用意できてますにゃよ…
「ここがニャンダーの街?」
「はい…。普通あの森からここ迄徒歩で半日以上かかるんですよ!?のんびり来るのなら野営も視野に入れます! それがなんで一時間でつくんですか…」
「ミミもついてんじゃん」
「そうですけど…私は装備やら魔法で強化してなんとかなんです! それでも遅れたのに…」
「便利そうだね。それどこで手に入れるの?」
「私は依頼やクエストをこなしてお金を稼いで買いました」
やっぱりゲームの中でもお金かー。
リアルのを持ってくることができたら楽なのに。
「手っ取り早くお金を稼ぐなら、狩猟ギルドです。プレイヤーはほぼ全員何かしらのギルドに加入してますから」
「そこに行けば零くんの情報あるかしら〜」
「見た目がハッキリとわかっていれば聞き込みをする事も出来ますが…」
リアルの零くんに近い見た目で女の子か…。
うちらより、幼くて可愛らしい顔をしてるから姉妹とはいえ似てるとは言い難いのが難点だな。
「とりあえず、この街内で手分けしませか?」
「「ダメ!!」」
「えっ?」
絶対にシノ姉が行方不明になって二次被害が出る!!
「手分けしたほうが早くない〜?」
「じ、じゃあ僕がシノ姉と行くよ。なれない街で一人は不安だからね」
「甘えん坊ねぇ〜いいわ。行きましょう〜」
ナイス、リオ。
「マップって言えばこの街の地図も、時間もわかりますから。二時間後にここに集合という事で」
「わかったわ〜。ユナ、気をつけなさいよ〜」
どっちが!? といいたいよ、うちは…。歩き去る二人の背中に不安しかない。
「私、何か不味いこと言いましたか?」
「シノ姉は究極の方向音痴なんだ。 近所のスーパーから他県に行ってしまうくらいに」
「なんですかそれ。ふふっ…そんなこと…」
「あるわけねーって思うよな?事実なんだこれが。一人だとフラフラと猫についていったり、チョウチョを追いかけたり、とにかく目の前の動くものに反応するんだよ」
「………そう聞くとかわいいですね」
「実際巻き込まれたらそんなこと言ってられねーからな?」
二人いれば、話し相手になるからそんな事にはならないけど、一人だと…。
それは今はいいか。理乃…じゃないリオがついてるし。
「私達は手分けしますか?」
「そうだな?お前といるとこう…な?」
「ひっ…私はあっちを見てきます!」
棍棒を振り回す仕草をしたら逃げていった。
そんな事じゃやっぱり零くんは任せられないな。
任せるつもりなんてさらさらないけど!
さぁ、零くん…お姉ちゃんが見つけてあげるからね。
…………
………
そう意気込んで歩き回ってみたものの、街が広い! ニャーニャーとネコみてーなやつが多い!
そして零くんがいない…
なんだよ…幸せなファンタジーでラブラブなライフはどこにいったんだよ。
零くん…早くでてきてくれないとお姉ちゃん壊れそうだよ?
「にゃん〜ネコカフェはどうですかにゃ〜?」
チっ…くだらねー。ネコなんてそこらに二足歩行のがうろうろしてんじゃねーか。
相変わらずこういうのはなくなんねーな。ゲームでもかよ。
モデルから始まり、こういう類のカフェの勧誘もしつこく受けたから、見るとイライラする。
零くん以外に媚びる気なんてねーっての。
どーせ大した事ない。
そう思いながらも何故か少し興味を惹かれて中を覗いてみた。
すっげー…尻尾とか耳が勝手に動いてる。
どーなってんだあれ…。
そういや、ゲームかこれ。何でもありだよな。
店の壁の一角に、やたら可愛く装飾された場所があって何枚もの写真が貼られてる。
店員のか?
「お客様ですかにゃー? 今ならすぐに席へご案内できますにゃー」
「あ、あぁ…。なぁ、あの写真はなんだ?」
「気になるのにゃら、入るといいにゃー」
それもそうか。商売だもんな?
仕方なく店内へ。
なんかもっとキモいのがワサワサいるかと思ったけど、客も女が大半。
ゲームだから、中身まで同じかは知らねーけど。
案内された席でとりあえずコーヒーを頼んで、気になった写真を見に行く。
なんだろうな?ものすごく見なきゃいけねー気がすんだよ…。
「………嘘だ…何だよこの可愛い生き物…」
「お客様もその子が気になるのかにゃ?」
「あぁ! 誰なんだこの子は」
いや、零くんで間違いない。うちが見間違うわけがない。いくら髪や目の色が違っても絶対に零くんだ。
それだけは断言できる!
「その子は一日だけギルドから派遣で来てくれたらしいのにゃー ものすごい人気で、歴代最高額を一日で稼いだって言われてる子にゃよ」
零くんだからそれは当然だけど。
「名前は?」
「それは教えられにゃいのにゃー守秘義務ってやつにゃ」
ここまで来て…名前もわかんねーのか。
でも、髪の色とか外見はわかった!
「その写真、買うこともできるにゃよ、欲しかったら言ってにゃー」
「全部。 全部ほしい」
「にゃ…にゃーお金あるのかにゃ?」
あ…最初の所持金しかない。
よし、こんな時こそあいつに役に立ってもらおう!
間違いなくあいつも欲しがるはずだし。
「後でまた来るから、用意しといて!」
「にゃーまいどー」
味のしないコーヒーを急いで消費し、代金を払ったら所持金が消えた。
ボッタクリかよ…。
街の入り口まで戻り、待つこと十分程。
ちょうど二時間ってタイミングでみんな戻ってきた。
「だめね〜なんの収穫もなかったわ…」
「ユナ姉は?」
「…みつけた」
「「はっ?」」
「あれは零くんで間違いないよ!」
「案内しなさい、はやく〜!」
「ユナ姉、見つけたなら連れてきてよ…」
「あ、いや…見つけたのは写真だから」
「「……」」
「紛らわしい!!」
「ほんとよ〜」
「なんの手がかりも見つけなかった二人よりマシでしょーが!!」
「写真…もしかしてネコカフェですか?」
「知ってるの?」
「ギルドですごい噂になってましたから。めちゃくちゃ可愛いねこメイドが数日前にいたって…」
それだ。間違いない。
「でも、色々とおかしいんです…」
「おかしいって何?」
「確かに写真はあるし、可愛いからと結構な数の人が写真を購入してるのですが…実際に会った人が誰もいないそうなんです」
「やめてよ〜私ホラーはダメなの…」
写真もあるし、噂にもなってるのに、会った人がいない…?そんな事ある訳が…。
「写真は、皆さん有料で買ったからと見せてはもらえなくて…。でも一緒に写ってる人も、本人にも会った人はいないって…それで噂に拍車がかかってます」
零くん…どういう事?説明してよ…そろそろお姉ちゃん泣くよ?
「まずはその写真を手に入れよう。お金はミミに頼るけどいい?」
「はい、それくらいはさせてください!」
よく言った。ちょっと見直した! ちょっとだけな?
例のカフェに入り、写真をみんなで確認する。
「間違いないわ〜私が見間違うなんてあり得ないもの…」
「うん。僕も間違いないと思う」
「これが…零くん…すみません! この写真全種類ください!」
「に、にゃー今日は熱狂的なファンが多いにゃ〜ってお客さん、さっきの人かにゃ。 にゃっにゃっにゃっ…準備できてますにゃよ…」
どこぞの越後屋みたいな雰囲気出すな。
「全部購入したお客様だけのサービスにゃ! 合言葉をどーぞにゃ!」
は?なにそれ…聞いてない。
「あっ…私それわかるかも…」
「じゃあお客様小声でどーぞにゃ」
「(くまパン一つ)」
「まいどありにゃー!!」
何だくまパンって…。
それは受け取った写真を見たらすぐにわかった。
なんて格好してるの零くん…。ハァハァ…。
「くまパンね…納得した」
「お姉ちゃん、こんなはしたない子に育てた覚えないわ〜」
零くんがわざとやってるとは思えないけど、これで稼いでる店にはちょっとシツケが必要だよね?
うちの考えは姉妹共通のようで…
「「「責任者出せ!!」」」




