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異世界に弟を奪われた姉達の奮闘記 〜なお弟はTSしても異世界を気ままに満喫中〜  作者: 狐のボタン


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記憶



アリスの霧から解放された後も頭がぼーっとしてるし、身体に力が入らない。

攻め込んできた人達のせいでボロボロになってたお城の寝室をアリスが直してくれた。

フラフラしている私は棺のベッドで寝るようにって。

でも、私達の寝室にアリスを攻撃してた人達もついてくるのはなんで?

実は仲間だったの?


「しばらくアリサは休んでなさい」

「アリスは…?」

「この城にはいるから大丈夫よ」

そう言われてホッとしたからそのまま眠った。


ーーー

ーー



なんかガタガタと揺れる。

また攻撃されてるの!?

起き上がろうとしたら頭をぶつけた。

「いっつ〜…」

そうだった。蓋があるんだったこのベッド。


中から開けようとしても開かない。

声を出しても聞こえてないみたいで、ずっとガタガタと揺れる。

…なんかこんな事が前にもあった様な?

思い出せない…。


そのうち揺れにも慣れてきた。

身体がダルいし力も入らなくて、気がついたらまた寝てた。



次に気がついたのは、アリスに揺すられて起こされた時だった。

「アリサ、目は覚めたかしら?」 

「うん。ダルかったのもマシになったよ」

「そう。よかったわ」

なんか元気がないけど、どうしたんだろう?


「レイア! 気が付きましたか?」

「身体は大丈夫なのよね〜…?」

誰だろうこの人たち。

アリスに攻撃してたくせに。

私の事レイアって呼ぶのはなんで…?

「…っ……」

痛い、頭が割れそうに痛い…。


「だから言ったのよ、無理させたら負担がかかるって!」

「ですが…!」

「…いつになったら落ち着くのよ〜…」

「死にかけてたのよ?時間がかかるに決まってるじゃない!」

そういえば、死にかけてたんだっけ…。

アリスが助けてくれた。命の恩人。私の大切な人。


「アリス…」

「大丈夫よ、アリサ。ほら、もう少し寝てなさい」

「う、うん…」

無理矢理寝かそうとしてくるのは心配してくれてるからかな。

まだ頭痛もするから大人しく横になる。



次に目が覚めた時には、角のある赤い髪の女の人が目の前にいた。

「零、大丈夫か?」

「…れい…?」

何でみんなバラバラの名前で私を呼ぶの?


「まだどこか痛むか?」

「…ううん。頭痛も今は平気」

「そうか…。心配したんだぞ?全く…」

「あ、あの…貴女は誰ですか?」

「…は? おい、冗談だよな? 確かに私はお前にとっていい母親ではなかったかも知れんが、そういう冗談は笑えねぇからやめてくれ!」

「母親…?」

また少し頭痛い…。

「おい! 嘘だよな? お母さんって呼んでくれただろう!」

「……?」

「……詩乃、由乃、理乃はわかるか…?京は?みんな家族だ! 友達の美緒は!?」

「誰のことですか? 私の家族はアリス一人だけです」

「うそ…だろ…」

ものすごくショックを受けた感じの女の人はそのまま部屋を出ていった。

本当に知り合いなら思い出してあげたいけど…。



「…私のことはわかる…?」

今度は小さなドラゴン…?

「ごめんなさい、誰ですか?」

「…やっぱりダメ…?加護もきれてるし…?ノーラとフォーラの力も感じない…?」

ボソボソと話してた小さなドラゴンは、窓から飛んでいっちゃった。

そういえば、ドラゴンって敵だったんじゃなかった?敵意感じなかったけど…。


……?それより、ここはどこ?

アリスと住んでた部屋と違う! アリスは!?

”大丈夫よ…今はちょっと傍に行けないだけだから。抜け出したら迎えに行くわ”

抜け出す…?

”こっちの話よ”

わかった…。


それっきりアリスの声も聞こえなくなった。

知らない部屋、知らない人、落ち着かない。

アリスといつもの部屋に帰りたいよ…。早く迎えに来て…。




〜〜〜〜〜〜〜



アリスSide



やっぱりこっちへ来たのは間違いだったわ。

でもアリサを救うために力を分けてしまってるから、あいつらに対抗するほどの力もないし…。

なによりアリサを置いていくなんて選択肢は無い。

アリサの為に用意したベッドを勝手に担ぎ上げて運ぶんだもの…。あれ、ものすごく重いのよ?

アイツらみたいな脳筋に言っても仕方ないのかもしれないけどね。



此方では数時間しか経過してないけど、血霧の中では、あの子の治療に数十年単位の時間がかかった。

時間経過によって、封じてあった記憶そのものが薄れてるのはラッキーだった。

あの子が一度死んで、アクセサリーの効果でかろうじて息を吹き返した事でドラゴンの加護も消えてるから、アタシの干渉へ抵抗もない。

ふふっ、いいわ。ここへ来たこと以外は上手くいってる。


後は、この国の魔王だっけ?そいつと面会だけしたらアリサを連れて脱出しましょう。

アリサの姉達から、魔王に説明しろって言われてるのよね…。

何でアタシが?って思うけど、力が半減してる以上、無理できないから仕方ない。


あの子を連れてどこへ行こうかしらね…。

もっと暖かい地方?

アタシの力を分けた事で、真祖となって復活したアリサもすでに日光耐性は手に入れてるし、どこにでも行けるわ。


そんなことを考えていたら、凄まじい音と共に部屋の扉が蹴破られて、私の目の前を扉が通過、ガラス窓を破って外へ飛んでいった。

やれやれ…この国は野蛮なやつしか居ないのかしら。


「おい、吸血鬼! 私の零に何しやがった!」

レイ?あーアリサの事ね。レイアかレイかハッキリしなさいよ、ややこしいわね。


「何って、命を救ったのだけど?」

アリサと同じ髪と目の色、こいつが母親の魔王ね。

姉を名乗るやつらから、あの子が魔王の娘、つまり魔の国の王女だと聞いた時はビックリしたけど、なるほどね…。


「救ってどうして記憶がなくなる?」

「離しなさい! 馴れ馴れしく触れるんじゃないわよ!」

いきなり掴みかかってくるとか、魔王ってどこまで野蛮なの?


「そもそもお前が原因だろうが! 戻せ! 零を、私の零を…記憶を! 元に戻せ!」

「無理ね。命の代償よ。恨むならあの子を死なせかけた姉とやらを恨みなさい」

「言われなくてもそっちは落とし前つけさせる。それより記憶だ!」

「そんなに記憶が大切?ふんっ、運が良ければ戻るかもしれないわね」

「記憶ってのはな、生きてきた証なんだよ。積み重ねてきた代えのきかねぇものなんだよ。 わかんねぇか? いいさ、その身体に刻み込んでやる。恐怖って記憶をな!」

「…な、なによ?」 


それからはもう意味がわからなかった。

霧化しても当たり前に殴ってくるのはなんなの?

物理攻撃無効の筈なのに!

「お前だけは許さねぇ…! すべての原因はお前だからな」

「…そう。好きにしたらいいわ。私が消えればあの子も消える。それでいいのなら好きにしなさい」

「な…に…? どういうことだテメェ!」

「瀕死のあの子を救うためにアタシの血と力を分けたのよ。二人で一人なの。どちらかが消えれば二人ともってね…」

まぁアリサ本人が力をつければアタシも力を取り戻せるし、独立した個として存在はできるけど、今それを言ったら不味い。

こいつ、間違いなくあの子の姉達と比較にならないくらい強い。

全く! どうなってんのよ…。この世界のパワーバランス崩れてない?



結局、霧化もできなくなるまで殴られて、魔力もなくなり、回復するまでは霧化して逃げることもできず…。

縛りあげられて窓から吊るされる屈辱。

たった一人のために何でアタシがこんな目に!

一瞬、アリサを置いて逃げようかって考えも頭をよぎったけど、アリサから流れてくる感情がそれを許さなかった。

本気でアタシを信じて、迎えに来るのを待ってる。

一切の疑いもなく…。

そんな子を置いていける?

無理よ…。絶対に後悔する。

一人、眠りについて目覚めた時のような孤独と後悔は二度としたくない。


今は魔力の回復を待つしかないわね…。

一人のために命をかける?それも良いじゃない。


待ってなさいアリサ。必ずアタシが連れ出してあげるから。


ーーー

ーー

 


「何であの子に手を出した…?」

魔力回復しようと大人しくしてるのに今度は何?

「答えて…?」

「…アタシ達の話も言い分も聞かずに、戦いに巻き込んで家族を奪った仕返しよ」

「あれ…本当だった…?」

「何度も言ったわよね!? だからアンタ達ドラゴンの加護を持ってるあの子を奪ってやったのよ!」

「それだけ…?」

「…最初はそのつもりだったのよ…。でも今は違う」

「だから自分の力を分けてまで助けた…?」

「そうよ! 悪い?」

「…おかげで私も助かった、多分妹たちも。だからありがとう…?」

「ふんっ! 別にドラゴンなんてどうでもいいわ。あの子を死なせたくなかっただけよ」

「そう…」

忌々しいドラゴンが!

アイツらが復活したのはアクセサリーの効果だろうけど…。

恩を売っておけるのならそれでいいわ。



ーーー

ーー


…………うるっさいわね! こっちは休んで魔力回復したいのに!

ドカドカとうるさいし揺れるし、なんなの?


なによあれ…。バカなの!?

吊るされてるアタシからも見える広場で繰り広げられてる戦闘。

数人しか居ないのに、ドラゴンとヴァンパイアの全面戦争でも見ているかのような惨事。


やってらんないわ…。

早くアリサを連れてこんな国出て行かなきゃ。

あんなのマトモに相手してたら命がいくつあっても足りやしない。


ようやく回復したのは半分ってところかしら。

アリサの魔力も借りれば脱出くらいは出来そうね。


霧化したアタシは拘束を抜け出しアリサと合流。

未だバカみたいに戦ってる音を後ろに聞きながら城を脱出した。

「アリス、来てくれるって信じてた!」

「ええ…知ってたわ」

ほんとにもうこの子は…。


「アリサはどこに行きたい?」

「何処でもいいの?」

「ええ、ここ以外ならね」

「じゃあ美味しい和食が食べたい!」

「わかったわ」

それなら、向かうのはあそこしかないわね。

距離もあるしちょうどいいわ。


夜闇に紛れて向かうのは極東。

「手を離したらダメよ」

「うん!」

離したくないのはアタシの方なんだけどね…。



























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