姉達の準備
「私、ずっと零に嫌われてたのかな…」
昨日ログアウトした後に理乃がそう呟いてて。
学校での事とかは初めて聞いたからな。あり得ないとも言いきれない。
でも、ちゃんとレイアはリオの事も抱きしめてたよな?
朝になってログインした後にユリノにも聞いてみた。
「レイアも自分が嫌われてると思ってますね。お母様にも…」
「そうか…ありがとな」
「訂正しないのですか?」
「うちらが違うと言ってもそれが響くとは思えないんだよ。 拗れない様に手助けはするけどな」
「わかりました。こちらも気をつけておきます」
「あぁ。頼む」
ユリノも頼りになるな…。
レイア達とは別行動して、ギルドで情報を集めるために移動。
あの子はまたドラゴンに会いに行くとか言ってた。レイアは友達に挨拶するって感覚らしいけど…相手はどう思ってるのやら。
手が出せないのは本当にもどかしい!
もどかしいのは妹の理乃もだけど…。
シノ姉にも相談しておくか。味方は多いほうがいい。
「理乃はそんなに拗らせてるの〜?」
「多分だけど、前のうちに近いかも…」
「重症ね〜それは…」
その言い方は、うちにダメージあるからやめて!?
「ユナはどうするつもりよ〜?」
「まずは見守るつもり。本人達が気がつくのが一番だろ」
「そうだけど〜手助けくらい…」
「それはもちろんする。悪化して傷つく二人は見たくねーから」
「そう…。変わったわね〜由乃」
「レイアとユリノ、それにシノ姉のおかげだよ」
それは間違いない。
だからうちも理乃のために一肌脱ぐのもいいじゃないか。そう思えるくらい心に余裕ができた。
ギルドへ入り、まずはどちらの影響が強いか確認。それによって街を変える必要がある。
端末とかがあるから、ここはゲームの影響が強いな…。それならここでも情報は集められるはず。
オークションを確認してるシノ姉は船のパーツの値段とかを確認してる。
ミミが余ったパーツを処分したから、その売値と比較でもしてるのかも。
「そういえばシノ姉、零くんのためにって貯金してたのはどうなったんだよ?」
「まだ確認してないわ〜だってログアウト出来てないもの〜」
「もう大丈夫じゃねーか?ほぼ消えてるし」
「そんな事無いわ!」
気持ちはわかるけどな。レイアのつけてくれた印の消えていく切なさは言葉では言い表せない。
うちらは暫くギルドに滞在して情報も集めた。
周りの会話からも明後日には船のレースがスタートすると言う話が聞けた。
デカデカとポスターまで貼られてるから間違いない。
明後日は丁度土曜日だし、週末はログインしっばなしになるなこれは…。
お母さんにも、レイアを連れていく目処がたったのは伝えた。
あんなに嬉しそうにしてるお母さんはあまり見ない。
直近で見たのは、お父さんと零くんから誕生日のプレゼントをもらった時か。
二人のいない時にあの顔をしてた。
あの様子を零くんの時に見ていたら…。
レイアのお母さんへの印象が違ったんじゃないかと思ってしまう。
船旅を終えて魔の国へ到着したら、お母さんにログインしてもらう手筈になってる。
それまでは大人しく待っててくれる事を願うしかない。
「必要な情報は集まったし帰るかー」
「そうね〜船旅に必要な物とかは大丈夫なのかしら…」
「あぁ、そっちはユリノとレイアが買い出しに行ってくれたから。うちらも自分達の装備というか服くらい買いに行く?」
二人も買ってきたと言ってたし。
ユリノはレイアの服を楽しみにしておくようにとか言ってた。
「海ねぇ…」
「水着は必要だなぁ」
「ユナは選ぶとき気をつけなさいよ…?」
「なんでだよ?」
「それ…いい加減自覚しなさい。ポロンなんて洒落にならないわ〜私に見せないでよ〜?」
言われたらそうだった…。またレイアに叫ばれたら泣ける。
慣れてもらうのはまだまだ先になりそうだな…。
というか、元々男だったレイアが見慣れてない筈はないと思うんだけど、わかんねー…。
零くんって男の子だったよな!?不安になってきた…。 見た目も、髪や目の色以外レイアのままだし。
「なぁ、シノ姉」
「うん〜?」
「零くんって男の子だったよな?女の子だったなんてことは…」
「ユナは何を言ってるのよ…間違いなく男の子だったわよ〜小さい時にお風呂入れてあげたから覚えてるでしょ〜?」
「そうなんだけどな…。じゃあ、なんでうちをみて叫んだんだよ?見慣れてるはずだろ」
「…ユナって時々バカよね〜?」
「シノ姉!?」
「姉だと思ってた相手に突然そんなもの付いてたら叫びたくもなるわよ…。私だって叫ぶわ〜というか殴り飛ばすわね…」
なるほどな…。てことはあれじゃん! レイアはうちを本当に女として見てくれてるってことだな。
キャラ作り直すか?でもなぁ…必要になるのは確定してるし。
悩ましい!!
「あ、あの店ならいいのあるかもしれないわ〜」
シノ姉が指差す先には落ち着いた雰囲気の服が飾られた店。
確かにうちらが着るにはいいかも。
服は買えたけど、あいにく水着はいいのがなく、店を何件か回って危険のなさそうな水着を見繕った。
ビキニの上にショートパンツを履いて抑えつければ大丈夫だろう。
それにしても…
「なぁ…シノ姉のは攻めすぎじゃねーか?」
「私は変なものついてないもの〜。レイアちゃんに見てもらうのよ〜」
レイアに色仕掛けは…まぁいいか。
冷めた反応されて凹んでたら慰めれば。
「レイアちゃんのはどうしようかしら…」
「可愛いのがいい!」
「そうよね〜」
二人であれでもないこれでもないと自分達の水着より本気で選んだ。
黒いビキニと白の半袖ケモミミパーカー。
なんだろうな?レイアにはケモミミがついてるのが似合う気がすんだよ。なんでだろうな?
「食べ物の味もわかるなら、菓子類も買ってく?」
「いいわね〜。このゲームそういうの充実してるから楽しいわよね〜」
そうなんだよな。ジュースから酒、ツマミに菓子類やケーキ、リアルと同じように食べ物がある。
味わえないプレイヤーに同情するくらい豊富なアイテムがある。
どれもこれもしっかりとアイテムとしての効果はあるのだけはゲームらしい。
シノ姉は料理もするとかいって食材まで買い集めてた。
「シノ姉、うちにも料理手伝わせて」
「…どうしたのよ〜?まさか腕を上げたいの〜?」
「そんなとこ」
「いいわ〜一緒にレイアちゃんに美味しいもの作ってあげましょう?」
「うん…」
「頑張ろうとするのは良いことよ〜?恥ずかしがらなくていいの」
「わかった」
せめて零くんよりは上手くなって、今のレイアに食べさせてあげたい。




