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異世界に弟を奪われた姉達の奮闘記 〜なお弟はTSしても異世界を気ままに満喫中〜  作者: 狐のボタン


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力の矛先



「犯人がわかった…?」

「本当ですか!?」

「うん…吸血鬼で間違いない…?」

「居場所は! 居場所はわかるのか?」

「コアにあった痕跡を辿って見つけた…?だから教えに来た…?」


うちらは魔王城を飛び出すと、セーラの案内で魔の国を全速力で走った。

遅れるミミは小脇に抱えてるけど。

「足手まといですみません…」

「気にするな。心配なんだろ?」

「それは当然です!」

なら一緒に連れて行く。

うちだってこんな状況で置いて行かれて、蚊帳の外なんてコトになったら耐えられない。


「大陸からでると私は力が出せない…?戦闘になったら任せる…?」

「戦うのは構いませんが、セーラ、貴女大陸を出ることができるのですか?」

「レイアと繋がってる今なら…?」

セーラは力が使えないって言いながらも迷わず大陸を出て、うちらを案内してくれる。

守らなきゃな、セーラも。



魔の国のある大陸との境目は大きな山脈。

こっちが本来の陸地らしい。

そういや、魔の国ってセーラの背中なんだっけ。

「この山脈の上…?」

なんてとこに居を構えてやがる…!


人の手が入っていない山は険しく、容易く移動はできない。

かと言って木々をなぎ倒すような行動は大きな音がでる。

「救出作戦で音は致命的です! ギリギリまでは静かに移動してください」

ユリノの言いたいことはわかる。

大きな音を立てて、警戒されたり逃げられたらお終いだ。


仕方なく山を地道に登る。

時間がかかって疲れるというよりは、焦る気持ちを落ち着ける方がキツイ。



数時間かかってやっと見えたのは大きな真っ黒な城。

魔王城かよ…。

「偵察してくる…?」

飛べるセーラは先行してくれた。

うちらは城の壁沿いで身を潜める。


特に見張りとかもいないけど、もしもがあるし…

ガシャーンっとガラスの割れる派手な音。

「見つけたようです! ここからは時間との勝負です、行きますよ!」

ユリノはそう叫ぶと目の前の壁を棍棒で叩き壊した。


あー、もう暴れていいんだな?

それからはもう、うちらは加減も自重もせず破壊しながら城の中を進んで、あっという間に城の主の元へたどり着いた。


「レイアを返しなさい!」

いきなり突っ込んでいくユリノ。

うちはミミに避難してるようにだけ言って、戦闘に混ざる。


反撃はしてこないけど、羽根を使ってちょこまかと飛び回る!

しかも当たったと思っても攻撃は空を切る。

うちは! お前を! 殴らないと気がすまないんだ!!


頭が沸騰しそうなくらいイラついたうちは、シノ姉の弓を躱して無防備な吸血鬼の頭に上段から思いっ切り棍棒を振り下ろした。


初めて手応えがあった。

ヤッたと思った…。でも、うちが殴ったのは…

「レイア!?」

「…やめろ…アリスに手を出すな…」

なんで…?どうしてそいつを庇うの…?


うちの攻撃で床に叩きつけられたレイアは、血の海の中に沈み、ピクリとも動かない。

……そんな…うちはレイアを…?

放心してその場から動けなかった。

だって、うちがレイアを…零くんを…。


シノ姉達がレイアに駆け寄るのがスローで見える。

うちは近くに行くこともできない。

すこし離れた所では、セーラも血を吐いて倒れてる。

そうだよな、加護を与えてくれてたドラゴンにも反動は行くんだから…。

ノーラやフォーラも今頃は…。


「うちは…うちが……うわぁぁぁぁぁぁぁぁ………」

レイアが、零くんがいなくなったらうちは…。

しかも他ならぬこの手で零くんを…。


「…アタシなら助けられる。どうする?唯一の望みであるアタシを始末したいなら好きにしたらいいわ。でもそうしたらその子も助からない」

吸血鬼…!! お前のせいで!

…でも、助けられる?零くんを…?


「本当に、本当に助けられるのか?」

「ええ…早く決めなさい。時間がないわ」

「助けてくれ!」

「わかったわ」


吸血鬼はレイアに近づくと、シノ姉達を追い払う。

「何するのよ…!」

「邪魔なのよ。助けたいのなら離れてなさい!」

「〜〜っ!!」

シノ姉もリオも、ユリノも苛ついてるのはわかる。

それでも…助けられるのなら。と、引いた。

「レイアちゃん…」

隠れていたミミも戦闘が落ち着いたからか近くに来た。



吸血鬼は赤い霧のようになるとレイアを包んだ。

中で何が起きてるのかは見えないしわからない。

不安しかないけど、未だ力の抜けたうちは動けない…。

「ユナ、あれは事故よ…」

「でも!!」

「ユナ姉、あれは無理だよ。私もあんな風に庇って突然出てこられたら…」

「ええ…誰もユナさんを責めたりしません。私でもアレは…。しかし、レイアはどうして吸血鬼を庇うような事を…」

うちがわかるかよ…。



体感的には何時間も待った。

もっと長かったのか、短かったのか…。うちにはわからないけど、赤い霧が晴れた。


「…真祖のヴァンパイア、アリサの誕生よ」

アリサ…?

「………」

虚ろな目で立ってるのはたしかにレイア。

でも精気がなく、まるで…。

いや、その先は言いたくない。


「レイアに何をしたのですか!!」

「落ち着きなさい! まだ馴染んでないのよ…一日もすれば落ち着くわ」


「…ヴァンパイア…?真祖…?」

セーラも復活してる。

「セーラ、大丈夫か!?」

「なんとか…?マジで死ぬかと思った…?」

「ごめん…」

「いい…。私達三人の加護が意味を成さないとか予想できない…?」

それは…本当にごめんとしか言いようがない。


でも…うちはここにいていいのか?

レイアを死なせるところだったんだぞ?

この手で…。守ると、幸せにすると誓ったこの手で…。

傍にいたら、うちはまたこの手でレイアを傷つけるのか?


今までも無意識に傷つけてきた。

それで怖がられたりもしてた。でも今回のは…。

変わると、そう誓ったのに。


耐えられなくなったうちはそのままログアウト。


追いかけるようにログアウトしてきたリオを振り払って、自室に引きこもった。

もう、レイアに合わせる顔がない。

うちは傷つける事しかできないんだから…。








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