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異世界に弟を奪われた姉達の奮闘記 〜なお弟はTSしても異世界を気ままに満喫中〜  作者: 狐のボタン


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買われた



袋を被せられて運ばれたオレはそのまま里へは向かわず、馬車に放り込まれたらしい。

ガタガタと揺れてるから間違いない。この揺れは最近味わったばかりだし。



馬車はしばらく移動して止まった。

移動中、外の会話や音は何故か聞こえないし、大声を上げても聞こえてない様子。


これおかしいな?

流石にそう思って暴れてみたけど、袋の中でぴちぴちと魚みたいに跳ねることしかできねぇ…。

せめて体当たりくらいできてもいいだろうが!

レベルたんねぇのか?


そう思っていたら袋が開かれて、覗き込まれた。

「へぇ〜これはかなりの上玉じゃないか。でもたった一人なのかい?」

「すいやせん…あの森はやっぱり普通じゃありやせんぜお頭」

「それはわかっていたことだろう? 一人しかいないのならお楽しみはなしだ! 商品に手を出したらわかってんだろうね?」

「は、はい…」

あー…。

どーもやばい奴らに捕まったっぽい。


お頭と呼ばれたキツそうなおば…おねえさんはオレをジロジロと品定めするように見てくる。

「ふむ…気が変わったよ! コレは私が買い取ってやる。お前たちには報酬と、この場で買取金をやるから、それで遊んできな!」

数人の部下からは歓声が上がってる。

オレはこのボスに買われたのか?

因みに幾らだろう。ちょっと気になる。


袋から顔だけ出したままボスに抱き上げられる。

「暴れるなよ、大人しくしていれば悪いようにはしないさ」

絶対に嘘だね。悪いやつほどそう言うって由乃姉が言ってた。

だから、知らない人についていくな! って小さい頃からしつこく言われたからな。


運ばれたのは趣味がいいとは言えない、派手な部屋。

こんな森の中にある小さい小屋によくこんな部屋を作ったなぁと感心してしまう。


「痛い思いをしたくなかったら動くんじゃないよ」

暴れたいけど…それで死ぬのも嫌だからおとなしくしておく。


腕と足に嵌められたのはいかにもって感じの手枷と足枷。

自立するつもりが、立ち上がる前に買われましたってか?

笑えねぇ…。


「さて…お前名前は?」

「レイア」

「素直じゃないか。いいねぇ…そういう娘は好みだよ。これもかわいいじゃないか」

耳としっぽもお気に召したらしい。


「レイア、お前は自分が今どういう状況か理解しているのかい?」

「ん?捕まって、アンタに買われたな。いいのかよ?商品じゃねぇのか?」

「ククッ…いいねぇ…気の強いのも好みだよ。 私はね、人買いさ。以前は口減らしだったり、孤児やらを厄介払いしたい奴らから買い取って、欲しがってる奴らに売る、そんな商売をしてたんだが、突然違法になったとか言われてもねぇ…」

「前は当たり前にあったってことか」

「そうさね。世の中が変われば商売の仕方も変わる。だけどね、買いたい人間は減らないのさ」

「ほーん…」

「…おまえ少しは取り乱すとかしないのか?」

「攫われて人質とか、結構な頻度で体験したからなぁ…」

「その歳でどんな過酷な生き方してんだい!」

そうは言うてもやな…。全部、姉のせいだし。

毎度毎度オレをダシにして理乃姉を倒そうとして…そんな手が通じるはずもないのに。

オレが人質になってても構いもしないからな理乃姉は。

むしろオレまで殴る。助けに来る身になれとかいって。

こっちは理乃姉のせいで捕まってるのに。



「待てよ?お前まさか!」

突然顔色を変えたボスはオレの服をひっぺがした。

「何しやがる!」

「…中古かよ!」

「何がやねん!」

「それ…誰にやられた?」

「ん?」

ボスが指差すのは腕やら腹にあるアザ。


「森を走りながら逃げてきたからその時に枝とかでぶつけただけだぞ?」

「嘘をつくな! 仮に身体はそれで説明がついたとしても、首のそれは…」

それは?なんだよ?首とか見えねぇからわからんし…。


そこまで言ってボスは口を抑えると部屋から出ていった。

せめて服を着せてくれよ…。


しばらくして戻ってきたボスは、改めてオレをまじまじと見たあと、

「…中古でも手放すには惜しいし…いや、もしかしたらそっちは無事か? そんな都合のいい事あるか?」

とかブツブツ言いながら部屋をうろうろうろうろ…。


うっとおしいやっちゃな! ジッとしろよ。

「くしゅっ」

「お…すまないね。流石に寒いか」

そらそーだろ。半裸やぞ?


「今着替えを出してやるからそれを着ろ」

ガサガサと箱を漁り、手渡されたのは…。

「なぁ?なんでどいつもこいつもふわふわヒラヒラを選ぶんだよ!」

「可愛い子に可愛い服を着せるのは当たり前だろう! そんな事もわかんないのかい」 

知らんがな…。


何も着てないよりはマシかと思い直し、渡された服を着る。

相変わらず枷の鎖とかオレは触れねぇし、服は素通りするんだな…。

どういう理屈だよこれ。


「いいかい?今から大切な質問をするから正直に答えるんだよ?嘘をついたら…」

ピシッっと振るわれたのはムチ。

オレは首輪をつけられる犬猫から、ムチで働かされる馬になったらしい。


「今まで男は?」

「は?」

「か、彼氏とかはいたのかい?」

「いる訳ねぇだろ…身近には姉しかいなかったぞ」

「攫われた時に何された?」

「殴られたりしたくらいか。すぐに姉が助けに来てくれてたからな」

「他には!」

「他ってなんだよ…」

「裸にされたり…」

「そんな事したのアンタが初めてだよ。普通そこまでしねぇだろ…」

すっげー喜んでるんだけど、この人大丈夫か?


「よし、今からお前は私の物だ。いいかい?私の命令は絶対だよ。逆らったら…」

またピシッっとムチを振り回す。

好きやなそれ…。いっそトレジャーハンターにでもなったほうがいいんじゃねぇか?

遺跡巡りでもしてこいよ。そんでゾンビに追いかけられろ。


「返事は?」

「ほーい」

「緊張感の無い娘だね…」

だって、この状況どうしようもねぇし、なるようにしかならんだろ。

自立しようとしてこうなったのなら、それはもう定めか運命というしかねぇだろうし。


諦めが肝心なんだよ。


それからオレはボスにフルーツをアーンってされたり、いろいろな服に着替えされられたり、ままごとみたいな事に付き合わさせられた。

「私がどうしてここを拠点にしてるかわかるかい?」

「趣味」

「…ここにはね温泉があるんだよ」

「マジかよ!」

「初めてまともなリアクションを見た気がするよ…。ほら、キレイにしてやるから行くよ」

やった…。ここじゃテントも出せねぇから風呂はお預けかと思ってたのに、温泉かよ!



「ほら、こっちにこい。その痕はすぐに消せないが、キレイにはしてやれる」

このボス実はいい人では?

丁寧に洗ってくれるし、手付きも優しい。


「ほら、私の背中も頼めるかい?」

「あぁ。オレもしてもらったしな」

背中を流すとかあまりしたことねぇけど…。


「これ、痛くねぇのか?」

あちこちにかなりの傷痕。見てるだけで痛々しい。

「古傷ばかりさ。こんな商売してるとね、傷は絶えないんだよ。だからこそお前みたいに綺麗な娘は大好きなのさ」

「そういうもんか?」

「そういうものなんだ…」

よくわかんねぇな。


温泉は少しぬるいけど、ゆっくり浸かれていいかも。

のぼせにくそうだし。

「お前は変わってるな…」

「何がだよ?」

「普通は泣きわめくなり、逃げようとするなり足掻くものさ」

「それをしてどうにかなんのか?」

「…ならないね。部下に捕まれば終わりだし、歯向かうなら私が躾けるだけさ」

「元々、一人で生きていけるようにならないとって思って出てきたからな。自由になろうとして起きた事なら、その責任も自分が負うものだろ?」

「…そのとおりだ」

「だったらこれも運命だろ。アンタがオレをどうするのか知らねぇけど、少なくともまだ生きてるし、温泉は気持ちいい」

「ククッ…本当に変わったやつだ。お前は私が大切にしてやる。だから傍にいろ」

「はいよー」

結局一人で生きていくとか、オレには無理だったんだな。


その夜、ボスにベッドへ押し倒されたオレは、昨日のユリノ姉を思い出して、記憶がフラッシュバック。

身体のアザのことも色々と思い出した…。


その結果またオレは気を失った。














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