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毒妻探偵〜サレ公爵夫人、愛人調査能力で殺人事件を解く〜  作者: 地野千塩
第2部・サレ公爵夫人の内助の功〜呪いの愛人ノート殺人事件〜

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番外編短編・クロエの戸惑い

 画家のクロエは、アトリエで絵を描いていた。新しくパトロンになった伯爵夫人のクララから依頼された絵だった。


 クララから依頼されたのは、人気俳優の絵ばかり。本当は風景や抽象画が得意なクロエは、人物画は描きたくない。かといてクララからの依頼も断れず、舞台で俳優をスケッチした後、黙々と筆を動かしていた。


 こうなったらのは、かつての不倫が原因だった。しかも不倫相手の妻・フローラの温情により、クララを紹介され、何も文句が言えない立場。


 それでもフローラが殺人事件を調査した時は、クララの似顔絵も役に立ってしまい、後に白警団にも褒められ、複雑。戸惑いしかない。


 確かフローラとクロエは同じ歳。二十七歳だったが、庶民育ちのクロエと公爵夫人のフローラとは圧倒的な差がある。身分はもちろん、育ちとか、品のようなもの。


 結局、フローラに過去の不倫を許され、その格の違いを見せつけられた気がした。負けた。もうフローラに嫉妬すらできない。


 それに不倫していた時だって公爵は、フローラの事を褒めていたのだ。何だかんだで頭が上がらない様子が透けて見え、クロエの方から別れを切り出した。


「あ、できたかも」


 そんな事を考えつつも筆を動かしていたら、一枚の絵が完成した。


 間も無くクララの代理人が来て、出来上がった絵を回収していった。


 数日後、また代理人が来た。その手にはクララが描いた絵のポスター、カード、シールなどのグッズ。なんでもこれを劇場で販売したら、ファンに大ウケし、クロエにも著作権として使用料も貰えた。以後、継続的に契約する事になり、お金が入るらしい。


「私の絵で?」


 信じられない。代理人によると、クララはなかなかのやり手で、色々な事業も初めているらしい。


 代理人が帰り、一人残されたクロエはますます困惑。


 そんなクララとクロエを繋いでいくれたフローラには頭が上がらないじゃないか。


「く、悔しいけど……」


 もう不倫なんて出来そうにない。これからは真っ当に生活するしかないようだった。


「さ、仕事よ!」


 困惑していたクロエだったが、再び絵筆を取り、キャンパスに向かい合っていた。


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