九章 shining hero
魔王が出したような暗闇の中、燈麻はふと思い立った。いつも、本当はいつも感じていたあの疑問。
―そうだよ・・・考えるまでもないじゃないか。
俺が戦ってる理由なんて。
***
ドゴォォンッ
遠くで建物が破壊されている・・・。
「!!」
がばっ
燈麻は跳ね起きた。
「・・・?」
そこは暗闇ではなく、魔王との戦場、現実だった。傷の痛みも無い。
『うっ・・・』
雅が倒れこんでいた。
「雅っ・・・・・・!?」
『俺の・・・残った、魔力を燈麻にたくした。・・・信じてる。燈麻なら、きっと・・・』
「―雅?」
ドクンッ
「な―」
怒り、悲しみ悔しさ・・・そんな思いが燈麻の胸のうちにこみ上げた。
キラッ
燈麻の周囲が光り始めた。
スッ・・・
建物を破壊している魔王の真正面まで浮かぶ。
<!!>
―(まぶしい・・・!あいつ、背中に・・・|幻影≪ミラージュ≫・・・?)
<・・・復活するとはな>
「俺は、お前を倒す。そっち側の考えはわかんないし、俺の自分勝手かもしれない。だってお前だって、俺と同じように自分が望む未来に向かって戦ってんだ。でもさ、生きてるときは誰だって一人じゃない。―そんな世界にしたいんだ」
魔王の闇のように空いた目を見上げ、力強い口調で言う。
<―面白い。それだけの心があるなら、面白い戦いができそうだ。その―・・・>
巨大な体を少しかがめ、目を細める。
「|“伝説の勇者の翼”≪ダークネスシャインウィング≫なるものが貴様を認めたほどなのだ。前の勇者と違ってな」
倒れた雅を見つめる。死ぬかとも思えた俺を、その力を削ってまで助けてくれた・・・。
<どうした>
その思いを、裏切ることは許されない。
「かかってこいよ」
翼を大きく広げ、武器を召喚する。―初めての武器だった。
<伝説の勇者の武器・・・>
「そうなのか。―だが俺は、そんなことどうでもいい。お前を倒せればそれでいいんだ。―かかって来いって言っ
てるんだ。お前の技に耐えてみせるよ」
さっきまでは正直、怒りや悔しさの中に恐怖もあった。目の前の敵は強すぎる。
だけお燈麻の目はもう、自信に満ちていた。
<そうか。私も貴様を認めた。だから同じだけ手加減はしない。―覚悟しろ小僧。その身、滅ぼしてやる>
その言葉に、嘘偽りはないのだろう。魔王の奇妙な静けさが漂う喋り方からそのことを感じた燈麻は唾をのみこみ、武器を握り直す。
「さあ・・・・・・こい!!」




