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異世界に弟を奪われた姉達の奮闘記 〜なお弟はTSしても異世界を気ままに満喫中〜  作者: 狐のボタン


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ダンジョンでの初体験



朝から旅館のホールにルリマリと合流。

街の中にあると言うダンジョンへ歩いてきた。


「ホントに街の中に出入り口があるんだな…」

「ここはどちらかと言うと、これがあるからできた街でもあるんだよー」

意味わかんねぇ…そんな危ないところにわざわざ?


「ダンジョンは資源の宝庫なんです。この辺りは温泉もあり、身体の傷を癒やすにも便利ですから」

「温泉ってそんな効果が!?」

「湯治に来ている本人が何を言ってるのですか」

そらまぁそーなんやけど。やっぱゲームみてぇ…。


「天然の洞窟がダンジョンに変化したものなのよ。どのダンジョンもそうだけど、最下層にはダンジョンマスターがいて、倒すと莫大な財産とダンジョンそのものを手に入れられるって噂よ」

「ダンジョンを? どーすんだよ、そんなもん手に入れて」

「資源の宝庫なんですよ? それらを自由にできるという事は…後はわかりますよね?」

油田みたいなもんか?ダンジョンマスターは石油王か!



入り口はギルドタグを持っていれば入る事ができるそうで、フリーパスだった。

持ってないと魔法的な何かで弾かれるらしい。バリアみたいだな…。


前回ルリマリに連れられて行ったときは、絶賛トラウマ発動中で記憶にないから、入り口から入るのも初体験みたいなもんだし。


一階層は人工的に作られたものらしく、中にはギルドの簡易受付やら、各種アイテムを取り扱う店も並んでる。

「必要なものとかあったらここでも買えるけど、どうするー?」

「手持ちで充分です」

「オレも」

正直、何が必要かわかんねぇってのが本音だけど。

「大丈夫ですよ。必要なものはレイアも持っています」

「そっか」

うちの姉達はどーしてオレの所持品を把握してんだ?

隠し事ができねぇって意味では全く同じだな。


迂闊に叡智な本とかも置いておけなかったからな…。

由乃姉に”うちが目の前にいるのに必要ないよね?”って物凄い怖い顔で威圧された挙げ句、ビリビリにされて破棄された。それっきり怖くて手にした事は無い。

「そろそろ行こうか?」

「そうですね、レイア。そういうのは私で我慢しなさい。行きますよ」

ほんまエスパーやめろ。

どーすんだよ。もしオレがユリノ姉でそういう想像したら。

「ご期待に添えるかわかりませんが、出来る限り対応しますよ?」

…………。

幸い、こうなっちまってからそーゆーのに心を乱されないからな! 大丈夫。

「そうですか…」

残念そうな顔をするな!



ダンジョン内は洞窟と言われればその通りだった。

前のはもっと迷路か? って思うくらい道が狭くて入り組んでたのに。

「ダンジョンとは大まかに二種類に分類されます。遺跡がダンジョンになったものと、このような洞窟が変化したものです」

「何でそんなことが起こるんだ?」

「それはねー」

「うん?」

「謎なのよ…」

なんやねん! 答えがあるのかと期待したじゃねぇか…。


「レイアじゃないですが、そういうものだと思ってください」

「はいはい。細けーことは気にしねぇよ」

前にルリマリに教わったように、いつ敵が出てきても対応できるよう、すぐに弓を使える体勢で進む。


「誰か一人でもダンジョンを制覇すれば、謎も解けるかもって言われてるのよ」

「へぇ〜」

「それだけ危険で難易度が高いと言うことです。気をつけなさい」

「わかった…」


前のダンジョンより暗いけど、罠類はルリマリが潰してくれる。

二人にはよく見えているらしい。

「私も見えてますから大丈夫です」 

うちの姉、有能過ぎてオレいらない説。

…悲しくなるからやめよう。


「来ます!」

ユリノ姉の声に、ビクッとしたけど弓を構える。

…うん。なんも見えねぇ。

ブォンって音と、何かが壁に叩きつけられる音だけが聞こえて怖ぇのなんの…。


多少目が慣れてきたのか、さっきユリノ姉が倒したナニカが見えた。

「コレなんだ?」

「ただのトカゲです。洞窟ですから」

オレの知ってるトカゲはこんなにでかくねぇよ!?


ユリノ姉が素材回収すると消えていくのは、外と同じ。

オレが現実味を持てねぇのはこういうとこだと思うぞ。

血だらけになって回収とかしたくはねぇけど…。



その後もオレの出番は一切なく…。

どんどん奥へと進んだ。


食事を兼ねて一度休憩しようって言うユリノ姉の提案で、テントを組み立てた。

これはもう慣れた。

「私達もいい?」

「別に構わねぇよ。汚れてるなら風呂もあるから使ってくれ」

ルリマリは喜んで入ってったけど、オレはこのテントしか知らねぇんだよな。



「レイア、一ついいものを教えてあげます」

「うん?」

そう言うとユリノ姉はいきなりオレの顔を掴むと、おでこに自分のおでこをくっつけてきた。

「集中してください」

「せめて事前説明くらいしてほしいぞオレは…」

びっくりするわ…。


「暗視スキルを渡しますから、自分で使いこなせる様になりなさい」

「…!?」

突然”暗視スキルを手に入れました”って頭の中に響いた。

やっぱゲームだろこれ…。


「スキルの低いうちは見える範囲も狭いですから、過信しないように」

「あ、ありがと…。てか、オレに渡しちまってユリノ姉はどーすんだよ?」

「渡すといっても私のが無くなるわけではありません。 そうですね…スキル知識の基礎を伝えた、そう思ってください」

うちの姉が何言ってっか全然わかんねぇ…。


「暗いところでもこれからはよく見えるようになった、そう思えばいいです」

「わかった。ありがとなユリノ姉」

「いえ、初めに渡せばよかったのですが、人前では…その…」

まさかユリノ姉でも恥ずかしいとかあんのか!?

「ひっぱたきますよ?」

「心を読んで殴ろうとするな!」

ほんっとに…。そうなら風呂上がりにちゃんと服を着てくれよ。

「見せてるんです」

意図はなんだよ…。スタイルの違いを見せつけてんのか?

あいにくオレはコンプレックスとかねぇから。残念だったな。

「はぁ……」



「これでオレも多少は役に立てるかな?」

「ええ。頼りにしています」

おぉー、姉に頼られた!


ユリノ姉のスキルを渡すというのは、鬼神という職業ならではらしく、鬼人や鬼ではできないそう。

「ユリノ姉って神様なのか?」

「まさか。鬼という職は力がめっぽう強いんです。その最上位の鬼神は魔法も使えるようになるだけです」

最上位かよ…。


「レイアだって、回復系の魔法やスキルは最上位のものですよ? 腕くらい無くしても生えてきます」

「怖ぇよ!!」

「命さえあれば助けられるんですから、いいじゃないですか」

それはそうかもだけどよ…。


「魔法って何でもありか?」

「まさか。死んでしまったらそれまでです。ですから気をつけなさい」

「お、おう…」

そこだけリアルなのな?

「噂では、何処かに死者でさえ蘇らせることができると言われるマジックアイテムがあるそうですが、所詮は噂。眉唾のようなものですね」

どーせ当たり前に見つかるんだろ?それ…。 

オレ知ってる。お約束ってやつだな。



ルリマリと交代でオレたちもシャワーを浴びて、少し休憩。

宿で買ってきたという弁当を食べてホッとする。

「この中にいると、自分が今どこにいるか忘れそうよね」

「快適すぎるーうちらも早めに買おう!」

「だから私は最初から言ってたのに」

ルリマリはテントの事で揉めてるが、確かに快適だよな。

ホント贅沢言わなかったら暮らせるレベル。



「そろそろ進みましょうか。夜はまたこのテントで休めばいいのですし」

「だな、オレもいい加減役に立たねぇとタダのお荷物だし」

「私達の士気に直結してるからお荷物ではないわよ」

「そーだよー。くまさん以外も見てみたいけど」

知らねぇよ! それしか手持ちにねぇんだから。

それが理由で変な名前の見せパンまで取り上げられてんだからなコッチは。


「今度買いに行きましょうね」

下着をか? ないのも困るけど、なかなかにハードルが高いなそれは…。



ユリノ姉の教えてくれたスキルのおかげで、近い範囲なら昼間のように見えるようになった。

なんつー便利な…。

問題があるとすれば、敵がハッキリ見えるようになったせいで気持ちわりぃのなんの…。

今なんて巨大なムカデみたいなのが、わさわさわさわさ…って。

ふつー女性陣のがこういうの苦手そうなのに、ここにいる人達には素材かお宝にしか見えてねぇらしい。

逞し過ぎて…引くわ…。


「レイアちゃん、ごめん。ちょっとやられた…」

「大丈夫か? 任せとけ!」

ケガを治したり、毒を治したりならオレでも問題ない。

使い方も意識しなくてもわかるのは気にしたらだめだ。

そーゆーものなんや…。


掌がぽわぁっと光るとマリンの腕のケガも直ぐに治った。

「ありがとう。薬だとこんな直ぐにとはいかないから助かるわ」

「戦闘は任せてばかりだからな。これくらいはさせてくれ」

「可愛くて治療してくれるとか…天使だわ」

自分で言うのもアレだが、こんな口の悪ぃ天使いたら嫌やろ。

オレの言葉遣いは由乃姉の影響が大きいのかもな。あの姉も大概口が悪い。



「なにか大きいのが来ますよ! 警戒を!」

ユリノ姉の鋭い声に全員気を引き締める。

オレも流石にこういう空気感には慣れてきたな…。


暫くするとズシンズシン…と本当にデカそうなモノが近づいてくる音が。

弓でズームするも暗くてまだ見えねぇ…。なんか光ってるような気はするけど…

「なぁ、赤い光が見えるような気がするだけど、何だあれ?」

「レイア、それは本当ですか!?」

「あぁ、暗くてそれしか見えねぇ」

「それを撃ってください!」

「お、おぅ…」

赤い光に狙いを定めて、矢を放つ。


「きぃやぁぁぁ…」

すっごい女の人みたいな悲鳴が聞こえたけど大丈夫なのか!?

「やはり…。 レイアまだ光は見えますか?」

「んー直撃したからな。光は見えねぇよ」

「恐らくヴィーヴルです」

「びーびる?」

「マジ!?」

「嘘でしょ…」

なんやねんそれ…説明求む!


「上半身は女性、下半身は蹄のある脚を持ち、翼と蛇のような尻尾を持った…」

「…いい。なんか怖いからやめて」

頭の中で変な生き物が出来上がっていく…。もうオレの想像限界を超えた。


「おでこの赤い宝石を手に入れられたら一攫千金! でも、そこが弱点なのよ」

「だから、見つけてもそこを狙うしかないからねー。破片でもかなりの値打ちがあるよ! やったねレイアちゃん」

なんのこっちゃ…。


警戒しながら進むと、確かにユリノ姉の言っていた通りの姿をしたモンスター? 人? みたいなのが倒れてた。

オレの想像してたのとは大分違ったけど。背は高いから目の前に現れたら怖すぎたな。

「ヴィーヴルを一撃かー。いい腕してるよ」

矢の刺さった宝石を見せてくれた。

確かにキレイだから宝石と言われたらそうなんだろうが、モンスターの一部と言われると…複雑だな。


「レイアが倒したのです、素材も拾っておきなさい」

「…あいよー」

魔法石と、コウモリみたいな羽、尻尾等…回収したら消えていった。


ユリノ姉に、せっかく仕留めたのだから、宝石は記念に貰っておきなさいって言われた。

なんか申し訳なくて他の素材はみんなで分けてもらう。

「いいの? かなり高級素材なのよ?」

「一人でここまで来たわけじゃねぇからな。これを貰っただけで充分だよ」

「レイアもこう言ってますし」

「ありがとー! これだけですっごい稼ぎだよ!」

「そうよね、ドラゴンとまでは言わないけどワイバーン素材に匹敵するわ」

そんなのもいるのか…。


「地底ならアースドラゴンとかですかね。普通はまず出会わないですが」

「知ってるか? ユリノ姉、そういうのをフラグって言うんだぞ」

「覚えておきます…」

手遅れ感すげぇけどな!










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