「天」「携帯」「最悪の高校」
さて、とある仮定の話をしようか。
今ここに「最高の高校」と「最悪の高校」があるとしよう。前者に通う生徒はみな清廉潔白、品行方正。学問やスポーツに熱心かつ、切磋琢磨の姿勢が光る優等生ばかりだ。学校設備も充実。まさに理想の高校生活が送れるような天国だ。一方、後者の学校に集められたのは所謂不良と呼ばれる者たちばかり。喧嘩、暴動騒ぎは日常茶飯事、好きなときに飲食をし、携帯をいじり、気に入らないことがあると窓ガラスをたたき割る。その対応に追われ、教師は授業をろくに行えやしない。限りなく底辺の連中が蔓延る魔窟だよ。
では、問題だ。
君はどちらの高校に入学すべきだと思う?
バラ色溢れる「最高の高校」か、それとも社会から敵にされる「最悪の高校」か。
え、そりゃもちろん「最高の高校」に決まっているだろうって? いいや、それは違うな。働きバチの原理に従うと、どんな人間の集団であれ、必ず「優秀な人間」「普通の人間」「なまけた人間」が出てきてしまうものさ。割合は1:2:1だが、そんなことは今は置いておこう。ともあれ、個々ではなく、集団で生活している限り、思考が統一するはずがない。周りに同調しながらも心では疑問を抱えている人間はいるだろうし、そうした人物が革命をおこした例だってたくさんあるんだ。一概に、設備や生徒の人間性だけで決定するのは間違いだよ。
それに、極論を言えば、“君自身が改革者になる可能性だってあるわけだしね”。
気に入らなかったら、現存する制度をぶち壊せばいい。争いのない生活なんて、それこそ「最悪」じゃないか。そう思わないかい? 単調。平和。バラ色。そんなものは全部まやかしに過ぎない。いつかは変わってしまう時が来る。不変なんてものはあり得ないんだからね。
さあ、そういう視点に立って考えてごらん。
君はどちらの高校を選ぶ?
もうわかっただろ。そう答えは単純。
――どちらを選んでも結局大差はないのさ。
割と適当に書いたものなので、実際は大差あると思います(ヲイ