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異世界に弟を奪われた姉達の奮闘記 〜なお弟はTSしても異世界を気ままに満喫中〜  作者: 狐のボタン


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森へ 前編



「レイアちゃん、あの人何!?めちゃくちゃ怖かった…」

「ほんとよ。魔王って言われても納得するレベルよね」

「オレの姉だな」

魔王は母親だし。

出発前に、なんか離れたところで話してたけど、ユナ姉は二人に何を言ったんだ…。



馬車で二日の旅。

前みたいに乗り物酔いとかしなくなっただけマシなんだけど、退屈で仕方がない。

「レイア、少し私とお勉強ですよ」

「ん?戦闘に関してか?」

「いいえ。もっと大切なことです」

そう言ってユリノ姉は真剣な顔をするから、オレも身を引き締めたのに…。


………

……


「やめろよ! そーゆー話し! ユリノ姉までかよ!」

「大切なことですよ!」

「どーでもいいって言っただろ。そもそもオレがこの身体なのにどうしろってんだよ」

「性別が変わったからといって無縁な話ではありません!」

本当うちの姉達は何がしたいんだよ。


「はっ…まさがセクハラして楽しんでるのか!?」

「違います!!」

「何を騒いでるのー?」

「聞いてくれよ! うちの姉のセクハラがひどいんだ!」

「だから違うと言っているでしょう!」

「なになに?レイアちゃんもそういうお年頃?」

”私が教えてあげようか?”ってお前もかよ!


逃げ場のない馬車の中で、ホント勘弁してくれ…。



その日の夜にはついにユリノ姉がイカれた。

風呂上がりにベッドに押し倒してきて、意味がわかんねぇ…

「いいですか?レイアが以前は男だったのはわかっていますが、今は女の子です」

「わかってんねんそんなこと!! 離せっ!」

「話を聞いてくれるまで離しません!」

何なんだよ…。


「いいですか?もし私が本気ならこのままレイアをどうにでもできますよね?」

「何がしたいんだよ…」

「それはもう、あんな事やこんな事…ではなくて!」

おい…! 何考えた今。


「レイアがこのままこちらで生きていくと仮定しましょう」

「今のとこ戻る方法はわかんねぇからな」

「はい。そうなるといずれ好きな人ができ、恋人もできるでしょう」

「当分そういうのはいいぞ? ミミで懲りたからな。相手にも悪いし」

「…今は口答えせずに聞きなさい!」

「…はい」

押し倒して威圧するなよ…。

ユリノ姉は無茶したりしないってわかってるからまだいいけど。


それからユリノ姉は恋人とは何か、恋人になったらどんな事をするのかとか色々と語りだした。


今日もオレのテントについてる風呂を使ってたルリマリが、風呂から出てくるなり”お邪魔しましたー”ってテントを出てったぞ!?


「いいですか?ノーラのところで私に聞きましたね?まぐわうとはなにかと」

「あぁ! ユナ姉に聞くの忘れてた…。もう忘れてたくらいだし、どーでもいいけど」

「今は興味を持ちなさい!」

「なんやねん…あの時は怒ったくせに」

「人前でするような話ではないからです!」

「はぁ?ノーラは普通に話してたぞ?」

「いいでしょう…もう言葉で伝わらないのなら直接教えてあげます…」

「…ちょ…ユリノ姉? 目が怖いんだけど。 なぁ?なんでここで脱ぐんだよ! 風呂はあっち!」

のし掛かられてるせいで逃げられねぇ!

「私を重いみたいに言わないでください!」

そういう意味では…




………………

……………

…………





気がついたら朝になってた。

昨日、ユリノ姉がなんかおかしくなって怖かったことしか覚えてねぇ…。

あれ…?何があった?

「レイア…?」

「ひぃっ…」

何があったか記憶がぶっ飛んでるけど、ユリノ姉が怖いのだけは身体が覚えてる!


転がるようにユリノ姉と一緒に寝ていたベッドから落ちたオレは、そのままテントの外へ逃げた。

後ろから呼ばれてる気がしたけど、それどころじゃない。

絶対安心と信じてたユリノ姉もヤバい怖い。逃げなきゃ…。


森の中へ逃げ込んでしばらく走ってから、なんかすーすーするな?と思って初めて気がついた。

「服は!?」

慌てて荷物の中から手持ちの服を着る。


リアル姉も最近なんか変だし、ユリノ姉まで…。

もう安心できる場所も、信用できる人もいないのかよ。

幸い手持ちに多少のお金はあるし、街にでも行ければなんとかなるんじゃないかとマップを見てみたけど、当然のように周囲はまっ黒。

ニャンダーもカピバラックも同じくらい遠いし。

どちらにしても、知っている街へ行ったらヤバいのは確かだ。


バイトはいつか必ずいくから許してくれ店長…。


アテもなく森を彷徨う事になるけど…今は一人になりたい。


ーーーー 

ーーー

ーー



どれくらい森を歩いてきたか。

マップを見ながら進んだから一応まっすぐは進んできてる。

途中、出会ったのはうさぎとかの小動物ばかりで助かったけど…。


ここに来て急に不安になってきた。

一人でこれからどうしたらいい?

いつもユリノ姉に頼ってきた。一人でなにかした事なんて無い。

リアルでもそうだ。

何かと世話を焼いてくれる姉達がいた。


「やべぇ…オレ一人で何もできねぇんじゃ?」

思い返しても毎度誰かの世話になってる。

ダンジョンではルリマリや、ノーラ。

ユリノ姉には常に頼り切ってた。


そっか、ここらで独り立ちしろって事か?





〜〜〜〜〜〜





昨夜、余りに無知なレイアが心配になり、おもわず手を出してしまいました。私も、その気がなかったとは言いません。

結果、レイアは気を失ってしまって。

そこで初めて自分が何をしたのか…激しい後悔と愚かな自分が許せなくて寝付けず。

涙を湛えたまま気を失い、眠るレイアを見ると罪悪感で押しつぶされそうでした。

レイアの頬を伝う涙を拭う資格さえ私には無いのでは…?

朝方にようやくウトウトと眠ったせいで寝不足だったのも原因の一端でしょうか。


目を覚ましたレイアに声をかけたら、ものすごく怯えた目をされ…ショックでその後の言葉が出てこなくて。

反応が遅れたせいで、レイアは下着姿のままテントの外へ飛び出していってしまいました。

ようやく口から出たのはレイアの名を呼ぶ一言だけ。

直ぐに追いかけようとしましたが、自身も服を着ていないのに追いかけるわけにも行かず…慌てて着替えて外へ出た時にはすでに見失っていました。


私ならすぐに見つけられる、そう過信していたのも原因かもしれません。

足跡や痕跡さえ見つけられず…やむを得ずルリマリにも捜索に手を貸してもらいましたが…

「一切痕跡がないよ…」

「普通、人が移動したらなにかしらの痕跡は残るものなの。それさえないなんて…」

どういう事ですか?二人はこの道のプロです。

その二人を撒いた…?


日が暮れるまで森を探し回りましたが、何一つ手がかりも見つけられず、森の中は真っ暗に。

ルリマリに説得されてテントへ戻ったら、あり得ない事が…。

「レイアちゃんのテントが消えてる!」

「戻ってきて回収したということですか?」

「それなら足跡くらい残るわ。森へ駆け込んだ足跡はあったんだから」

どういう事ですか? レイア…。






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