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異世界に弟を奪われた姉達の奮闘記 〜なお弟はTSしても異世界を気ままに満喫中〜  作者: 狐のボタン


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追うもの



「はぁ…はぁ…」

「ここまで敵わないなんて…」

「魔王は伊達じゃありません…ね…」

「私だけ扱いが酷い…」

リオは当然だろ…。あんな事言うから。


「もう休憩はいいか?」

まだやるの…!?

うちが悪いとはいえ、元はといえばあの吸血鬼が……あれ?


「お母さん! 吸血鬼がいない!!」

「あぁ?」

振り返ったお母さんは、バルコニーからぶら下がるロープを見上げた直後、城の中へ走っていった。


うちらも追いかけたいけど、もう…。

回復役の人達も疲れ切ってるし、無理は言えないな。

「飲んでください! 少しは回復しますから」

ミミが飲ませてくれたのは恐らく回復薬。

確かに身体が起こせるくらいには力が入る。

「助かったよミミ」

「よかった…!」

ミミはシノ姉とリオにも飲ませてくれてる。


「ユリノさんも飲んでください。ゲームのアイテムですけど。 効果があるといいのですが…」

「ありがとうございます…。……っ!! 味がしません!」

「元々回復薬に味は…ってまさか!」

味がしない…?それって…。


うちらはなんとか回復したばかりの身体にムチを打ってレイアを寝かせていた部屋へ向かった。

「…………」

「お母さん…?」

真っ暗な部屋にはへたり込むお母さんと、空になった棺型のベッド…。

やっぱりか…。くそっ!!

またレイアを!!


「レイアちゃん…」

シノ姉も崩れ落ちた。

「零…嘘よ…」

リオも。

「そん…な…レイアちゃん!?」

ミミも取り乱してる。


「………」

「ユリノ?」

「……………」

「おい、しっかりしろ!」

「ユナさん、レイアは本当に私の事を忘れてしまったのでしょうか…もう私は必要ないのでしょうか」

「本気で言ってるのか?」

「わかりませんっ! …レイアと再会してからも、あの子の事が何もわからなかったのです。以前は手に取るように考えてることがわかったのにですよ?」

そういや言ってたな…。


「相棒であり、信頼の証、そう思っていたんです…それなのに…うっ…ぅ」

まさかユリノが泣き崩れるとは…。

あまりにも皆がおかしくなってるから、うちは冷静でいられた。

違うか…、理解が追いついてなくて、取り乱すことすら出来ない。



「…私のせいだ。きっちり閉じ込めておけば…!!」

「お母さん、それは無理だよ。あいつ霧になったりするから、物理法則も何も通用しないんだし」

「何か方法があったかもしれないだろうが!! それなのに…」

「…絶対に見つける。うちが絶対に零くんを見つけるから」

「どうやってだ! なんの手がかりもないんだぞ!」

「だから諦めるって? ありえないね。うちは絶対に諦めない! まだ謝ってもいないんだよ、この手で、守ると誓った手でレイアを傷つけたのに…。許してもらえなくてもいい。忘れててもいい。必ず見つける」

「由乃…お前…。 わかった、私は常にこっちにいられねぇからな、任せる」

「うん、任されたよ。お母さんが鍛えてくれたし、うちはもう迷わない! 後悔しないようにね」

「あぁ…」

お母さんがうちに抱きついてくるとは思わなくてビックリした。

でも、これがお母さんからの信頼で、託された想いだと心に刻みつけておくよ。


「ユナ、私も行くわ〜…もう後悔したくないもの」

「私も行く。何処までだって追いかけるから」

「私もです! もう一度相棒と呼んでもらうまで諦めません!」

「私も…まだ足手まといかもしれませんが連れて行ってください!!」

「あぁ。うちらは一緒だろ?零…レイアへの想いも!」



先ずは情報の整理だ。

念の為にと、リオとユリノが吸血鬼の城を確認に行ってくれた。


「最後に、レイアと吸血鬼の二人と話したのはお母さんだよね? どんな話をしたの?」

「あぁ…そうだな…。まず零だか、私達の記憶が一切なかった。家族はあの吸血鬼しかいないと言ってたな」

「…そんな〜…」

「他には?」

「いや、あまりにショックでな…。そのまま吸血鬼を問い詰めに行ったから」

「じゃあ吸血鬼とはどんな話をしたか覚えてる?」

「んー…」


記憶を辿るように話してくれるお母さんの話からなにか手がかりがないかと思ったけど、無理か…。

些細な事でもいい。何か見逃してないか…?考えろ…。


「…行き先まではわからないけど、方角なら見届けてきた…?」

「セーラ! 追いかけてくれたのか!」

「東に向かった…?」

「なんで、なんで止めてくれなかったんだ!!」

「…私もまだ本調子じゃない…?ましてや仮の姿…?見つからないよう追いかけるので精一杯…?」

「ごめん。うちのせいだ」

「それはもういい…? それより追うなら早くしたほうがいい…?」

「わかった。 なんの手がかりもなかったから助かる」

リオとユリノが戻り次第出発だな。



「東ですか…まだゲームでは開放されてないエリアですね」

「そうなのか?」

「はい、順次解放されていくシステムなので、多少の情報くらいしかありません」

「わかる範囲でいい、何がある?」

「えーっと…確か火山地帯で過酷なエリア、強敵も増えますから侵入には最低レベルが設定されるとか、後は温泉も沢山あるとか」

「レイアちゃん、お風呂好きだものね〜…」

そうだとして、わざわざそんな過酷なエリアの温泉に行くか?

ダメだ、まだ情報が足らない!


「和桜の国です。レイアが持っていた武器の発祥の地、和食の本場です。溶岩地帯を越えた先、極東にあるのが和桜の国なんです」

「ユリノ! 戻ってたのか」

「私もいるんだけど…」

「おかえり〜。 和食ね、間違いないわ。向かったのはそこよ〜!」

「でも零は記憶を弄くられてるのに?」

「確かにその影響が無いとも言えませんが、本能的に求めるものは変わらない気がしませんか?」

向かったのが東、その先にある和食の本場、零くんの和食好き…これだけ条件が揃えば可能性として充分だろう。それに…


「しかも過酷なエリアを越えるとなると、あの吸血鬼が逃亡先に選ぶ理由としても納得だ。うちらが近づきにくいと判断してもおかしくないだろ」

「でも、どうするんですか?まだエリアの開放はされていません。今現在、私達はレイアちゃんの影響範囲の外にいるんです。侵入できるかさえわからないんですよ?」

「………」

それは………。


「行く価値はあると思いますが?」

「だから行けるかわかんねーっていってるのに…」

「いえ、私とシノさんがいますから」

「なぁ、どういう事だ?私にもわかるように説明してくれ」


説明してくれるユリノの言い分は確かに可能性として賭けてみるだけの価値はありそうに思えた。

「先程、城の確認に行く途中で、私の手持ちにある食べ物を摘んだんです。私は味がわかりました」

「私もそれを貰ったのだけど、何も味はしなかったわ」

「シノさんも手持ちの物をなにか食べてみてください」

「え…ええ…」

うちらは食べるシノ姉を見守る。


「ね、ねぇ、そんなに見られてたら食べにくいわ〜…」

「うるせぇ! 早く食え!」

取り出してた野菜を無理やりお母さんに口へ押し込まれるシノ姉。

ちょっとみてらんねー光景だなこれ。


「うぐっ…にがぁ〜…」

「やはり味がわかってますね」

いや、冷静かよ…。生で土のついたままの野菜を口に詰め込まれてんだぞ?

サラダじゃねーんだからな!?

食べるってのにそれをチョイスしたシノ姉もシノ姉だけど…。



「そっか! お二人はそちらの世界にいるから、レイアちゃん程では無いけど、お二人はそちらの世界と、ゲームの世界をつなぐ可能性があるって事ですね!」

「ええ。そうでなくても、私とシノさんだけは間違いなくレイアを追うことができます」

「そういう事か…。わかった、じゃあ私もできる事をしてくる」

「お母さん?」

「…京の姉だよ。奴らにエリアの開放を急がせる。私にはそれくらいしかできん。零の為だと言えば嫌とは言わねぇだろうさ。多少の代償くらい払ってやる。今回は私にも落ち度があるからな」

「お母さんがあの人達に頭下げるの!?嘘…」

「うるせぇよ理乃。零の為ならプライドなんぞいくらでも曲げてやる。お前たちはすぐに向かえ」

ありがとう、お母さん…。


「じゃあ、ギリギリまでは案内する…?」

そういや、セーラって結局どっちの存在なんだ?ゲームか?レイアのいる世界か?

…まぁ、今はいいか。


「よしっ! 行くぞ!!」










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