スクールバイオレンスな姉
ダンジョンからうちらが宿へ戻り、集めてきたパーツの確認をしてたら、リオとミミもログインしてきた。
もう学校終わったのか。時計を確認すると確かにそんな時間。
「シノ姉、ユナ姉、もしかしてそれ…」
「そうよ〜船のパーツ」
「結構苦労したんだからな」
「手伝えなくてごめんなさい!」
「ミミ達は学校なんだから仕方ねーって。それより、これの仕分け手伝ってもらえる?」
二人にも手伝ってもらい、種類毎に纏めてみた。
「これ、中身はどうなってるの?」
リオが中を覗きながら気にしてるから、開封した一つを見せてやる。
「こういうミニチュアみたいなのが入ってんだよ。上手く組み立てないと船として機能しないらしい」
「へぇー。零なら大喜びしそうだねこういうの」
それはうちも思った。見た目はその辺の女よりよっぽど可愛いけど、男の子だからな。
「じゃ〜これはレイアちゃんに渡して好きなように組み立ててもらいましょうか〜」
「うちもそれでいいと思う。喜ぶだろうし…」
楽しそうにしてるレイアの姿を想像したらにやけてしまう。
丁度レイアとユリノも宿に帰ってきたから、船をレイアに任せて、うちらはユリノから報告を受ける。
「行く事には同意してくれました。ただ、お母様に会うのが命がけっていう雰囲気でしたね」
「そこまで!?確かにお母さんって零には冷たかったけど…大切には思ってるよね」
「実の母親なんですよね?どういう関係なんですか…」
説明しないとわかんない上に不安だよな。
うちらはお母さんと零くんの今迄を話して聞かせた。
「不器用な方なのですね…」
「そうね〜何事も加減が出来ないから」
「今迄の分も甘やかすとか言ってたから、うちはそれが不安」
「お母さんそんな事言ってるの!?それ、下手したらレイアがボソって言った言葉一つさえ実行しかねないよね?」
うちが心配してるのも正にリオの言うソレなんだよ。
お母さんって基本的に冗談が通じないから…。
「…可愛い」
ん?ミミは何を…
目線の先ではレイアが楽しそうに船を組み立てながら、あーでもないこーでもないと悩んでる。
コイツ…会話に参加してこねーと思ったら、レイアを愛でてやがったのか。
たしかに楽しそうにしてる姿とかずっと見てられるけど。
ホント囲って独り占めしてしまいたい…。
「余り物でもう一つ組み立ててますが、どうする気でしょうか」
「多分、最高のものを作ったから、最低ランクのも気になったんだと思うぞ」
難しい顔した後、そっちもカプセルに戻してる。
うちらに見られてるのに気がついたレイアは、恥ずかしかったのか拗ねてて、それすらも可愛い。
「完成したのはレイアちゃんが持っててね〜」
「いいのか?姉達が集めてきた物なのに」
「いいよ。うちらはレイアと船旅ができればそれでいいの」
「そうか? わかった」
レイアは残りのパーツでもなにか作れないか試行錯誤するらしい。
一人でレイアを愛でていたミミにはバツとして余ったパーツの処分を任せた。
「オークションに出せばいいんですよね?責任重大ですよこれ…」
「ニヤニヤしてたバツよ〜?ちゃんと儲けを出してきなさいね〜」
「はい…」
投資してるシノ姉はお金に厳しいぞ…。
「そういえばユリノ、そっちだとイベントはどういう扱いだった?」
「告知の確認をしましたが、同じものはなく…。レイアが見ていたパーティーメンバー募集の張り紙から詳細がわかりました」
ちょっと待て…レイアは何処かのパーティーに入るつもりなのか!?
「心配されてるような理由ではありませんよ」
うち、顔に出てたか?
”姉妹揃ってわかりやすいですね”とか言いやがったコイツ!
「こちらでは、魔の国側から招待されてます。普段は国が管理し、資材の供給に利用しているダンジョンを一時的ではありますが一般公開するとかで盛り上がっていますね」
「国が管理するようなダンジョンって…何が取れるのよぅ〜」
「ありとあらゆる物です。魔の国の経済そのものを支えているダンジョンの一つですから」
まるで行ったことがあるようなユリノに違和感がある。
「お前はなんでそんなに詳しいんだよ?」
「…わかりません。世界の事に関する知識だけはしっかりとあるんです…レイアの言うサポートキャラとやらの名残かもしれません」
「サポートキャラって、シノ姉に消されたあれ?」
「リオ…?」
「や、役目を放棄して消えたんだよね」
あぁ、いたなそう言えば…。シノ姉のハンマー一振りで消えたからすっかり忘れてた。
「サポートキャラってこの子ですか?」
ミミが呼び出して見せてくれたのは、うちらも連れてたけど役に立たなかったやつ。
「確かにこの子なら世界の事は把握してるとは思いますが…ユリノさんとは似てませんよね」
「だよな。そもそもなんでうちに似てんだよ」
「私に言われましても…レイアがそう望んだとかでは…?」
そうならうちは嬉しいけどな?
「じゃあ何で私は宿屋の女将さんなのよ〜」
「料理が上手いからとかじゃねーか?」
「それなら私はお姫様ってことね」
「レイアはその姫に名乗りもしませんでしたし、同行もしませんでしたが…」
「なんでよ!?私だけ扱い酷くない?普段から人質にされてるの助けたりしてあげてるのに」
「それ、元々の原因は理乃先輩ですし、助けた時に零くんまでひっぱたいてましたよね…」
理乃、お前何してんだよ…。
「あ、あれは…簡単に人質にされてる零が悪いっていうか!」
リオの大きな声に気がついたレイアがリオの背後に。ちょっと笑える。
「あのな?理乃姉。オレがなんで人質されてるかわかってる?」
「うわっ…な、なによ!」
「オレは巻き込まれてんだわ。理不尽が過ぎねぇか?」
「だったら自分で返り討ちにしなさいよ!」
あーそれは言ったらだめだろリオ。
「理乃姉キライ」
ほら、落ち込んじゃった…。
イジイジと部屋の隅っこでまた船のパーツで遊びだしてるし。
キライって言われたリオはそれどころじゃないくらいショック受けてるけど。
「リオ、お前なぁ…無関係な零くんを巻き込んでるのは間違いなくお前なのにあの言い方は無いだろ」
「でもユナ姉!」
「本気で嫌われたわね〜あれは…」
「はい。巻き込んだ張本人があの言い方はないと思いますよ」
「みんなで私を責めるの!?」
「実際に私は現場を見てましたし…」
「でもほら、最後は抱きしめてあげてたよね?」
「それは…はい」
お前それ…。
「ただのDVよ〜それ」
言っちまったよシノ姉。 まぁでもリオは少し反省すべきだな。
…うちもか。




