ゆめは あんまり すきじゃない
ゆめは あんまり すきじゃない
ゆめの なかなら なんでもできる
そんなのはうそ
だって そらはとべないし
だって くるまはもちあげられないし
だって あしははやくならないし
だって あのことおはなしできないし
おきてるときと なんにもかわらない
やりたいことは なんにもできない
だから ゆめもすきじゃない
「おやすみなさい」
ねむそうだね といわれて ふとんにはいる
ねむいかおじゃ ないんだよ
ねるのがいやな かおなんだ
だれも きづいてくれなくて
だれにも きづかれたくなくて
しかたないから ふとんにはいる
しかたないから きょうもねる
しかたないから ゆめをみる
「こんばんは」
しらないこが あいさつしてきた
しらないこが わらってる
つられてあいさつ こんばんは
「ほら ちゃんとあいさつ できるじゃん」
しらないこが いってきた
「ここはゆめのなか ゆめだから なんでもできるよ」
しらないこが いっている
なんでもはできない そんなことはしっている
「ゆめってしらなくても ちゃんとあいさつ できたじゃん」
「ゆめってわかれば もっといろいろ できるはず」
しらないこが たのしそうにいっている
いつのまにか つられてわらってる
しらないこと おはなししている
いつもはぜったい できないこと
あのことも おはなし できるかな
「しらないひとと たのしくおはなし できたじゃん」
「だから しってるあのこなら もっとかんたん」
しらないこが ゆびをさす
そこには あのこが わらってた
「こ、こんばんは」
ゆうきをだして あいさつをする
あのこも にっこりわらって こんばんは
なにをはなしたか なんにもおぼえて いないけど
とてもたのしい ゆめだった
なんだかとても ふわふわしてて
ふわふわしたまま がっこうについて
そのまま ゆうきをだして あのこにあいさつ
「こんばんは」
まちがえた
はずかしさで かおがまっかっか
あのこも とても おどろいて
それからえがおで ごあいさつ
「おはよう だよ」
すこしだけ おはなしできた
すこしだけ なかよくなれた きがする
すこしだけ まいにちが たのしくなったきがする
すこしだけ ゆめが すきになったきがする
でも まだすこしすきじゃない
だって あのこに あいたいのに
だって あのこに おれいがしたいのに
だって あのこに あわせてくれない
だからやっぱり
ゆめは あんまり すきじゃない