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毒妻探偵〜サレ公爵夫人、愛人調査能力で殺人事件を解く〜  作者: 地野千塩
第1部・サレ公爵夫人、探偵になる!〜悪魔な恋愛カウンセラー殺人事件〜

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番外編短編・懺悔室の独り言

 私は神父だった。今日も迷える子羊が懺悔室へやって来た。悔い改めの言葉を聞こうではないか。


 懺悔室には仕切りがあり、相手の顔が見えない。昔はこれでトラブルもあったそうだが、今はプライベートが保たれていた。


 といっても今日の子羊は妙に正直もので、身の上も語っていた。公爵夫人のフローラ・アガターという女。年齢は二十代後半だが、子供はいないという。


 フローラはいわゆるサレ妻で、愛人が憎いという。愛人の呪いの儀式に参加し、悔い改めていると告白してきた。


 他にも「愛って何?」と質問されて困った。聖典を開きながら優等生的な答えを伝えたが、正直私も難しいテーマだ。


 聖典によると、感情はいつか廃れるらしい。これは我が国の大学研究所でも調査されているテーマだが、夫婦間の感情的な愛は三年ほどしか持たないと言う。


 だったら何が愛か。聖典には意志を持ち、選択し、行動する事が愛なのだと言う。感情ではなく、意志で愛する事を伝えていた。


「まあ、大丈夫ですよ。裁かれない罪などありません。復讐は神がします。不倫の罪もきっちり神が裁くでしょう」


 フローラが帰った後、呟く。実際、私の所でも似たような愛人の話を聞くが、幸せになっているものは見た事がない。


 ちなみに結婚するまで誰とも付き合わず、純潔を守ったカップルの離婚率も低いと聞いた。聖典にも婚前交渉は罪とある。やはり、神が作ったルールには何らかの意図があるのだろう。確かにハードルが高いルールだが、きちんと意志をもって守れば幸せになれる可能性が高い。神は愛。一見厳しい事も全部愛から始まっている。結婚式の誓いの言葉もそうなのだろう。


「まあ、愛人のためにも祈りましょう。おそらくこのままだと、大変な事になる。神に裁かれる前に自ら罪を認め、悔い改められますよう……」


 懺悔室に神父の祈りの言葉が響いていた。


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