言葉の重み
っ!!
「レイア大丈夫ですか?」
「…あぁ、なんかすっげぇひどい夢を見た」
風呂に入ってたら、ユナ姉が入ってきて、オレの目の前でタオルをガバーって…。
まるで学校帰りに出会った変態オヤジみたいなことをされた。
「残念ですが現実です」
嘘やろ?ユナ姉がそんな変態通り魔みたいな事を…。
「私も見せられましたから」
「はぁ…」
ならアレは現実か…。
変なオプションは無くなってたのは確認できたけどな。
「レイア…ごめん。大丈夫?」
「変態通り魔!」
ユナ姉は真っ白になって固まったけど、言われても仕方がねぇからな、あれは…。
「それよりレイア、変態オヤジに会ったとは?」
「だから心読むなや…」
「話してくださいレイア」
「ったく…! 学校帰りにな?コート姿のおっさんに、ユナ姉みたいな事されたんだよ。ようやく夢に見なくなるくらい忘れてたのに、また思い出しちまった…」
別にユナ姉がキツイとかじゃなくて、記憶がフラッシュバックしてキツイんだよ…。
「レイアちゃん…それ私聞いてないわ〜」
「私も聞いてない! 見つけ出して始末してやるわ…」
「言えるわけねぇだろ…あんな、あんなの…」
思い出したら気持ち悪くなってきた…。
「レイアはしばらく休んでなさい」
「あぁ…」
「私がレイアちゃんについてていいですか?」
「そうね〜ミミちゃんに任せるわ〜」
「とりあえずユナ姉は撤去しとくから」
リオ姉とユリノ姉が固まってるユナ姉を運び出してくれた。
シノ姉は飲み物を淹れてくれるって。
部屋に残されたのはオレとミミだけ。
「大丈夫? そんな怖い体験してたんだね…」
「まぁな…男のオレがそんな目にあったなんて恥ずかしくて言えねぇだろ?しかも逃げ帰ってきたんだからよ」
「ううん…誰でもそんなの怖いよ」
「ありがとな。ミミ」
「ユナさんのもキツかったの…?そんなに女の人が苦手?」
「…いや、思い出しちまったからだ。 ユナ姉のはビックリしただけだな。だって、そもそも姉だし、弟のオレが言うのもアレだけど、ユナ姉は美人だろ?小汚えオッサンとは違うからな」
「…へぇ〜」
「おい…また闇落ちするなよ!」
「しないよ! ちょっとイラッてはしたけど」
それを闇落ちって言うんじゃねぇか?知んねぇけど。
「美緒は美人というよりは可愛いだったよな。うちの姉たちとは違ってさ」
「そ、そうかな!?」
「こっちのミミは大分キャラクリをイジってんだな?勿体ねぇ…」
こっちはこっちで可愛いんだろうけど。
「ちょっと待ってて!」
そう言ったミミは突然ログアウトしていった。
なんだよ…。せっかく会話してたのに。
「レイア…あなたはもう少し発言に気をつけなさい!」
なんでユリノ姉に怒られるのか、これがわからねぇ…。
軽い世間話してただけじゃねぇか。
ま、おかげで落ち着いたけど!
だいたい会話の盗み聞きは趣味が悪いぞ?
「シノ姉の淹れてくれたココアを持ってきてくれたのはありがとう」
「本当にこの子は…」
「それより、オレはどれくらい寝てたんだ?」
「三時間弱ってところです。今はもう夜ですから外も真っ暗ですよ」
そんなに寝てたのか。
「寝てたというより気絶ですよ」
そうだな? せっかく酔わずに船旅できてたのに勿体無ぇ…。
マップを開くと、海のド真ん中にいるのだろうってのはわかる。
通ってきた所が水っぽい表示だし。
ワンッダからかなり離れたな…。
一度コクピットへ行って周囲の確認でもするか。
「私も行きます」
「いいぞー」
コクピットの窓から外を見てみたけど、たしかに真っ暗。
「暗視は意味ねぇの?」
「あれは自分のいる空間に働くものですから、今でしたらこの部屋のみです。浮上して船外へ出れば見えるとは思いますよ」
ややこしいやっちゃな…。便利なものでも万能ではないってことか。
じゃあ昼間に水中が明るく見えてたのは仕様か。
「なにか見たかったのですか?」
「ん? あぁ。他の船とかいねぇのかと思ってな」
「それでしたらあらかた追い抜いてきましたよ?」
「マジで?」
「ええ。海上では何度も戦闘が起きてまして、それらを素通りしてますから」
詳しく聞くと、でっかいイカみたいなのやら、海賊なんてのまでいたらしい。
なにそれ、ちょっと見たかったんだけど!
パイレーツやろ?眼帯したおっさん達の…。
「女海賊団でした」
なんっでやねん!
「何人か男性が捕まってましたよ。今頃は…」
「おいやめろ…想像させんな」
過酷な労働をさせられてるんやろうな、可哀想に…。
ほんと、このゲームどないなってん…。いや、オレのいる世界の方か?
どちらにしても潜水艦にして正解だったって事だな。
本当、姉達に感謝だ。
「でしたら、ユナさんと仲直りしてくださいね」
「…落ち着いたらな」
今はまた連想して思い出しそうだし…。
気晴らしにレクリエーションルームでテレビゲームをやってみたんだけど、なんで16ビットなん?
レトロゲームかよ! クリアするまで帰れねぇやつやん。
おでこに貼るヒエヒエクールがいるな!
「あっ、レイアちゃんいた!」
「おーミミ。ゲームするか?」
「それよりちゃんとこっち見て!」
なんだよ…。ゲームオーバーしたら帰るの遅くなるんや…ぞ…?
「美緒…?」
「うんっ!」
「やっぱり可愛いな。オレは前のミミよりそっちのが好きだぞー」
「…やった!」
やたら上機嫌のミミとのレトロゲームチャレンジは、あと少しでクリアって所でシノ姉にゲームを消されて終わった…。
「いつまでも遊んでないで寝ないとだめよ〜?何時だと思ってるの…」
「あと少しだったのに! また始めからじゃねぇか…これは今日中に帰れねぇやつだ」
「延長だね!」
「何言ってるの〜…寝なさいって言ってるのよ…?」
「ひっ…」
ヤバい! シノ姉がキレる!
「ミミ、寝るぞ! ほら、早く!」
「えっ、ちょっと…待って…」
待ってたらエラい目に合うんだって!
自分の個室に駆け込んだオレはベッドに潜り込んだ。
「レイアちゃん!?」
「早くミミも! ヤバいから」
「ええっ!?こっちのがヤバイような…嬉しいような…」
「あーもう! 見つかる前に早く!」
「ひゃんっ…」
ミミを引っ張ってベッドに引きずり込むとようやくホッとして…。
「レイアちゃん、強引すぎ…」
「………」
「嘘…こんな事しといて寝たの!? まったくもう…幸せそうな顔しちゃって。怒るに怒れないよ…」
翌朝、目が覚めたオレは、目の前にミミの寝顔があって驚きすぎてベッドから転げ落ちた。
「…おはよ…レイアちゃん」
「お、おはようございます」
「ゆうべは激しかったね?」
なにがやねん!! ふふって、照れて笑うなよ…。
何かあったみたいになるだろーが!
この後、姉達にバレてめちゃくちゃ怒られたのはもう思い出したくねぇ…。
巻き込んですまねぇミミ。




