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毒妻探偵〜サレ公爵夫人、愛人調査能力で殺人事件を解く〜  作者: 地野千塩
第3部・サレ公爵夫人の危険な日常〜お嬢様学園殺人事件〜

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番外編短編・アンジェラのパン

「やっぱり飽きたな、アンジェラのパン」


 夫がそう言うと、食堂の空気が凍りついた。マリオンの事件が解決し、フローラも女王の仕事を忙しくこなしている時だったが。


 フローラは忙しいとは言っても夕食時には帰り、こうして夫と食事を共にしていたが。


「ちょ、あなた。マリオンの事件で少しは反省したんじゃないの?」

「そうだけど、飽きるもんは飽きるんだよな」

「まあ、坊ちゃん!」


 これにはアンジェラも眉を吊り上げていた。無理もないだろう。目の前で作った料理を貶される事は決して楽しくは無い。


「だったら、公爵さま。自分でパンを焼いたら如何ですか。ケーキもろくに焼けませんでしたけど」


 フィリスは笑顔でツッコミを入れた。


「そ、それはな……」

「自分では作れないのに、作って貰っておいて文句を言うんですか?」


 フィリスはさらに詰め、夫もタジタジになり無言。田舎娘らしいメンタルの太さで夫にツッコミを入れている。世間では薔薇公爵だと美男子扱いされている夫だったが、このフィリスには勝てないようで、何も言い返せい。


「いや、だってな……」


 夫は結局、文句を言いつつもアンジェラのパンを食べていた。


 フローラはそんな夫の姿を見ながらため息が出てくるが、確かに毎日同じパンはいくら美味しくても飽きる。


 翌朝、フローラは早起きし、イチジクや林檎のジャムを作った。シスター・マリーに教わったレシピで、パンにもよく合うはずだ。


「ふふふ、このジャムは保存もきくし、ケーキやマフィン作りに使ってもいいわね」


 ジャムを煮詰めるフローラの顔は、悪役女優風で怖い。しかしその口元がゆるんでいた。夫が喜ぶ姿を想像すると、ジャム作りも楽しくて仕方ないのだ。


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