世界をこえる姉達の想い
零くんに誘われてダンジョンに行く事になった。
例のドラゴンに会いに行くらしい。
なんで!?って思ったら世界の渡り方を知っているかもしれないから聞きに行くって。
それはすごく大事だね。
大丈夫。うちらが必ず送り届けるよ。
うちも聞きたいことがあるし…。
しばらく進んだら寝ていたドラゴンが起きたらしくて、目の前に連れて行かれた。
さすがにびっくりしたけど、恐怖とかはない。
倒せと言われたら倒せるから。
でも、それをしたら零くんも危ないからやらないけど。今は聞きたいこともあるし。
うちらの事情も話して知恵を借りたのだけど、うちが零くんのいる世界へ渡る方法は一つ。
それって…。いいの?うちがもらうよ!?
今のうちならそれができちゃうし! しかも世界を守るドラゴンの一人に許可されたのなら、それはもう合法だよね!
ただ…約束したから。無茶はしないって。
それに、悔しいけどユリノの言うとおりだ。
何も知らないで無邪気に楽しそうにしてる零くんというか、レイアにそんな事をできる?
前のうちならしてたかもしれない…。
今は無理だよ。それでもし泣かれたら?信用を失ったら…うちは後悔してもしきれない。
せっかく零くんに”オレの女だ”って言ってもらえたのに。
それを今、失うことになったらうちは…。
だから無茶はしない。絶対に。
徹底的にそういう知識を遠ざけてきたのが仇になるなんて。
ゆっくりと教えてあげるしかないか…。
でも進展はあった。
うちがレイアのいる世界へ行く方法だけじゃない。
もしかしたら帰る方法を知っているかもしれないドラゴンの事も。
今はちょっと話すとややこしくなるレイアはユリノに口を塞がれてるから、例のドラゴンについてもうちが聞いておかないと。
「あね様ドラゴンにはどこへ行けば会える?」
「ホントに行くのか?」
「それしか方法がないなら行くよ」
「…わかったのじゃ。あね様はここから北に行った山の山頂、その上に浮いている天空島で天候の管理をしてるのじゃ」
「天候…?」
「怒りに触れればどうなるか想像できるじゃろ?」
「カミナリどか〜んってことかしら…」
「それなら生易しい方じゃ…世界が水で流れて消えるのじゃ。過去に一度そういう事があったんじゃ…」
神話かよ…。そこまでされるってなにしたんだよ?
「理由は知らん…まだ幼かった妾は怖くて聞けなかったのじゃ」
情報なしか。
「怒らせなければ優しいあね様じゃから大丈夫じゃ。多分レイアのような無邪気で純粋なやつなら気に入られるじゃろ。妾との繋がりにも気がつくはずじゃしな」
「無邪気に怒らせたら…」
「…ま、まぁ大丈夫じゃろ!」
そういう事はうちの目を見て言ってほしいなぁ。
まぁいざとなったらうちらで止めるか…。
次にここへ来る時はうちと零くん…いや、レイアと結ばれる時。
夢にまで見た事なのに、いざとなるとすでに緊張してる。
焦るなうち…。まだ今じゃない。
もう絶対零くんを傷つけたりしない。
あんな怯えた目で見られるのはもう嫌だから…。
「由乃姉助けて! ユリノ姉が!」
「待ちなさい!」
零くんがうちに助けを求めた!? うそ…やだ可愛すぎる!
ユリノはこれをされたら…それは庇護欲マックスだな。
そしてわかるぞ、今のその気持ち。
うちが昨日味わった気持ちだからな!
「ふっ…」
「っ…!!」
勝った…!
「何をしとるんじゃお前らは…。日を改めるなら送るからとっとと帰るのじゃ!」
来た時と同じように真っ黒いモヤに包まれると、入ってきた入り口近くに立ってた。
なんであんな不気味な黒いモヤなの?
わざとらしくキラキラしてるよりはいいけど…。
「なんだよ…結局あんま分かんなかったじゃねぇか」
あー零くんにはそういう感じなんだね?可愛いなぁもう…。
大丈夫。うちが色々教えてあげるから…いろいろね?
「なんか急に寒い!? 早く帰って温泉入ろうぜ」
「そうですね、ダンジョンでそれなりに汚れましたし…入り口のギルドで帰還報告だけして帰りましょう」
温泉! 混浴! 零くんと!
「ユナ〜?何考えてるかわかるけど〜ダメよ?」
「なんで!?」
「それ…どっちに入るつもりよ〜」
………そうだった。でも今は絶対必要だから無くすわけにいかないんだよ。
「ユナ姉、シノ姉! オレ達の部屋についてる温泉すっげーんだ! 露天風呂まであるからな!」
「いいわね〜行ってもいいかしら…」
「いいぞー減るもんでもねぇし!」
部屋付きのお風呂! それなら!
そう思ったのに…。
「ひどい…」
”レイアには刺激が強すぎます! 泣かす気ですか!”ってユリノに言われて一緒に入れなかった…。
詩乃姉は一緒に入ってるのに!!
泣かせたくはないから我慢したけど、うちが泣きそうだよ。
「やっほーユナ姉!」
「リオ…?もう、学校終わったの?」
「うん。急いで帰ってきた! 見て見て。ちゃんと私でしょ?」
「……盛ったな?」
「…なんの事かなー」
「いいのか?それで零くんに覚えられて、リアルに戻ってがっかりされたら…」
「っ…………」
そんな落ち込むなら盛るなよ。
「そっちだって! そんなものつけてて引かれるよ?」
「必要になるから仕方ない! 使い道も確定したからな!」
「なにそれ…え?まさかもうそこまで!?」
情報共有しようとしたら、ちょうどミミもログインしてきたから今日の事を話しておく。
「そんな事ならキャラ変えなかったのに!! あれ一度やると半年は出来ないんだよ!?」
「知らねーよそんな事。うちだって今日初めて知ったんだからな」
「…………」
ミミは刺激が強すぎたのか耳まで真っ赤にしてる。
零くんと違って知識はあるんだな?
普通はそうか…。零くんが特殊なだけ。
一度どこで手に入れたのか、そーゆー本を持ってた時は本気でキレた覚えがあるし。
…あれもうちを怯える原因の一つなんだろうな。 ごめん…。




