後悔と今すべきこと
「レイア…私はどうしたら!?」
「とりあえず落ちつこう? 何があったの?」
「それは…」
まさか言える訳ありません…。無理矢理手を出したなんて。
「少し喧嘩してしまいまして…」
「珍しいわね。仲良さそうだったのに」
「え、ええ…」
私はその信頼を裏切ってしまったのです…。
レイアの姉達に、もう説教をする資格もありません。
むしろあの方々に粛清されても文句は言えないような事を…私は…。
「追跡ができないってのは絶対に何かあるはずだから、ギルドで情報を集めたほうがいいよねー」
「ええ。ニャンダーのが顔が利くしそっちへ行きましょう。ユリノさんもいい?」
「…はい」
レイア…無事でいてください。 必ず迎えに行きますから。
馬車で一日かかる道中を、無理をして少し早めにニャンダーに到着。
ルリマリも協力してくれて、ギルドで情報を集めるも、あの森に関しては知られてない事が多い、という話しか聞けず。
「ユリノさんはなにか情報あった?」
「いえ、森に関する情報がないっていう情報だけです」
「そっちもかー」
これではレイアを追うことも…。
「おーい! 情報知ってる人見つけたわよ」
マリンが連れてきたのは二人組の男女。片方はおそらくエルフ?
「こちらの事情を話したら、内緒にするのを条件に教えてくれるって」
「助かりました…なんの情報もありませんでしたから」
ようやく、ようやく手がかりが…
…………
……
「話をまとめると、あの森はエルフのテリトリーで、エルフ以外は歓迎されないと言うことですね?」
「はい…しかし、最近になって人買いがあの森のエルフの存在に気がついたという情報がありまして…」
「人買い!?」
「はい…エルフは見目の美しい者が多いですし、寿命も長く、若い見た目が続きますから高く売れるのです」
そんな…。警戒心がミジンコのレイアが無事でいる可能性は…。
どれだけ楽観的に考えても捕まってます!
「エルフの森に保護されてる可能性は?」
「その子がエルフの血を引いているのなら、十分あり得るかと思います。さすがに結界の中まではエルフ以外は入れませんから…」
レイアが全く知らない人の世話になるとは思えません。
「早く助けなくては!」
「そうは言っても、どこを探すの?」
「人買いはどこの組織ですか?」
「さぁ…?そこまでは…」
「それならギルドで手配書を見たほうが早くないー?」
その手がありました!
二人組にお礼を言い、ギルドの受付で手配書を借りる。
「気持ちはわかるけど、少し落ち着かないと大切なことを見逃すわよ」
「保護されてるかもしれないしー」
「有り得ません。レイアは人見知りが激しいんです!」
知らない人しかいない土地に長く留まるとは思えません。
逃げ出したところを捕まって…なんて姿が容易に想像できてしまう。
「私達も手伝うわ。護衛の任務を受けておいて、護衛対象を見失ったなんて…」
「そうだよね。そうじゃなくても、レイアちゃんは私達の癒やしなんだから見つけないと!」
助かります…。
三人で手分けして見つけたのは、ある人身売買グループの手配書。
捕まえた人を、買い手に売るバイヤーも兼ねている…。
人身売買が違法化されてからも活動を続けているせいで取り締まりが厳しくなり、何人も捕まった事で街や街道での活動は減って、人目につかない場所でターゲットを探すようになったと。
見つけ次第始末をつけていいとありますね。
わざわざ連行しなくてもいいのは助かります。
「この先は危険になります。お二人はここまでで充分です」
「水臭いこと言わないでよ。心配する気持ちは一緒! 今、手を引いたら気になってどのみち仕事になんてならないよー」
「そうよ…。あの子の元気な姿を見るまでは諦めないわよ」
「ありがとうございます…」
レイア、心配する人がいるのですよ。無事でいてください…。
あなたが帰ってきてくれるのなら…。その後であればいくらでもバツを受けますから。
「不確かな情報ではありますが、エルフのテリトリーとなってる場所に出没する可能性があるのならそこへ行くべきでしょうか」
「レイアちゃんを見失ったのもその森だもんね」
「エルフ以外が活動した場合は痕跡が残るかもしれないわ。行ってみる価値はあると思う」
再度馬車に乗り、レイアを見失った森へ。
移動時間もふまえると、あれからもう二日です…森で迷っていたとして、食料も限界でしょう。
攫われていたら…?想像してはダメ!
焦る気持ちをなんとか押し殺して、まずは森の外周を回る。
「もし、本当に人買い共が森へ入ったのなら、入った場所があるはずよ」
「絶対に痕跡を見つけるからねー!」
森はかなりの大きさで、外周を回ると言っても、かなりの時間がかかります。
一日目は収穫なし…。
二日目にようやく馬車の轍の跡を発見。
何人かの足跡もありますが、レイアのような小さなものは無し。
「これ…帰りのが轍が深いよ」
「何かを森で集めて積み込んだって事ね?」
「うん。食料とか木材って可能性もあるけど…」
遅かった……。
「私達は少し森の奥へ行ってみるわ。ユリノさんは轍の跡を追って! 少しでも早く見つけてあげないと」
「はい… お願いします」
私でも轍の跡くらいは追うことはできますからね。
森はプロに任せたほうがいいでしょう。
森から離れた轍は、街道へ出ると、そのままカピバラックの方角へ向かって行っている…。
レイアの姉達に知られる前にと思いましたが、それも無理そうですね。
最悪、頭を下げて捜索をお願いするしかありません…。私が生きていられれば、ですが。




