いざ行かむ
レイアを追いかけるために、すぐ出発したかった。
でも、ミミに止められた…。
理由は聞いたら納得するもので…。
「火山地帯なんて、間違いなく耐熱装備が必要です!」
「雪山に行くのにも耐寒装備が必要だって言ってたもんね、全く使う気配がないけど。アレ必要だったの?」
「いずれは行くんだから必要だろ。リオはもう余計なこと言うな」
「酷っ!」
毎回一言多いんだよ!
「ゲームではまだ開放されてないエリアなら、そんな装備もないわよね〜…」
「いえ、そうとも限りません。私とシノさんなら見つけられるかと」
「やっぱりそうなるか…。見つかる場所の知識はあるか?」
「ええ、溶岩地帯の手前にハラペーニャという村があります。その近くのダンジョンなら」
いや、だから村の名前…。そこはホットチリとか、カプサイシンとかだろうが、イメージ的に!
ちょっとズレてんのは何なんだよ…。
「移動距離も相当でしょうから、食料、水、休むための馬車など買い揃えたほうがいいかと思います。レイアちゃんがいないと、テントもありませんから…」
「「「…………」」」
うちらは精神的な部分以外でもレイアに頼ってたんだな…。
先ずは必要なものを揃えるために街へ出た。
魔の国は活気があるし、店も多くて助かる。
購入したのはキャンピングカーみたいな馬車に、それを引く二足歩行の大きな鳥。
飛べない代わりに脚力が凄いらしい。ダチョウかよ。
見た目は可愛いからいいけど。
馬車の中に設置するマジックアイテムはシノ姉が拾ってたもので賄えたから、ある程度は安く済んだ。
冷蔵庫やレンジ、冷暖房に照明。シノ姉は町の電気屋かよ!
シャワーは初めから付いてるし、水とかも定期的に補充される便利仕様。
ユリノが言うには、これから行くのは殆どが未開の土地らしく、大きな街も無いって言うから食料も山程買い込んだ。
おかげで全員手持ちが心もとなくなったけど、そんなのは些細なことだ。
金はまた稼げばいい。レイアは失ったらそれまでなんだから。
準備にまる一日かかり、いよいよ出発。
リアルで銀行に行く予定だったけど、そんなのは今することじゃない。
昨夜からリオとミミはあしたの学校に備えてログアウトしてるけど、ログインすれば馬車に来れるらしい。
その為にも馬車は必要だった訳だ。
馬車を操るのはユリノ。
「じゃー案内する…?」
「お願いしますセーラ」
「お願い…?じゃー私からもお願い…レイアを連れて帰って…?それで妹達の様子も見てきてほしい…?」
「わかりました。必ず」
うちがレイアに与えたダメージはノーラとフォーラにも…。
「ユナ〜…前をみなさい〜!」
「っ…わかってる!」
もう後悔はした。この先は後悔しない為に進む! 前だけを見て。
文字どおり飛ぶ勢いで進むセーラを馬車は追いかけて走る。
揺れが少ないから、きっとレイアも喜んだだろうな…。
キャンピングカーとか絶対に食いつく。
……。
「レイアちゃんもこういうの喜んだでしょうね〜…」
「楽しそうに乗ってる姿が目に浮かぶな…」
…っ。レイア…零くん…。
「……ぅっ……」
何度拭っても、滲む視界に楽しそうに笑うレイアの姿が見えて…。
「ユナ…」
シノ姉にすがりついて泣いた。リオ達には見せられないから、今のうちに全部吐き出しておかないと…。
弱気を見せるのもこれで最後にする。だから…。
〜〜〜〜〜〜
ノーラSide
レイアのやつめ、ちっとも顔を出さんではないか!
あやつ、聞きたい事がある時だけ妾を頼ってからに…。薄情なやつじゃ!
次来たら冷たくしてやるのじゃ!
……!!!
な…なにがおこった…?
「かハッ…っ…」
頭が割れるような衝撃、身体中が痛む…。
ドラゴンの妾が!?
まさかレイア!? 何があった…のじゃ………
「っ…!」
な、なんだったのじゃあれは…。間違いなく死んだと思ったんじゃが…。
レイアに何が…?
ん…!?
レイアと妾のリンクが切とるんじゃが…?
と言う事は、レイアは…嘘じゃろ?
「嘘じゃ! 妾とフォーラの加護もあったハズじゃ! なのに…なのになんで…! 嘘じゃろレイア…」
いや、待つんじゃ。
おかしいのじゃ…。レイアが死んだのなら妾も死んでおるはずじゃ…。
となると考えられるのは、一度死んで生き返った…?
そんな事ができるのはセーラ姉様くらいか。
まさか、レイアのやつ、あね様か、姉様を怒らせて?
違うのじゃな、アヤツはアホじゃがあね様や姉様を怒らせるようなやつでは無いのじゃ。
ましてや妾たちの繋がりもあるレイアを手にかけるほど怒らせるなどあり得んのじゃ…。
どうなっとるんじゃ本当に…。
「誰か説明するのじゃーーーー!」
もういいのじゃ…。こうなったら最後の手段。
ここの歪みが開くまで数百年の猶予はある事じゃし、コアだけ隠して…。
まずはフォーラのとこじゃな。
あやつも影響を受けとるはずじゃし、見に行ってやらんと…。
レイアめ…妾に手間を掛けさせた借りはきっちり返してもらうからな!
覚悟して待っとれよ!
世話の焼けるやつじゃ、本当に…。




