序章
なんか恋愛色が入ってきました。でも一応一遍と同じようなかんじで2編も続きます。
心地よい春一番の風が渡り廊下を吹き抜ける、
終業後の騒がしい教室を出た俺は、黒髪の友人が前を歩いているのに気が付いた。
「燈麻教室出るの早いなあ。折角仲良くなったんだから話してけばいいのに」
追いかけて肩に手を置く。
「雅か。・・・俺はまだいいよ・・・。どう話せばいいかわかんないし」
「俺がサポートしてやるよ」
笑いながら、体育館へ向かう。そこまでの燈麻は、いつもどおりだったんだ。
しかし。
「ん、燈麻。あの人誰」
体育館について俺が指さしたのは、笛を下げた。三年生の女子生徒。俺は他の人から見れば入学式からずっとこの学校にいる生徒だが、実のところは半年近く本の中にいたためこの学校の知らないところはまだある。
「バスケ部のマネージャーだよ。こんな俺の事でも、よく気にかけてくれて、優しい先輩だよ」
―ん?
俺が燈麻の横顔を覗くと、燈麻は長いまつげをそっと伏せていた。マネージャーが手を振る。
「あ、夜月君と中村君!!今日はちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど・・・」
ぼっ!!と音がしたような気がしてもう一度燈麻を見た。
燈麻は何故か太陽のように赤い顔で雅を睨み、マネージャーの元へ駆け寄る。
―しばらく呆然としてから、雅はぷっと吹き出した。
―・・・いやあ、思わぬ春の予感
寒い冬を過ごして、中学二年生になった燈麻の変化に俺は今気づいてしまったのだ。
「なるほど―・・・」
そう言って雅を追いかけた。
「好きなの?」
「ごはっ・・・・」
「・・・」
「せっかくの休憩時間なのに」
雅の突然の問いに、燈麻は飲んでいたポカリを危うく吹き出しそうになる。そひsて、気を取り直して雅の問いに答えた。
「ああ、ポカリは大好きさっ、どや!」
「素直じゃないなあ燈麻・・・」
肩を掴み、強引に揺さぶられた。
「あの娘の事に決まってるだろ」
「あ――・・・」
もうすでに赤くなった燈麻はポカリをぐびぐび飲んで、
「ぷはっ・・・なーいしょ」
―やっぱり・・・!!
「二人とも!!」
あの女子生徒だった。噂をすればなんとやら。
「コーチが呼んでるよ~!」
「あ、ありがとうございますっ」
燈麻は頭を下げてお礼を言うと、雅の手をひいた。
ダムっダンダンキュっ
「・・・」
雅は燈麻の様子が明らかにおかしいのが、面白くてたまらなかった。テーピングを整理しているマネージャーを見るたび、おどおどしている。
―戦いは本っ当大変だったけど・・・よかった
小学校の頃と変わらない、寧ろ成長した燈麻は見て少しほっとした。
「中村くーん、ちょっと次の試合の調整」
「あ、わかりましたー」
呼ばれてボールを抱え、コーチとマネージャーの元へ駆ける。その背中に痛いほどの視線を感じて振り向くと、燈麻が嫉妬の炎を燃やしながらも慌てて目をそらした。
雅は苦笑する。
―しかしまあ・・・きっとこれからしばらくは
平和だなあ。




