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異世界に弟を奪われた姉達の奮闘記 〜なお弟はTSしても異世界を気ままに満喫中〜  作者: 狐のボタン


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森へ 後編



真っ暗になってきたけど、ユリノ姉がくれた暗視のおかげで一定範囲は見える。

結局これもユリノ姉のおかげなんだよな…。


ある程度の視界が確保はされてても…それでも夜の森は恐ろしく感じた。

なんかねぇかと、持ち物を調べてたら設置したまま置いてきた筈のテントが手持ちに。

「二つ持ってたっけ?」

置いてきたものが飛んでくるわけもあるまいし。

あるのなら使うか。


テント内は安全だというのを思い出し、急いで設置。

中に入るとホッとする…。


勢いで逃げてきたけど、アテもないし…どうしたものか。

もう一度マップを見てみたけど、やっぱり歩いてきたところ以外は真っ黒のまま。


森のサイズさえもわかんねぇ…。

どちらにしても昼間しか移動はできないと諦めて、シャワーを浴びる。

身体を洗っていたら、腕やら身体にアザみたいな痕がいくつか。

森を歩いてて、枝にでもぶつけたか?痛い訳でもないし、すぐ治るやろ。


風呂に入ってさっぱり。頭もスッキリした。

よし、一人でどこまでやれるかわかんねぇけど、頑張ろう。

どちらにしても頼り切ってたら相棒なんて名乗れねぇからな…。


逃げてきて何言ってんだって感じだけど、遅かれ早かれ捕まるような気はするし。

その間にユリノ姉もマトモになっててくれ…。




翌朝も森を進む。

行けども行けども木、樹、きー! 

小腹がすいて温泉饅頭をかじりながら歩いていたら、ガサガサと音がして慌てて身を屈める。


「大丈夫だ、我々は同族だ。人にひどい扱いでも受けたか?」

若い男の声?

これ、オレに話しかけてるのか?


「…余程ひどい目にあわされたか…。相手は娘のようだ、キロルお前が行ってやれ。説明して里へ案内しろ」

「はーい」

またガサガサと音がして目の前に突然現れたのは、長い耳がてろーんと垂れた…ロップイヤーみたいやな。

というかエルフか?


「あなたハーフでしょ?」

そういえば種族はハーフエルフだったな。

「大丈夫だよ。この森にはエルフの血を引くものしか入れないから安心して」

その言葉にやっとおかしなことに気がついた。


あのユリノ姉がオレを見失うか? 追ってこなかったってのも有り得なくはないが…。

しかも斥候やニンジャなんて職の、いかにも追跡とかが得意そうなルリマリでさえ追ってこない。

どおりであっさり逃げられたわけだ。


「大丈夫?」

「あ、あぁ…オレはレイアだ」

「キロルだよ、よろしくね。それ…どうしたの?趣味…?」

「つけられてんだよ。オレには外す権限がなくてな。外せねぇんだ」

「可哀想に…まだ幼いのになんてことを」

ホントだよな。ルリマリと一緒だったから仕方ねぇんだけど…。

鎖がつけられてなかっただけマシだった。


オレよりいくつか年上そうなキロルに連れられて、更に森の奥へ。


一瞬変な感覚がして振り返る。

「気がついた?それ結界。モンスターも人も入れないから安心して」

オレのテントみたいなもんか。



「ここはエルフやその血を引く人達だけの集落なの。みんないろいろな事情があってここに身を寄せてる。だからレイアも安心してここにいていいよ」

見渡すと、女子供が多い気がする。

他人の詮索をするつもりなんてないから別にいいけど…。


「まずは里長に挨拶だけしないとね。事情の説明をして、滞在の許可をもらおう」

「いや…オレは…」

ここに滞在するつもりはないぞ?

独り立ちしようと思ってるのに、世話になってたら意味がない。

しかもこんな見知らぬ人ばかりの中で落ち着けるわけがないし。

キロルに言ってもしゃーないか。里長とやらに説明しよう。



案内された木造の落ち着いた雰囲気の建物は、手作り感のある暖かみのある物だった。

「その子が新しい住人かぇ」

「はい。レイアというハーフエルフです」

「そうか…ハーフだと何かと肩身の狭い思いをしたのであろう。ここでは安心して過ごすといい。ハーフやクォーターも沢山いるからな」

「有り難いんだが、滞在するつもりはないぞ?」

「…なに?」

里長っていうくらいだから、じーちゃんかばーちゃんを予想してたが、普通に若いおねーさんだった。

その人が変顔になって驚いてる。

そんな驚くことか?


「人族や獣人からひどい扱いを受けて逃げてきたのではないのか?」

「まぁ、逃げてきたのはあってるな」

「それなら何故!」

「独り立ちしようと思ってるからだ」

「…なんと…その幼さでか?」

うるせぇよ?見た目よりかは歳いってるからな!

みんな揃って幼いとか幼児体型とか言いやがって。

15つったら時代が時代なら大人だろ?


そこまで考えて、今の今まで姉に頼りきってた事実に打ちひしがれた。

やっぱり、人に頼らずしっかり生きていけるようにならなければ…。

「そういう訳だから、すぐに出ていく。気にかけてくれたのに悪ぃな」

「ま、待て! 外は危ないぞ? モンスターも獣もいる。人も獣人もだ」

別にどっちにもひどい扱いなんて受けた覚えねぇしなぁ…。

むしろ一番怖いのはキレた時の姉達じゃないか?



なんとか引き止めようとする里長を説得するのにくたびれた。

親切も押し付けが過ぎるとウザったい…。


強制的に滞在させられたから、スキを待って里を抜け出した。

キロルがいつも傍にいて見張られてたから、抜け出すのに三日もかかっちまった…。

逃げるように里を出て、また結界とやらを抜けた感覚がしてようやくホッとする。



便利ポケットには何日か分の食料はあるし、知らねぇうちに拾ってるキノコや木の実もある。


試しにぶどうみたいな実を食べてみたら、めちゃくちゃ苦かった。

しかも目がチカチカする。

慌てて回復魔法を使って治したけど…。下手に食ったらだめだな。

危なすぎる。


ただ、一つわかったのは、一度食べてみればどういうものか解るという点。

「一か八かすぎるだろ…即死する毒とかどーすんだよ」

とりあえず偽ぶどうは全部捨てた。

もうぜってぇ拾わねぇ。


独り立ちするとか偉そうなこと言ったくせに前途多難だな…。


またガサガサと音がして、追ってきたのかと身を隠そうとしたら頭から袋を被せられ、あっという間に袋詰にされた。

何だよこれ…。


ふつーここまでするか?まったく…。

そのまま担ぎあげられて運ばれる。

はぁ…これはまたしばらく滞在するか、しっかりと説得するしかないな。







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