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異世界に弟を奪われた姉達の奮闘記 〜なお弟はTSしても異世界を気ままに満喫中〜  作者: 狐のボタン


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聞き間違いか、解釈違いか



あの零くんが…うちを抱きしめて”由乃姉はオレの女だろ! キリッ”って…夢じゃないよね? 

なのに、なのにうちは…。一時の欲望に身を任せておかしなキャラクリをしてしまってる。

どうしよう…。

でも、零くんは今レイアで、女の子で…あぁぁ! うちはどうしたらいい?

嬉しいのと、混乱で頭が働かない!



「零くん〜私は? 私は女じゃない?向き合ってくれないの…?」

「いや、詩乃姉も女だろ。何言ってんだよ…まさか詩乃姉まで!?」

「私はそんな馬鹿なことしてないわ〜」

「よかった…姉が二人もわけわかんねぇ事してたら、どうしたらいいかわからなくなるとこだった」


え…?ちょっと!?

なんで零くんは詩乃姉とまで抱き合ってるの?まさか…”二人ともオレの女だからまとめて面倒見るぜ”みたいな事!?

ま、まぁ詩乃姉なら仕方ないかな…?うちじゃ勝てないし。でもでも! 

できればうちだけのにしたいなーって思うわけで…


”シノ姉! ユナ姉! ちゃんとレイアを捕まえてくれてるの? ねぇ!!”

「うるさいな! 今それどころじゃないんだよ!」

”はぁ?また何かあったの?”

”大丈夫なんですか?レイアちゃんは?”

「私とユナは零くんの女になったわ〜」

””はぁぁ!?””

”ちょっと! 私のいない所で何してんの?”

”わ、私という彼女がいるのに!!”

「それ、自称よね〜?」

”違いますよ! ちゃんと返事もらいましたもん!”

「なんて言われたのよぅ〜?」

”えっと、まずはお互いを知る事から始めよう! って…あれ?”

「それ…本当に彼女〜?」

”そ、そんな…”

”取り敢えず早く行こう! うちの姉二人がなんかやらかす前に行くよ”

”は、はい!”


 

一旦! 一旦落ち着こう。

ダメだ、顔がニヤける!

「由乃姉?何をニヤニヤしてんだよ…」

「だって…嬉しくて!」

零くんはわかんないって顔してるけど、うちは夢がようやく叶ったんだから!



「由乃姉、詩乃姉、オレたちダンジョンから戻ったばかりだし、部屋で休むけどいいよな?この宿には居るから」

「うんっ。ゆっくり休んで零くん」

「そうよ〜ちゃんと休まなきゃダメよ?」

「お、おう…」

なんてったって今のうちは零くんの女だからね! よゆーがありますよ。

これが幸せな者だけが持つという、心のよゆーってやつ?

部屋に戻る零くんを笑顔で見送れる!


「由乃?そろそろ美緒ちゃんを家に送り届けないとだめよ〜」

「もうそんな時間?」

「あの子達、明日から学校でしょう…?」

「そうだね。でも零くんは…」

「今のところ帰る方法はわからないものね…」

「うち、お母さんに全部話すよ。怒ったとしても止めてみせる!」

「協力するわ〜なんてったって私達…」

「「零くんの女だから!」」

詩乃姉と笑い合う。

うん、これでもいいかな。 姉妹で取り合うなんて不毛なことせず協力するのが一番だ。

取り敢えず今は…


「盛り上がってるとこ悪いんだけどさー説明してくれない?」

「そうです! 私だって一応…彼女…の筈です…」

いつの間にかリオとミミも到着してたのか。


「レイアは!?捕まえといてっていったよね?」

「落ち着きなって。 昨日今日とダンジョンにいたらしくて、疲れてたみたいだから休ませてあげたよ」

「…ねぇ?その由乃姉の余裕は何? もしかして本当に…?」

「うん! 零くんから抱きしめてくれて、オレの女だろ! って言ってくれたよ」

「う、嘘だ…あの零が!? 何かの間違い…」

「私も言われたわ〜。初めてよね零くんから抱きしめてくれたのなんて〜」

「そんなぁ……」

「私は!? ちょっと零に文句言ってくる!」

「やめな! 零くんは疲れてるんだよ?休ませてあげてよ」

「…なに?この余裕のある態度…ムカつくんだけど!!」

今ならそれくらいの暴言許してあげる。うちは大人だからな。


ブツブツと文句を言ってる二人だけど、美緒は家に送らないといけないし、理乃も学校があるから。

ようやく諦めてログアウトしてくれた。

うちらも一度ログアウトする。

また明日ね?零くん!


お母さんの事は任せて!


ーーーー

ーー



任せてとは言ったけど…どうするのが正解なんだろう。

失敗したら…?

ううん。大丈夫、詩乃姉もいるんだから。


美緒を送り届けるために理乃は出かけた。 

その間に、うちは詩乃姉と一緒にお母さんに大切な話があるからと時間を取ってもらった。

零くんの事だと言ったら、すぐに店をお父さんに任せて自宅の方へ来てくれた。


「それで…何か進展があったって事か?」

「わかった事がいくつかあるから、全部隠さずに話すよ」

「あぁ。頼む…」

「お願いだから、最後まで冷静に聞いて〜?」

「わかったって言ってるだろ! 早くしろ!」

うちらは零くんの身体がないのは、もうこちらの住人じゃなくなってしまっているのではないか、もしかしたら死んでて、別の世界に転生している状態なのでは?っていうのを、ログアウトできない事実や、ゲームとの食べ物の違い等についても交えながら詳しく説明した。


その結果、お母さんが泣き崩れた…。

キレて暴れるとか、最悪うちらが殴られる覚悟もしていたけど、これは予想外だった。

でも、考えたら予想できたのかもしれない…。


うちらだってこの現実を受け入れられてはいないんだから。

単に、向こうでなら会うことができる、零くんの女として認めてもらえたっていう心の余裕があっただけ…。


ずっと抑えて耐えてきたお母さんにうちらは…なんて酷な事をしたのか。

「零…嘘だよな…そうだと言ってくれ。 …こちらに身体が無くなってる状態だと聞いた時に、一瞬それも頭をよぎったんだ…。でもな?受け入れられるか?大切な一人息子だぞ?」

「お母さん…」

「向こうで、零は元気にしてるんだな?」

「ええ…。随分馴染んでるわ〜」

「そうか…」

それっきりお母さんは何も話さなかった。


店を締めて帰って来たお父さんにすがり付いて泣いてた。

浮かれてうちらは…お母さんになんてことをしたんだろう。

ううん。このままになんてしない!

「お母さん! 絶対に…絶対に連れて帰る方法を見つける! だから待ってて!」

「そうよ〜! 私達はお母さん達の娘よ? 零くんはお母さん達の息子なの…!」

「…そうだよな。零が…私たちの息子がそんな簡単にくたばるわけがねぇ…」

「うん。きっと、ひょっこり帰ってくるよ。ただいまーって。麻乃、僕らは信じて待とう」

「…あぁ! たまに顔を見に行くくらいいいよな…?」

「そうだね。それくらいなら。零もきっと喜ぶと思うよ」

「その時はうちらが案内する! 会えるように協力する!」

「任せてくれていいわ〜既に実績があるんだもの」

お母さんはようやく泣き止んで笑顔でうなずいてくれた。


希望がないわけじゃない。現にあちらに零くんはいるのだから!

なんとしてでも方法を探し出すよ。

そのためにうちがしなきゃいけないのは…多分、零くんと同じ状態になる事。

ゲームの世界でいくら情報を集めたところで、それはあくまでもゲームでしかない。

それは今回実感した。

間違いなく零くんは、レイアとして別の世界に生きてる。

だったらそちらへ行けばいい。 そして情報を集める!



詩乃姉とも話したけど、やっぱりそれが一番確実なのでは?って結論になった。

ただ…

「理乃?」

「………」

「理乃ってば〜」

「うるさいっ!」

「そう〜じゃあいいわ。私と由乃で零くんを幸せにするわ〜それでいいのね?」

「……」

帰って来てから理乃は口を聞いてくれない。

うちらは理乃も傷つけたのか…。

でも諦めるとか言って美緒をけしかけなかったか? 

今それを言うのは流石に意地悪だな。


「理乃、また零くんに会いに行こう? 直接聞けばいい。零くんは真正面から聞いたことにはちゃんと答えてくれるから」

「……でも私はあっちじゃ男なんだよ?」

そうだった…。零くんも女だからあれだけど…。そういう事じゃないんだよな?

リオじゃ無く理乃として零くんに見てもらいたいんだよな。


「そういえば〜猫カフェの店長が言ってなかった〜?」

「うん?」

「ほら…由乃をユリノと勘違いしてた時に〜」

「あっ! 髪色変えたの?とかってやつ?」

「そうそう〜。名前は無理だけど〜って。 もしかしてキャラクリは出来たりしないのかしら〜」

「調べる!! 名前はリオで諦めるから見た目だけでもなんとかしたい!」

理乃は元気が出たのかスマホで検索を始めた。


結果は、可能だった。

髪型程度なら街の美容室でゲーム内通貨で。

見た目の大幅な変更は課金アイテムとしてだけど。

「私これ買う! いいよね?姿変えても…」

「いいと思うわ〜。ましてや男の姿をまだ零くんには見られてないんだし…」

もう一つゲームが買えそうな金額だけど、理乃もそれくらい平気だろう。

多分、うちらが出そうとしたら嫌がるからな。理乃はそういう所は頑固だから。


うちもどうしようか悩んだけど、保留にした。

だって、ゲーム世界ではなく、別世界にいる零くんというかレイアには、そんな課金アイテム使えないだろう。

となると、女の子のままって事になる。だとしたら…ねぇ?

必要になるかもしれないじゃん!


焦らないし無茶はしない。

約束したから。














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