姉が許せないもの
「そろそろ抜け道にはいるわ〜」
街からも離れたしボイスチャットを解禁した。
”気をつけてくださいね”
「もしプレイヤーに襲われたらどーしたらいい?」
”返り討ちにしたらステータスカードを取り上げてください”
「なんだそれ!?」
”言ってませんでした? ステータスって言うと見えますよ”
「”ステータス” ほぉー自分のが見れるんだな」
”倒した相手が犯罪者なら所持品と一緒に回収できますから。犯罪歴があればステータスカードが赤色です。それを取り上げた時点で強制ログアウトになります”
「相手の荷物をうばっちゃっていいの〜?」
”普通の人から奪うと犯罪ですが、犯罪者の場合問題ありません”
「へぇ〜おもしれーじゃん」
”ユナ姉、無茶しないでよ!”
「わかってるって。優先すべきなのはレイアだから」
「そうよね〜あら…」
「ちょっと戦闘はいるから、終わったら連絡する」
”はい。お気をつけて!”
囲まれたなぁ…。
「ユナ〜後ろ任せたわよ〜」
「りょーかい! っらぁ!!」
「オイタするならそれなりの覚悟しなさいね〜」
プレイヤーかと思ったけど、どうやらモンスターらしい。
「ブッサイクなつらしやがって! とっとと消えろっ!」
うちの振り回す棍棒で吹き飛んだ二足歩行の豚は背後に居たのも巻き込んで吹っ飛ぶ。
シノ姉に至ってはハンマーで叩き潰してるから、アイテムしか残らねーな…。
七、八匹仕留めたところで、遠距離から矢が飛んできたから叩き落とす。
「シノ姉?」
「わかってるわ〜今度こそアタリみたいね。ちょっと守ってもらえる〜?」
「任されたー」
やっぱり持ってたか…。
当然だよね。弓道をする姿を見た零くんにかっこいい! って言われて大喜びしてたシノ姉が使わないはずがない。
飛んでくる矢はうちが叩き落とす。当てさせるかっての。
その間にシノ姉は、数本の矢を放った。
零くんが見惚れてて、悔しかったのを覚えてる。うちから見ても弓を撃つシノ姉はキレイだから…。
「こんなものかしら〜零くんに見せられなかったのが残念だわ〜」
「見たかったって言うだろうね…」
「ふふっ。さて〜ツラを見てやりましょう〜」
それもそうだな。
シノ姉の射た方向へ手分けして回る。
鈍重な動きをしていたモンスターが弓を使えるとも思えない。
となると間違いなく…。
”これね〜ホントだわ…ステータスカードが真っ赤〜”
「こっちもだ。全部回収して引導渡してやろう」
”そうね〜。ばいばーい”
さてと…。
「よくも仲間をやってくれたなぁ? テメーらだけは許さねぇ。知ってるか? このゲームはなんだって出来るんだぜ?」
「へぇー楽しそうじゃん。でもさー、くっちゃべってていいのか?」
「あぁ!? 舐めてんじゃねぇぞ!」
「ユナーオッケーよー」
「はいよー」
「お前ら、やっちまえ!」
…………。
「おい! お前ら早くしろ!」
「シノ姉、もう笑っていいかな? こいつアホすぎて無理!」
「ふふっ、可哀想よ〜もう独りぼっちなのに、気付いてもいないんだから…」
ドサッドサ…
「な…!?」
シノ姉が引きずってきて、ほうり投げたのは五人の男女。それぞれ眉間に矢が突き刺さってる。
敢えてステータスカードを取り上げずに引きずってきたんだろうな。さすがエグい事する…。
「お、お前ら…」
「うちらがお前ら程度の人数と位置を把握できないと思うか? そんな世紀末みてーな格好してイキってんじゃねぇぞ!!」
「まずいっぽーん!」
「ぐあっ…」
シノ姉の矢が右足に刺さる。
「随分やりたい放題したみてーだな? ステータスカードにみんなかかれてるなぁ?」
「はいにほーん!」
「ぐっ…ぁ…」
次は左足。崩れ落ちるクズのリーダー。
「何人だ? 何人お前らは遊び感覚で泣かしたんだ?」
「さ、三人だけだ!」
「はいさんぼーん!」
「や、やめ…」
次は左腕。
「嘘だなー下っ端のステータスカードに出てる数字はそんなもんじゃねーよな?」
「わ、わかった! 全部話すから! このゲーム本当に痛みがあるんだよ! 許してくれ!」
「そう言って助けを求めた相手をお前は助けたのか?」
「……」
「助けたのかって聞いてんだよ!!」
ドガァン!!
「ひっ…」
イライラして棍棒を叩きつけちまった…。
「はいよんほーん!」
右腕に矢が刺さり、持っていた槍を落とすオバサン。
…オバサンだよな?小汚え格好してっからわかんねー。 まぁどっちでもいいか。
「な、何でこんなことを! お前らには関係ないだろう…」
「あぁ?絡んできたのはお前らだろ。 別に正義を気取る気なんてさらさらねーよ? うちらがお前らみたいなのが許せねーだけ」
「そうよ〜?関係ないって言うのならお前たちにやられた子達だって無関係でしょ…バカなの〜?」
「……」
「なぁ? 楽にログアウトできると思うなよ? うちらはお前らみたいなやつが大ッキライなんだよ」
「楽しめそうだわぁ〜久しぶりのクズだもの…」
”シノ姉、ユナ姉! 大丈夫ー?”
「あぁ。今お楽しみー」
”程々にしなよー。目的忘れないで”
「それもそうだな。二度とバカなことをする気が失せるくらいメンタルだけ砕いとく」
”な、何が起こってるんですか!?”
”ミミは知らないほうがいいよー。こわーいお姉さん達が暴れてるだけだからねー”
「ひどいわ〜次の被害者を出さないためよ〜?」
「や、やめっ…謝ります…お願ぎゃあぁぁぁ…」
「謝る相手が違うだろ?うちらに謝ってどーすんだよ」
「そうねぇ〜きっとその子達はゲーム辞めちゃってるわ…お前たちのせいでね…」
「ひぐっ…ぐぁ…」
………………
……………
…………
………
……
…
「…………」
「こんなもんかー」
「そうね〜。こういうヤツって、リアルでも同じ事をしかねないから…」
「逆もありえるけどな…」
「やられたから、ゲームで〜って?」
「だとしてもやっちまったら同じなのにな…」
「ええ…」
全員の真っ赤なステータスカードと、所持品を回収。
強制ログアウトされていった。
後はこれをギルドに提出すれば運営側が対処するってことだよな。
アイテム類は持ち主に返してやれたらいいけど、わかんねーしなぁ。それこそやめちまってるだろうし…。
ったく、胸糞悪い…。
その後はざっこいモンスターを蹴散らしながら国境を越えた。
ミミはびっくりしてたけど、零くんに会うまでは止まらないよ、うちは!
…そう思ってたけど、街道まで出たところでみんなと相談して一旦ログアウト。
お母さんにも報告しながら夜ご飯を食べた。
意外だったのが美緒が料理ができた事。詩乃姉を手伝ってた…。うちも覚えないと駄目だこれ!
簡単なものしかできないぞ!? ヤバい…。
はぁ…。
零くんもちゃんと夕飯食べてるかな…。ひもじい思いしてないよね?
必ず迎えに行くから元気でいるんだよ。大好きだからね零くん…。
〜〜〜〜〜
それはちょうどレイアが、温泉を救った報酬としてすき焼きを食べている時だった。
「肉美味い!」
「野菜も食べなさいレイア!」
「食べてるぞ?」
「ネギを一つつまんだだけで食べたとは言わないんですよ」
「うわーそうやってネギを野菜じゃないみたいに言うのはよくないと思いまーす」
「量を食べなさいと言ってるのです! ほらどうぞ」
「おま…これ白菜の芯ばっかじゃねぇか!!」
「なんですか? 芯は野菜じゃ無いと? よくないと思いますよ? そういうの」
「くっそぉ!! ルリマリ! 肉くれー肉!」
「はいはい。そのお皿空にしたらあげるわよ」
「お前らもかよ…」




