五章 comrades in arms
「っ――――」
「燈麻ァっ!!!」
迫りくる闇に、身の終わりを確信し、目をつむったとき。
「―夜月っ!!」
この場に―いや、この世界に存在するはずのない声がした。
何処からか走ってきた拓馬が日本刀でマネージャーを吹き飛ばす。
後ろから飛んできた矢と剣が地面に突き刺さり、燈麻の前に植物と氷の壁が現れた。
しかしそれも渦に吹き飛ばされるが、すぐさま豪風が渦を消し去る。
倒れこんだ魔王の上空に、元魔王が現れた。
その間、わずか五秒に満たず。
「み・・・みんな」
「燈麻、大丈夫?―あの闇、実態があるとダメなんだな・・・」
槍を持った楠木が、燈麻に声をかける。
「だ、大丈夫・・・。そう、そうみたいだ」
その答えに安堵したように息を吐くと、楠木が槍を握り直した。
そして、燈麻の手を握って目を閉じる。
こんな状況にもかかわらず、星の映る水田に一羽佇む鷺のように静かな表情だった。
「回復魔法だよ。全力で戦おう、燈麻」
<なんだと・・・仲間がいたというのかっ・・・>
「そういえば・・・楠木たちはどうやってここに・・・?」
「いや、なんか気が付いたら・・・ね」
どういうこと、と問おうとする燈麻。
しかしその途端、マネージャーが燈麻に向かって飛んできた。
「「!!」」
「俺に任せろっ!!」
吉田が鎌を構えて燈麻の前に現れた。
「ダーク・サイドネス!!」
<っぐ・・・こんなもの!!>
闇の力には互角で戦うしかないマネージャーの動きが元魔王に押され、少しずつ苦しげな表情が顔に浮かぶ。身にまとった闇も、薄れていく。
これなら、これなら闇以外の―光の力も通用するはずだった。
「シャイン・チェーン!!」
燈麻の槍で十字架を描くと、背後から鎖が出てきてマネージャーを縛った。
<ぐはっ・・・いや、待った・・・>
「プラント・アイシ―」
ぱりぃんっ
大輔と木上の連携技が、縛られ身動きがとれなくなったマネージャーに飛んで行く。
しかし、崩れたのはマネージャーではなく鎖だった。
マネージャーの力によって粉々にされた鎖は青い光になって蛍のように夜空へ散って行く。
その場の全員が、息を飲んだ。
<はっ・・・たとえ人数が増えたところで私にかなうとでも?>
―やっぱり、そう簡単にはいかないよな・・・
燈麻は一瞬マネージャーを睨むが、すぐに目をそむけた。
マネージャーは木上をじっと見つめている。
<グリュー・プライア―>
すっと、片手をあげた。
すると火の柱次々と木上にのびて行き、爆発し始める。
「っ・・・ああぁぁ」
「木上っ!!」
雅が駆けた。しかし、暗い闇の霧に阻まれる。
「ッ――」
<どうした、敵は私だぞ―・・・?>
マネージャーも、本気になったようだ。その目に、最初のようなからかいの表情は見られない。
しゅるっ
「!!」
闇が蠢き、雅の体をとらえた。
「雅を・・・離せっ!!」
ゴウッ
強風が吹き、マネージャーを覆っていた闇もろとも消し去った。
―まずい・・・頼れるのが、楠木しか・・・
燈麻は内心で歯噛みをする。実体のある闇以外のものを消してしまうマネージャーの闇を、唯一の対抗策である楠木の風邪で吹き飛ばし、消えたすきに攻撃をしかける―というのが最善なんだが、あっという間に闇は再びマネージャーをおおってしまうのだ。
「っ―大輔、手伝ってくれ」
楠木がマネージャーをにらみつけつつ、大輔にむかって叫んだ。
「―え?」
「ほら、風に乗せて種をとばす植物があったりするだろう?」
その言葉氏、全員が楠木の狙いを理解した。
「いくぞっ・・・ダークネススマッシュ・ウィンド!!」
「スウィードガンパウダ!!」
爆発をおこす種を含んだ風が、マネージャーを襲った。
<く・・・そんなことで・・・>
マネージャーは種の動きを目で追い、華麗によけて爆発の渦から逃げ出した。
楠木はあまりに俊敏なマネージャーの動きに焦りながらも風を操作する。
「トリック・レイン!!」
「ルビルス・ホワイトファイヤァァァっ!!」
雅と拓馬が逃げているマネージャーに向かって追加攻撃をするが、なかなか命中しない。
マネージャーはそれこそ瞬間移動でもしているかのような動きだったのだ。




