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異世界に弟を奪われた姉達の奮闘記 〜なお弟はTSしても異世界を気ままに満喫中〜  作者: 狐のボタン


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船を手に入れたい



久しぶりに自宅のベッドで休んだ。

普通ならホッとするはずなんだけど、自室よりやっぱり零くんの傍に居る方が落ち着く。



早朝から、ログアウトしてこないシノ姉にイベントの説明をしようとログイン。

迎えてくれたシノ姉の首につけられてる印にイラッとしてひと悶着はあったけど、魔の国へ行く機会を逃す訳にいかない。

ユリノにも説明をして、レイアを説得してもらう手助けを頼んだ。

多分うちらが言っても聞かないだろうし…。


「レイア、遠出の仕度をしますよ」

「ついに行くのか?」

「ええ…ですが行き先は魔の国です」

「なんでやねん…。ノーラの姉ちゃんに会いに行くんだろ?そのために姉達はアイテムを集めてくれたのに」


そうなんだけどね…。

お母さんを後回しにしたらどうなるか、そっちが怖い。

「レイア、お母さんに会いに行くよ」

「いっ!? やだ! 絶対行かねぇ! 何されるか分かんねぇじゃん!」

やっぱりそうなるよね。お母さん、零くんには本当に冷たかったからな。

叱る時くらいしかまともに会話しなかったし。

うちらは理由を知ってるけど、零くんは…。


「レイアちゃん〜船旅よ?私達とのんびり船に乗るの〜」

「オレ間違いなく酔うだろそれ! …ヤダからな!」

やっぱりユリノに任せるしかないか…。


ユリノはレイアとギルドに行って、ゲーム側のうちらと同じような告知がないか見てきてもらう手はずになってる。

仮になくても一緒に船にくらい乗れるのではないか?って予想なんだけど…当の本人が行きたがらないと意味がない。

頑張ってくれ、ユリノ…!


うちはシノ姉とダンジョンへ行って、船が手に入らないかシノ姉の運に賭けてみる。

ダメなら手持ちの金で買えないか確認したいけど…この街はレイアの影響下にあって、イベントそのものがない可能性もあるから、その場合は影響範囲外のニャンダーに飛ぶしかない。


まぁ何よりもまずは、不貞腐れて”絶対にいかねー”って言ってるレイアをなんとかしないとな…。

最悪、お母さんをこっちへ連れてくるってのも一つの手段なんだけど、船旅がどれくらいかかるかわからないのに、その間レイアと離れ離れなのはうちらが保たない。



ユリノに目配せして、うちらはダンジョンへ。


「お母さんの事を言ってしまったのがまずかったかしら…」

「内緒にしてたら、うちら信用なくすよ?」

「そうよね〜…ユリノうまくやるかしら」

「わかんないけど、今はあいつに頼るしかないからなぁ。それよりシノ姉、ダンジョンでケガとか気をつけてよ?」

「ええ…慎重に行くわ〜。レイアちゃんをまたあんな風に泣かせたくないもの〜」

たしかにな。心配してもらえて嬉しい反面、すっごい罪悪感だったから。



ダンジョンは、街なかにあるノーラの住処を選んだ。此処で手応えがないのなら、ニャンダー近辺に移動する。

アイテムとかは同じようなものが出てるから大丈夫だと思うんだけど…。

「そもそも敵が船を落とすってどういう事?って話だよな」

「大きいまま、ドンッ! なんてありえないわよね〜」

「そうなったら運べないから詰むな…」

話しながらも慎重に罠や敵を蹴散らして進む。



洞窟ダンジョンは構造が変わらないだけ楽だけど、広いからたまに不意打ちをされる。

今回もいきなり上からベチャッ! って初めて見る敵が降ってきた。

いつも通り殴りつけるも手応えがなく、攻撃がすり抜けて空をきる。


「これが有名なスライムってやつ?」

「零くんが小さい時に、遊んでた玩具にこんなのあったわね〜」

あぁ、あったあった。 しばらくしたらカリカリに干からびてて泣いてたな。

…それだ!


「シノ姉、干からびさせる方法なにかない?」

「うーん…私達魔法って使えたかしら〜」

「わかんない、全部殴ってきてるし」

「待ってね〜…弓で…あっ、行けそう!」

そう言うとハンマーから弓に持ち替え、矢を放つシノ姉。


放たれた矢は炎をまとい、スライムへ突き刺さる。 

ジュワーッと蒸発するような音がして、消えると宝箱が。

「やったわ〜」

「ナイス! 一応敵の可能性もあるから警戒しとく」

「お願いね〜」

前に宝箱だ! って開けようとして噛みつかれそうになったからな。


シノ姉が近づいてハンマーの柄で突いても動く気配はない。

「…開けるわよ」

「いつでも!」

宝箱を開けるも、特に何かが飛び出してくることもなく…。


「何かしらこれ〜…見た事あるような…」

「それも零くんが小さい時に小銭でよく買ってた」

「あぁ! ガチャガチャのカプセルだわ〜!」

初めて見るアイテムだな…。


「なにかわかる?」

「船体・壱…?」

まさか…船のパーツ?


「もう一つあるこっちは、帆・弐って書いてあるわ〜」

「それ、船をパーツで集めろって事じゃない?」

「あ〜なるほど! じゃあ…このスライムを倒せばいいのかしら」

「だろうね、今まで出会ってなかった敵が見た事の無いものを落とすのならソレだろうし」

うちらは頷き合うと、スライム、又は今まで見たことの無い敵を重点的に狩ることにした。



目新しい敵は全部がスライムなのはいいんだけど、色によって弱点が違うのがめんどくさい!

金属みたいな光沢のは物理でいける。でも半透明なのはシノ姉の炎しか効かない。

それも、赤色のは炎さえ効かなくて、急遽うちは自分が魔法を使えないか試行錯誤。

見つけたのは氷の礫っていう、拳大の氷をぶつける魔法。

それでようやく倒す事が出来た。


宝箱を開けると、カプセルなのはいいんだ。

ただな?めちゃくちゃかぶる!! 帆・弐なんて既に五つも有る。

「こっちはキャビン・高級が出たわ!」

チクショウ…なんでシノ姉はかぶらねーんだよ。

うちは毎回かぶるのに!


悔しがってても仕方ない。今はパーツを集めるしかないんだから…。

「船体・豪華がでたわ〜!」

………。


 

半日ほどダンジョンに潜り、一通りのパーツが集まったってシノ姉が言うから撤収。


途中で試しに被った一つのカプセルを開けてみたんだけど…中にはミニチュアみたいな船のパーツと、ラインナップや船についての詳細がわかるフルカラーの紙が入ってた。

それと手持ちのカプセルを見比べて、コンプリートできたのを確認したらしい。


うちなんて帆ばっかなのに! 

シノ姉なんてエンジンとか拾ってて、もうファンタジーなのかなんなのかわかんねーよ…。



後は、ユリノがレイアを説得できていればいいけど。

レイア、お母さんの気持ちわかってあげて…本当は零くんの事大好きなんだよ。不器用なだけで…。









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