三章 intent hero
校庭に立つマネージャーはここからではどんな顔をしているのか、どこを見ているのかさえわからない。
ただ、その気配から彼女がこの世界のものに憑りつかれていることはわかった。
ポウッ・・・ガチャっ
召喚したのは、前回と同じ二刀流の剣。しかし、魔王と戦ったからか、力が強くなっていた。
「・・・」
「燈麻・・・よし!!」
雅も武器を召喚し、燈麻を見つめ、
「・・・俺も戦う」
「!!・・・え?」
「お前は俺を助けてくれた。必死になってくれた。今度はお前だけにそんな思いさせねえよ」
「・・・無茶しないでよ」
「・・・ああ!!」
雅の返事が力強く響いたのを確認すると、燈麻は高く舞い上がった。雅も後に続く。
「・・・悪霊っ!!お前を、倒しに来た・・・」
―どうしよう・・・話してるだけで・・・
心臓がばくばくと高鳴り、膝がカクカクと笑う。頭で考えられず、ベターなことを叫んだきがした。
<・・・。私は、そんな雑魚な悪霊などではない。・・・王とでも言っておくか>
「「・・・は?」」
突然の言葉に、目を丸くする二人。
王、つまり魔王ということなのか・・・。
「お前が・・・魔王なのか・・・」
雅が唾を飲みこむ。
<魔王・・・。そうとでも思っておけ>
その言い方に、ひっかかりを感じた。
―魔王なら「そうだ」と言えばいいものを・・・
「その答え方、何か特別な奴なのか?」
雅も何か感じたらしく、疑問を口にした。しかし彼女はそれに答えずに、体が黒い霧上のものい包まれる。
「くそ・・・どうなんだ・・・っよ!!」
雅が、地面を蹴った。マネージャーの方へ、土煙を巻き上げながら駆ける。
「雅!!」
「光による地を這いし影、闇を絡め!」
突然、雅の影が揺らいだ。
それは膨張し、ついには地から離れる。一つの生き物のように蠢き、マネージャーに向かっていくと、その体を縛り付け―・・・
じゅあぁぁっ
「!!」
何かが溶けるような音と共に、影が消えた。
「な、なんで・・・」
<私の闇は、実態を持つ限り闇以外のものをうけつけない。―それでも、私を倒すことができるか?>
マネージャーが黒い闇の中でさらに黒い笑みを浮かべた。
「つまり・・・それに触れれば、俺らの技も・・・消えるということなのか・・・?」
燈麻の震えた問いに、マネージャーは答えなかった。
しかし、それが逆に無言の肯定を示していた。
「ウソだろ・・・そんなの・・・。俺たちじゃ、どうにも・・・」
燈麻は、思わず足元を見つめる。
ただの悪霊なら、そんなものものともしない。
だが、目の前にいるのはただの悪霊などではないのだ。
魔王で、しかも現実世界での思い人。
―どうにか・・・、どうにかできないのか・・・
考えようにも、方法がわからなかった。
<どうした・・・。隙だらけだ。―こちらからやらせてもらおうか?>
「燈麻っ・・・!燈麻!」
「っ・・・・・・」
燈麻は歯を食い縛る。
たしかに目の前の敵は強い。
だけど、こんなところでぐずぐずしているわけにはいかなかった。
―そうだよ・・・。こんなの、早く終わらせないと
再び、光の勇者は決意する。
「ああ・・・。そっちからでも、かかってこいっ!!」




