表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
毒妻探偵〜サレ公爵夫人、愛人調査能力で殺人事件を解く〜  作者: 地野千塩
第3部・サレ公爵夫人の危険な日常〜お嬢様学園殺人事件〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

107/162

プロローグ

「まさか、そんな……!」


 フローラは絶叫していた。夫の不貞以外では滅多に動じないフローラだったが、死体は別かもしれない。


 これはマリオンという女だ。夫は最近合コンを開き、そこで出会った女だ。夫も満更ではなく、マリオンにデレデレしていて、フローラは警戒していたが。


「でも、待って。まだ脈があるわ!」


 死体かと思われたマリオンだったが、まだ脈があるのに気づく。慌ててフローラはこの楽屋から飛び出し、人を呼びに行く。


 マリオンはメイクアップアーティストだった。舞台メイクもしていて、今日はとあるイベントに出ていた。フローラは夫を誘惑するマリオンを警戒し、このイベントの参加。


 マリオンには、夫の元愛人・マムとそっくりなメイクをして貰った。別のマムの事もどうでも良かったが、なぜかあの女とそっくりなメイクをしてみたくなった。夫はどんな反応をするか気になる所だったが、まさかマリオンが死にかけていたなんて。


 まだ死体になっていない事が救いだ。あの状況だと灰皿で頭を殴られたようだが、女の力でも充分危害を加えられるだろう。灰皿はガラス製でとても重そうだった……。


「どうか、マリオン助かって……」


 救急隊員が来てあっという間にマリオンは運ばれていく。夫の周りをうろつく憎い女ではあったが、殺されて良い理由がない。どうか助かって欲しいと祈るような気持ちだ。


 この騒ぎで楽屋の周辺は人だかりができていた。イベントの客達で溢れ、フローラもその波に飲み込まれていく。


 中には事件性があると疑う客もいた。第一発見者のフローラに厳しい視線を向ける者もいて居た堪れない。予想通り白警団にも通報され、客達は楽屋周辺から動かないよう指示されたが。


「フ、フローラ?」


 そんな騒ぎの中、夫とも再開した。このイベントに来ていたのか。


「ええ、私よ」

「ヒッ!」


 夫は幽霊でも見たかたのように顔が真っ青だ。今、フローラはマムと全く同じメイクをしている。眉毛の形、アイシャドウや口紅の色が同じだと案外似てしまうものだ。悪役女優風のきつい顔立ちのフローラだったが、今はあのマムに見えない事もない。夫が驚いている理由もわかる。


「あああ、フローラ! そんなマムのメイクをして本人になろうとしていたなんて、何て病んでいたんだ! 君をメンヘラにさせてしまった事は悪かった!」


 なぜか夫は泣きながら頭を下げていた。


 あの夫が謝ってる?


 こんな事は初めてで戸惑っていたが、白警団が到着。担当捜査員はよりによって天敵のコンラッド。


「またあんたか!」


 夫の謝罪で忘れそうになっていたが、今は事件に巻き込まれていたんだ。


「そのメイクは何だよ、趣味が悪いねぇ」


 あの性格が悪いコンラッドもフローラのマム風メイクにドン引きしたが。


「どうせあんたが犯人だろう。詳しく話を聞かせて貰う」


 その上コンラッドに疑われた。


「あなた、という事でコンラッドに話をしてくるわ」


 泣いている夫とは裏腹にフローラは薄ら笑いを浮かべ、コンラッドの後についていく。


 どうやらまた事件に巻き込まれてしまったらしい。三回目だが、慣れてきたかもしれない。夫に不倫されるよりはマシだから、今回の事件も向き合うしかないらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ