実はオレのいた世界はエ○ゲーのなかでした?
ようやく会えた筈の姉達。
喜んだのも束の間、話をしよう?って由乃姉からの凄まじい威圧感。
怖い、めっちゃ怖い…絶対にただの話ですまないやつ!
「ユリノ姉助けて!!」
「ちょっと話するだけだから! ね?」
「ひっ…」
「レイアが怯えています。 貴女は今までレイアにどういう接し方をしてきたのですか!」
それはもう、突然すっげー力で押し倒されたり、お風呂に突撃されて、逃げようとしたら湯の中に引きずり込まれて締め上げられたり…歯向かおうものなら今みたいな凄まじい威圧感だされて。
最終的には手が出る…。
「はぁ…。これだけレイアを怯えさせてて、貴女の想いが伝わると思いますか?」
「あぁ!?お前に何がわかる! うちと零くんは…」
「この子はレイアです! 見てみなさい! この怯えてる姿を見て、まだそれ以上自分の一方的な想いをぶつけるのですか!」
「……零くん?」
「………」
由乃姉が優しいところがあるのも知ってるし、嫌いなわけではない。
でもこういう時の由乃姉は加減してくれないから、ほんと怖い…。
「由乃、少し落ち着きなさい〜。私も前から言おうとは思ってたのよ?」
「なにをだよ!?」
「それよ…。大好きで離したくないのは私も同じだからわかるのよ〜?でもね?焦り過ぎなの」
「だって! 誰かに取られたら…現に今も!」
「そうね?でも…そうやって無茶な事を続けたらますます零くんは由乃から離れていくわよ〜?誰かのところへ行ってしまって帰ってこなくなるかもしれないわよ…?」
姉なんだから他人になったりなんてしないけど…。
確かに無茶苦茶されるのなら近くにいるのは怖いよな。
いっそこのまま、こっちにいた方が安全なのでは?って考えが頭をよぎる。
そんな事を考えてたら由乃姉は泣きながら座り込んでしまった。
……これは…すごい罪悪感だな、ごめん由乃姉…。
心配してわざわざゲームの中まで来てくれたのは間違いないんだもんな…。
「オレは詩乃姉も理乃姉も、もちろん由乃姉の事も好きだぞ?だからいつも明るくて優しい由乃姉でいてくれよ」
泣いて座り込む由乃姉を撫ぜる。
いつぶりだっけ…。 こんな体勢でもなきゃ、ちゃんと手が届かねぇしなぁ。
「零くん…ごめんね…」
「まさか泣かれるとは思わなかったからな。オレもごめん」
「傍にいてくれる?どこにも行かない?」
「それは…帰る方法がわかんねぇからなぁ。約束できねぇよ。もしかしたらオレはそっちでは死んでるのかもしれないし」
「そんなはずない! だってここにいるよ?うちの目の前に…」
「それはレイアだな」
意識も記憶も零のままではあるけど、それなら零としての身体はどこに行ったんだ?って話になる。
ログアウトできない理由は?わかんねぇんだよ…
「わかった…ならうちもこっちの住人になる!」
「ちょっと由乃姉が何言ってんのかわかんねぇんだけど。 出来るのかよ?そんな事…」
「出来るかじゃないの。そうするの!」
こうなったら無理か…。言い出したら聞かねぇからな由乃姉は。
由乃姉がこっち来るって言ってもなぁ…
「そういや、オレがいなくなって両親はどうしてんだ?」
「「あ…」」
あ…って。二人もいてなにしてんの!? まさかオレは気にもされてなかったりすんのか?
「それよ〜、いい忘れてたわ。お母さんが魔王になったの!」
「もともとそーじゃねぇか」
「違う! 零くんが行方不明になったから、お母さんもゲーム買ってきてログインしたんだよ」
「それってまさか…」
「…例の告知はレイアを探していたのですね?」
いっ!?うそだろ? じゃあ何か?街の封鎖やらアレコレは母親魔王のせい…というか居なくなったオレを探して?
「ユリノ姉、逃げなきゃ! 荷物まとめて…何処か遠いところへ!」
「私はどこへでもレイアについていきますが…」
「慌てなくて大丈夫よ〜?当面はログインしないと思うから…」
どういう事だよ…。うちの母親はあんな告知を出して世界をパニックにして消えたのか?
本当にただのご乱心魔王じゃねぇか。
話を聞くと、母親もやらかした自覚はあって、今はどうにか落ち着いてると。
ただ、オレが戻らないと再ログインの可能性がある…。
どーすんだよ! 世界が恐怖で支配されるぞ!
レディース・花散流乱無が再結成するんじゃねぇか!?
娘という最強の部下を引き連れて…。
「やっぱり〜お母さんに全部話すしかないのかしら…」
「それで納得する?あのお母さんが…?零くんが死んだかもなんて言ったらどうなるか…」
「想像したくもないわね…」
オレはこっちでもどうなるかわかんねぇな、それ…。
「レイアのお母様は何者なんですか…?」
「うちの姉達を纏めて片手間感覚でぶっ飛ばせるような母親だぞ?」
「それは私でも…?」
「無理だろうな。常識なんて通じねぇから」
原因は何だったか忘れたけど、本気の姉を三人相手にして、涼しい顔であしらってたのを見てるからなぁ…。
最終的に三人が白目向いて倒れてたのを見たオレの恐怖はわかんねぇだろう。
あまりにも実力差がある場合、周囲への被害も何もない。
姉同士のケンカとの一番の違いはそこかも。
だからこそ、仮にプラスでユリノ姉が加勢したとしても、さしてバワーバランスが変わるとも考えにくい。
「オレもなんとかログアウトする方法探すから!」
「そんな方法あります?アテでもあるのですか?」
「ねぇよ! でもこのままじゃ…」
何が起こるかわかんねぇ…。こっちに来てからずっと世話になってるユリノ姉を巻き込みたくない!
「零くん。うちがなんとかする。うちに任せて」
「大丈夫なのかよ…」
「そのかわり約束して?」
「ん?オレにできることか?」
「うちとちゃんと向き合って…。 もう零くんに無茶な事はしない、約束するから…」
「あ、あぁ…オレは何したらいいんだ?」
「うちを姉じゃなく、女として見て欲しい。お願い…」
……由乃姉は姉なんだから女だろう?どういう事だよ…。
あっ…前にユリノ姉に同じ事言われたな。ちゃんと向き合ってくれって。
それで、こういう時どうしたらいいかも教わった。
オレは由乃姉を抱きしめた。
これで合ってるはず…。
「れ、零くん!?うそっ… 本当に…いいの?うちを女として見てくれる?」
「意味のわかんねぇ事を…。 由乃姉は女だろ?」
「うんっ…うん…」
「それともなにか?由乃姉は最強のバットでも持ってんのかよ?」
「うわぁぁぁ!! どうしよう!」
うわっ…なんやねん!
「いや、でも今零くんは女の子で、レイアだから…これで合ってる?」
なんか由乃姉が見たことないくらい取り乱してるんだけど…。
「零くん、零くん…」
「なんだよ詩乃姉」
「あのね…由乃は、ユナになって…それでね〜? 今は……」
…………
……
「……由乃姉何してんの?アホなの?」
「イヤーーーーー!」
叫ばれてもやな?自分でつけたんだろうがよ…。
ランダムにしてこうなってるオレが言えたことじゃねぇかもだけど、由乃姉は意図してやったんだろ?
何がしたいんだよ…。ほんと姉が何考えてるのかわかんねぇ。
しかもこのゲーム、R18指定なのな?知らんかった。
美緒め…エ○ゲーマーなら先に言ってくれよ!
普通に買っちまったじゃねぇか…。
由乃姉は未だ目がグルグルしたままパニックだし、ユリノ姉は呆れて大きなため息ついてる…。
詩乃姉は相変わらずニコニコと楽しそう。
どうすんねんこれ…。
まー取り敢えず、美緒は次に会えたら問い詰める!




