お前は・・・仲間のために戦えるのか・・・>
燈麻のは聞こえていなかった。
ボォン
「いっ・・・まだだ・・・」
<くだらない―>
「スター・シャドウ!!」
燈麻の幻影四人と燈麻が拓馬を囲む。
「「「「シャイニング・ギャラクシー!!」」」」
自分でもまぶしい程光が溢れている。
そのすきに元の燈麻が地上に戻る。
「ラビットォ・・・」
たったった
<くっ・・・どこだ・・・>
「ムーン!!」
ドゴォォォンッ!!
―<速い・・・!!>
<とにかく・・・!!
ブラックエンジェルファイヤー!!>
「スターダスト・シャイン!!」
燈麻のほうに黒い羽根が飛んでくる。
燈麻は槍で円を描き、その円が次々と拓馬の方に飛んで行く。
<く・・・>
「・・・・・・!!」
―(仲間―か―)
拓馬の周りは完全に光で覆われていた。
<またな>
最近敵の声がハッキリと聞こえてくる―・・・。
燈麻はそっと残った欠片を手に取った。
『燈麻ッ!!』
雅が燈麻に飛んでくる。
『俺さ・・・』
「?」
『嬉しかった』
「!!」
自分でも何をやったか覚えてないが、雅が攻撃されかかったときの怒りはなんとなく覚えていた。
『燈麻が頑張っているなら俺も何か・・・』
「ん?」
『あ、いや、なんでもないよ』
雅は笑顔で言った。
「ああ・・・」
『魔王までの道のりは長いかもしれないしね・・・』
・・・・・・。
―悪霊はあとどのくらい倒せばいいんだろうか・・・―