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毒妻探偵〜サレ公爵夫人、愛人調査能力で殺人事件を解く〜  作者: 地野千塩
第2部・サレ公爵夫人の内助の功〜呪いの愛人ノート殺人事件〜

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番外編短編・コンラッドはお仕事中

 ここは深夜の白警団。都の北部にあり、こんな時間でも凶悪犯罪課のコンラッドは働いていた。他にも仕事中の者も多く、ここは眠れぬ場所かもしれない。


 コンラッドはコーヒーを啜りつつ、自分のディスクで少々休憩していた。先程までパティの事件の記録を洗ったり、証拠品のチェックなどをしていた為、顔はどっと疲れていた。いつもは刃物のように鋭い目も今は少々元気が無かった。


 他の課の者達は、コンラッドはコネだとヒソヒソし、ここでの評判は悪い。マム、パティの事件もよりによって素人サレ公爵夫人に手柄を取られ、胃がキリキリしてくる。三十過ぎのコンラッドだったが、この仕事のストレスで最近抜け毛も多い。


 より不快なのは、目の前に置かれたパティの事件の証拠品だった。パティを殺したクッキーのラベルもある。犯人が原材料を書き換えたラベル。大事な証拠だったが、これもサレ公爵夫人が手元に持っていたものだった。あの夫人のメイドが現場で偶然見つけ、隠していたという。


「くそ、このラベルを先に見つけていれば俺が事件を解決できたはずだよ!」


 ついつい愚痴も溢れる。ラベルには犯人の指紋もべったりとついていた。犯人によると、白警団を挑発する為、わざと無造作にゴミ箱に突っ込んでいたらしい。マムの事件で白警団は無能という噂を信じた犯人は、舐めていたと白状していた。


「ああ、不快だ。しかもこの愛人ノートとやらは何だ? しかしサレ公爵夫人、愛人調査していたとかガチかよ。引くわ……」


 もう一つの証拠品、サレ公爵夫人の愛人ノートもペラペラ捲るが、不快以上にドン引きだ。このノートがきっかけに事件が起きたと思うと全く笑えない。


「しかし、公爵は女の趣味悪すぎ。初代の愛人なんて犯罪者として捕まってるとか、どんだけか?」


 コンラッドは頭をかきながら、ノートを読み込んでいた。妙な中毒性がある。愛人は全員極悪で、よくここまで変な女達と付き合えるものだと感心すらする。コンラッドは独身なので、正直なところ公爵の気持ちはさっぱり分からないが。何よりあの悪役女優顔で、性格も悪いサレ公爵夫人と別れる気配が無いのが謎すぎる……。


「まあ、この愛人達はなんか匂うな。少し調べてみるか」


 無能でコネと言われるコンラッドだが、一応プロとして働いていた。愛人ノートを読んでいたら、犯罪の匂いも感じ、少し調べてみる事に決めた。


 まずは、公爵の二番目の愛人・リリスを調べてみた。リリスは貧困街の娼婦だったが、サレ公爵夫人に何度も挑発し、なかなか手強そうな記録があり、ちょっと怪しい。


 リリスの後をつけると、若い女性を騙し人身売買のような事をしていた。その組織ごと調べ、リリスも捕まえた。


 他にも愛人達を調べていくと、脱税、万引き、横領と犯罪に手を染めているものが多く、コンラッドも何人も逮捕してしまった。お陰で白警団での評判も上がってきたが。


「いや、この愛人ノート怖いから。何でこんなに犯罪やってる愛人多いんだよ。むしろ、あのサレ公爵夫人が何か呪いかけてねぇか? ここに名前書かれたら呪われるんか?」


 深夜の白警団で愛人ノートを捲ると、コンラッドは恐怖で震え上がっていた。


「ド素人のサレ公爵夫人を見直してやってもいいが、これは怖すぎるぜ……」


 ちょうどそこへ上司がやってきた。麻薬の密売事件で進展があった。マフィア達がビーズ島という場所で麻薬の売買をしているという噂があり、内偵して来いとの事だった。


「了解しました! 犯人を捕まえます!」

「頼むぞ。コンラッド君には期待してるからな」


 上司にも期待をかけられ、すっかりやる気になってきた。コンラッドはサレ公爵夫人の事などはすっかり忘れ、事件調査に乗り出していた。

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