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異世界に弟を奪われた姉達の奮闘記 〜なお弟はTSしても異世界を気ままに満喫中〜  作者: 狐のボタン


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封鎖された街



私達の話を聞いたお母さんは頭を下げた。

「すまんっ! そんな事になるとは…期限は取り消すから、お前たちも自分の安全を優先して零を探してくれ…」

あまりに素直に謝られたものだから、うちらも毒気を抜かれてそれ以上責められなかった。


お母さんが再度ログインするのも考えたんだけど、魔の国が更に混乱しかねないのでは? って話になって断念。

ログインしたとして、お母さんが上手く立ち回って収めれるとは思えないからなぁ…。

上手くいかなくて、めんどくせー! うらぁ!! って暴れ出したらそれこそ終わる。



「うちらは、ニャンダーの街の入り口に迎えに行けばいいんだよな?」

「はい。なんとかクエストを見繕って外へ出られるようにします」

「詩乃姉、絶対に零くんって言わないでよ? フリじゃないからね!?」

「わかってるわよ〜。口を閉じておくわ…」

不安だ…とてつもなく不安だ。

詩乃姉っておっちょこちょいと言うか、ちょっと抜けてるんだよな。

その辺は少し零くんと似てる。


「パーティーにもチャット機能がありますから、それで連絡を取り合いながら先ずは合流しましょう。音声チャットもありますが、今は避けたほうがいいかもしれません」

同感だな。ポロッと言いかねねーし。

うちらは気合を入れてゲームを起動。



ログインすると、昼間なのか明るかった。

そういやリアルとゲーム内の時間関係はどうなってんだ?

「由乃姉、これ…」 

「ユナだって。その調子でレイアの呼び方間違えんなよ?」

「うっ…ごめん。それよりこれ見て!」

「あぁ…外でログアウトするのが危ないのはこういう事か」

夜に設置したテントがぐちゃぐちゃに壊されてた。


「これって、中で寝てたら…」

「うちらならやられる前にやるだけだけどなっ! オラぁっ!」

「そうだけど! 邪魔すんなっ!」

いつだったか…ぶち転がした牛みたいなのにまた襲われた。

仲間をやられたのを覚えてんの?


「先ずは街に行こう」

「そうだな」

移動しながらミミにチャットで時間関係のことも聞いてみた。

返答は、基本はリアルに連動しているが、定期的に昼と夜を入れ替えたりとかもあるらしい。

ただ、レイアが関わってくる様なイレギュラーの場合、ゲームのルールが通じるかわからないと。

それはそうだな…。色々おかしな事を体験したし。

零くんそのものがイレギュラーみたいなものだから。

危ない。レイア、レイア…


三十分くらい走った時にミミから慌てたチャットが飛んできた。

「シノ姉を見失ったぁ!?」

「あっ…あれだよユナ姉! シノ姉は名前をポロッと言わないよう喋らないって言ってたから」

「それでか…」

シノ姉は究極の方向音痴だ。一人だと確実に迷う。

二人以上いれば、会話に集中するからいいけど、それがないと動くものにつられる!

多分会話を我慢してるうちに何かにつられたんだろう。


「でも、フレンドなら居場所わかるよね?」

「…ミミも慌ててるんだろ」

マップを見ろってチャットしたら落ち着いたようで、合流したらしい。

うちの姉がごめん…。



依頼もなんとか確保できたようで、うちらにも通知が来た。

「戦いになった場合に備えて、国境付近の見張り、か…。いいのを選んでくれたんじゃない?」

「かもな…」

随分都合のいい依頼があったものだなぁと思うけど、筋は通ってる。


「待って! これ…ヤバいよ!」

「ん?」

「ユナ姉、よーく見て」

慌てるリオに言われてもう一度見直す。

「期限が国境封鎖が解除されるまで!?」

いつだよそれ!

ミミに確認したけど、わかった上らしい。他に出られそうな物がなかったと。


「それなら仕方ないか…」

「まぁ、定期的に報告義務とかもないみたいだし、何かあったら街に知らせるだけだから、うちらにはうってつけかも」

街にはいられなくなるけど、どうせあの街にレイアは居ない…。



ミミはフレンドにも情報をもらえるように頼んでくれてて、そのフレンドが何箇所かの街に店を出してたりするらしいから、もしレイアが買い物でもすればわかるかも。って。

微かな可能性だけど、何もないよりは遥かにいい。

全く動けないうちらより、余程情報をくれるミミには感謝しかないな…。




街が見える場所まで到着したけど、大きく開いていた門は固く閉じられていた。

下手に近づいて門番NPCとトラブったらイラつきそうだから、離れて待つ。

それに、二人もそろそろ門につく。


「大丈夫だよね?」

「ゲームに関してはミミのが先輩だからな」

「それもそっか…」

しばらくしたら、両手で口を抑えたシノ姉とミミが小さな扉から出てきた。

あっちからもうちらの居場所はわかるだろうから待つ。



「お待たせしました…! すみません慌てて…」

「ミミは悪くないから大丈夫。 シノ姉、もう喋っていいから」

「んー ぷはぁ…ほんと? 大丈夫〜?」

「もう街からも離れてるし大丈夫」

国境とやらに移動しながらミミに街の様子を聞いた。


「NPCや街の物々しい雰囲気とは違い、プレイヤーはイベントムードです。ただ情報が無いようでみんな困ってましたね」

「まぁうちらが名前を出したのなんてカフェの店長か、ブティックの店員くらいだから」

しかもレイアとして認識しているからうちらがポロって呼んだのを覚えてるか? って話しだ。


「そういえば〜いい情報をもらったわよ〜。ね、ミミちゃん」

「いい情報?」

「はい、覚えてますか? レイアちゃんが倒れた時に、ユリノさんが依頼して呼んでた人を」

「あぁ、治したと言うか、状態の確認をしてくれた人だね?」

「はい。あの人にたまたまギルドで会えたので、渡してたメモのことを聞いたんです」

そういや、体調がよくならないならここに行け、とかって渡してたな。

細かいことよく覚えてるなミミは…。


「それって病院とかじゃなくて?」

「私もそう思ってたのですが、温泉地でした」

「は?温泉…?」

なんでまた…。


「ゲーム的に言うなら、一時的なバフがかかったり、状態異常が治るんです、温泉って」

「じゃあ零くんはそこに行ったって事!?」

「ユナ姉!」

「ごめ…」

「レイアは温泉街に行ったかもしれないんだね?」

「はい! 可能性でしかありませんが…」

「温泉、いいわね〜零くんとのんびり〜…」

「シノ姉も気をつけて!」

慌てたシノ姉は口を手で抑えてる。


「ただ、かなりの距離がありますから…。それに依頼も受けてますから全員がここを離れることもできません」

「そんなに遠いのか?」

「馬車で二日くらいですね」

それはまた遠いな…。しかもこの状況だ、定期馬車なんて出てる訳がない。


「そこでですね、提案です。私が一人でここに残ります。みなさんはカピバラックに向かってください」

街の名前…。今までの経験上、絶対に二足歩行のカピバラがウロウロしてるだろ!


「いいの〜? ミミちゃんも行きたいわよね?」

「当たり前です! でも、私のせいで…零くんは…」

ゲームを勧めたから責任感じてるのか。


「それなら僕も残るよ。ミミをけしかけたのも僕だからね。シノ姉とユナ姉は、現地へ向かって。その間に封鎖が解けるかもしれないし」

「はい。一応、国境を越える抜け道もありますからそこを通ってください。ただ、抜け道は敵も強く、プレイヤーを狙うプレイヤーもいる可能性があります」

「そんなものは蹴散らすからいいけど…プレイヤーを狙う?」

「はい。持ち物や所持金目的の所謂強盗のようなものです」

「それは許されているの〜?」

「もちろん推奨はされていませんが、自由が売りのゲームなので。当然そんなことをした人は街には入れませんし、返り討ちにすればギルドに報告後、賞金がもらえます。相手は長期アカウントの停止、場合によってはゲームから永久追放にもなります」

どこにでもギリギリのアウトローは居るもんだな。

自由がある分、その責任も負うわけか。おもしれーじゃん。



「それもありますので、私では足手まといなんです…」

「リオはいいのか?」

「それは僕だって行きたいよ? でも、ミミ一人残していったら後悔するからね」

「わかった。連絡はするから」

「そうして」

「街道には要所要所に安全地帯が一目でわかる様に点在していますので、もしログアウトする場合はそこを利用してください」

まぁ、大丈夫だけど…

「ありがとな、ミミ」

「…いえ、気をつけてくださいね」



うちとシノ姉はミミに教わった国境抜けのルートへ向かって走った。








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