理乃と美緒
温泉から出たら、理乃姉とミミもログインしたらしく、ユナ姉と話し込んでた。
なんかミミが真っ赤な顔してるけど、体調悪いのか?
というか…。
「おい、ミミ! このゲームR18指定なら最初に言ってくれよ。普通に買っちまったじゃねぇか。ミミがエ○ゲーマーなのは好きにすればいいけど、誘うなら先に説明くらいしてくれ」
「エ…エ○!? 違うよ!! 確かにそういう要素も自由の範囲内に入ってはいるけど、ファンタジーRPGなの!」
「本当かよ…」
「私、どういう目で見られてるの!?」
「だってミミのこと知らねぇし…オレの中ではエ○ゲーマー・ミミになってるな」
落ち込んで隅っこで膝を抱えてるけど、ほとんど知らない相手な上に、唯一と言っていい情報がこれなんだから仕方無くないか?
「零! 私からも話があるんだけど?」
「ひっ…な、なんだよ…」
「説明しなさい!!」
「シノ姉助けて! 理乃姉が怖い!」
「あらあら〜助けを求められたら守らなきゃね…」
「ちょっとシノ姉! 零を渡して!」
「落ち着きなさい、リオまでそんなことでどうするの〜?」
「はぁ…もう! 零?シノ姉とユナ姉を自分の女だって言ったそうね?私は? …私はどうなの!」
なんの話だよ…。オレの女? あぁ、オレの姉は女だってことか。なんでそんな事をオレに確認するんだよ…。
一人、それも怪しいのがいるけど…。だからか?
本当うちの姉たちが何考えてんのかわかんねぇ。
「理乃姉もオレの姉だし女だろ?何なんだよ…みんなして。実は男だったりするのかよ」
「そんなわけ無いでしょう!! 零?私だけそんな遠くからシノ姉に隠れて言うの?」
は?
「リオはね〜?零くんにちゃんと向き合って欲しいって言ってるのよ〜」
あぁ…そういうな?またアレをするのかよ…。
仕方ねぇなぁ。
理乃姉は両手を広げて待ってるし…。近寄ったら殴ったりしないよな?
渋々だけど、理乃姉を抱きしめる。
「ぁぁ…やっとだわ…零!」
「ぐえっ…やめっ…また落ちる…」
「やめな。加減しろよ。ったく!」
「ユナ姉にだけは言われたくないんだけど!」
ユナ姉が止めてくれたおかげで気を失わずにはすんだけど、身体がミシミシいってて怖すぎる。
一瞬で意識を刈り取られる方がナンボかマシやろこれ…。
相変わらずミミは部屋の隅でいじけてるし…。なんやこれ。
「我々は一度、ニャンダーに戻らなければいけません。みなさんはどうされますか?」
ユリノ姉も前回の反省をしてくれたのか、姉達に話してくれてる。
「なんで?ここから北に行くのに、南西のニャンダーへ戻る理由はなんだよ?」
「あのな?ユナ姉…理由は姉達が猫カフェで迷惑かけたからだよ? そのせいでオレは一日タダ働きして埋め合わせするって契約書を渡されてんだ」
まったく。またあの服を着るオレの身になってくれ…。
理由がわかったからか姉達はおとなしくなった。
帰るなら多分ルリマリも一緒だよな。
ギルドに行けばいるかな…。
「そ、それなら私達は先に山の方へ行ってどういう場所か確認しておきましょうか〜」
「うちは零くんと離れないからな」
「私だって!」
「二人ともいいの〜?」
「なにがだよ?」
「…?」
なんか姉達は内緒話を始めたな。
「レイア、戻るのならルリマリに声をかけますよ」
「あぁ。忙しそうなら慌てなくていいしな」
「そうですね、もう少し温泉にいても問題はありませんから」
何時でも街を出れるのなら慌てなくてもいい。
「零くん、うちらはここに残るよ。北の山へ行ってみる。だから早めに戻ってきて」
「ん?あぁ…わかった」
例のドラゴンに会いに行くためだよな。手間かけてすまねぇ…。
「ありがと。さすが姉達は頼りになるな!」
三人ともなんかフニャフニャしてて心配だけど。うちの姉ってこんなだったか?
なんかもっとこう…抜身の刃みたいだったような気がしたけど?特に由乃姉と理乃姉は。
「…山に行くなら専用の装備が必要です。天空島へ行くのなら、そちらも特殊装備が必要になります」
復活したらしいミミが説明してくれた。
山は寒さが厳しいらしく、それに合わせた耐寒装備が必要。
更に、浮いている島へ行くのだから当然飛ぶしかない訳で…。
「飛行機とか出てないのな」
「そんなのあるわけ無いでしょ! ファンタジーだって言ったよね?私の話訊いてた?」
めっちゃキレるやん。ミミが今度は刃物みたいになってんな。
言葉の節々が鋭利すぎる。
ミミが言うには島へ行くためには飛行装備が必要で、種類もいくつかあるらしい。
「一つはダンジョンの宝箱から稀に出る翼やマントとかの装備、これはレアなので狙うのは現実的ではありません」
詩乃姉なら即見つけそうだけどな。
強運という意味ではうちで最強だし。その運の良さで方向音痴も補正されればいいのに、そっちは無理なのが惜しいところだ。
「もう一つはショップで購入する方法ですが、こちらは高額ですので先ずはお金を貯めないと話になりません」
「シノ姉の幸運でなんとかなんねーかな?」
「運にだけ頼ってはだめよ〜」
それもそっか…。
「あっ! そーだよ。”ステータス”」
おぉ…レベルが二桁になってるな。パーティでダンジョンに行ったからか?
このステータス機能完全に忘れてたな。能力値が軒並み上がってるから疲れにくかったり、ユリノ姉を抱き上げたりとかできた訳だな。
「レイア、スキル欄にノーラから貰ったものは見えますか?」
「んー?文字化けしてて見えねぇのがあるからそれじゃねぇか?」
「そうですか…」
通知も聞き取れなかったしな。
ユリノ姉がくれた暗視や、元々持ってる弓関連、回復魔法に関係したものはしっかりと読めるから、ノーラのはこれで間違ってないと思う。
「最強のドラゴンのうちの一体…未だ会ったプレイヤーはいないのに」
「そーなのか?」
「そもそも世界を管理している特殊なドラゴンで、クエストのイベントでしか会えないの! だから倒すとか、戦うっていう対象でもないのに」
ユリノ姉は鱗を何枚かかち割ったぞ?しかも体当たりで…
「レイア、黙りましょうね?」
何も言ってねぇ! 心を読んで睨むなよ…。
オレたちは、もう数日温泉街カピバラックに滞在し、姉達とは別れてルリマリとニャンダーへ出発した。
カピバラックでの最後の数日は思い出したくない記憶ばかり。早く忘れてしまいたい。
「…ああいった事にも慣れておかないとダメですよ?」
「無理だぞ?猫耳としっぽくらい無理」
なんで姉達とアダルトな会話しなきゃなんねぇんだよ。
早くシノンさんの美味しい和食を食ってほっとしたい…。




