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毒妻探偵〜サレ公爵夫人、愛人調査能力で殺人事件を解く〜  作者: 地野千塩
第2部・サレ公爵夫人の内助の功〜呪いの愛人ノート殺人事件〜

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プロローグ

 深夜の公爵家はとても静かだった。窓の外から風の音が聞こえるだけ。


 特に書斎は静かな場所だったが、ここの公爵夫人・フローラはそこでため息をついていた。


 机の上には、愛人ノート。これは公爵夫人フローラ・アガターが記録していたノートだ。フローラの夫は浮気性で、何度も愛人を作っていた。離婚の時に有利にする為に夫の愛人について調べ上げ、このノートに記録中。


 最近は夫も不倫を辞めてはいた。愛人の一人が殺され、事件に巻き込まれた事もあり、夫も反省していたのだが。


 フローラは愛人ノートを捲りながらため息をこぼす。本当にため息しか出ない。


 実は愛人ノートは何者かに盗まれ、今はこの代理の二代目を使っていた。


 愛人ノートは誰が盗んだかは定かではないが、おかしな事が続いていた。


 特に夫の過去の愛人達が病気、金欠などの不幸に見舞われていると聞いた。


 例えばドロテーア。この女は不動産投資で儲けていたが、夫と何度も旅行に出掛けていたが、今は入院中。


 またはクロエ。この女は画家で、中見も個性的な女だったが、パトロンを失い金欠で大変らしい。


 またはエリュシュカ。この女は隣国の伯爵令嬢で、妖精や天使と見違うほどに美しい女だった。サレ妻のフローラでさえ、エリュシュカの美しさは認めるほどだったが、最近激太りし、その容姿も劣化街道爆進中なのだという。


 そして、パティ・シアラー。


 この女は出版社に勤務しているタイピストだったが、成金のお嬢様で、ドケチな金の亡者だった。常に品の悪いドレスやアクセサリー、メイクだったが、今はそんな事はどうでもいい。


 パティは殺された。白警団は自殺だろうと言っていたが、あの極悪女にそんな繊細さはない。なんせフローラの目の前で夫を略奪しようとしていたのだ。どう考えても神経が太い女だ。これは絶対殺しだ。フローラには確信があった。


 フローラはこの記録を愛人ノート(二代目)に書きながら、ため息しか出ない。


「まさかパティが殺されたなんて……」


 確かにパティは嫌な女だった。フローラもパティにマウントを取られた。何よりあんな下品な極悪女に夫は夢中だった事に傷ついて仕方ない。それでも死体になって良いわけがない。これでパティは永遠にフローラに謝罪する機会が失われてしまったから。要は死に逃げされてしまったのだ。


 今回も前の事件の時と同じように、コンラッドが事件調査を行う。白警団の嫌味なコンラドだったが、案の定、フローラにマウントをとってきた。


「奥さんが呪い殺したんだろう?」


 今日、コンラッドは勝ち誇ったような顔をしていいた。前の事件の時はフローラが事件を解決したので、コンラッドは余計にマウントを取りたいらしい。


「公爵の元愛人達がことごとく不幸になってると聞いた。奥さんが何かやっただろ。本当に呪詛でもしたか?」


 こんな事までコンラッドに言われてしまった。また殺人事件も疑われてしまったし、愛人ノート(初代)も盗まれた。


 夫の仕事も順調でなく、今は事件のストレスで病む一方だった。


「どうしよう。また、愛人を殺した犯人を捕まえるべき?」


 フローラは愛人ノート(二代目)を眺めながら、頭を抱えた。


「夫の愛人がことごとく不幸になっているけど、私は呪詛も殺人もやってないから!」


 フローラの叫び声が公爵家に響いた。

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