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異世界に弟を奪われた姉達の奮闘記 〜なお弟はTSしても異世界を気ままに満喫中〜  作者: 狐のボタン


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探索



船旅初日にリオが捕まり、早数日。

リオへの面会がようやく許されたと、ユリノが会いに行ってくれた。

様子はどうだったか聞いたけど、枷をつけられてて、魔法やら何もかも使えない状態になってたんだとか。

リオ本人は憔悴し切っていて、元気がなかったそう。

あいつもこの状況で平気でいられるほど無神経ではないだろうからな。


枷による制限は、ゲーム側のオプションやログアウトにも及んでいるらしい…。

ある意味こちらへ来るヒントになりそうな気もするけど、今はリオを開放してもらうのが最優先だな。

ただ、食事は用意されるし、必要なものはすべて部屋にあるらしく、高い金額を払った部屋よりずっと快適そうだったらしい。

ひどい扱いを受けてなくてホッとした。


「明日には和桜の国へ到着します。その後、リオさんは城へ連行されて、女王直々に裁きを下すそうです」

「女王が!?」

暇なのかよ…。

町奉行じゃあるまいに。桜吹雪が目に入らぬか! みたいな?和桜の国だし…。


「その結果で、払うべき罰金額も判明するそうなので…」

「じゃあそれまでに集められるだけ集めねーと駄目ってことか」

「ええ」

「がんばるわ〜…大切な妹だもの〜」

ミミも手伝ってくれると言ってたけど、ミミまで学校を休ませるわけにはいかねーからな。

気持ちだけ受け取って、夜にはログアウトさせた。


「よしっ、じゃあ到着次第、ダンジョンへ行くか」

「いえ、ユナさんはレイアを探してください。私がシノさんとダンジョンへ行きますから」

「そうね〜…ここまで来てまたレイアちゃんとニアミスなんてしたくないわ〜」

それはそうだけど…。うちがいっていいのか?

他ならぬこの手で…うちがレイアを傷つけたのに…。


「私が変わりますか?そのままレイアと帰りますけどね」

「私が行ってもいいわよ〜?勿論レイアちゃんは貰っていくけどね〜」

いや、シノ姉は迷子になるだろ…。


「わかったよ! うちが行く。絶対に見つける。お母さんと約束もしたからな…」

「それでいいのよ〜。任せたわよ?」

「…あぁ」

「レイアの事、お願いします」

ありがとう二人とも…。

背中を押してくれたんだよな。

…まさか本気で連れて逃げるつもりだったわけじゃねーよな!?


うちはやんないよ…。

この世界では、うち一人でレイアを守る事はできないって痛感したから。

みんなの協力がないと、レイアを守る事も、ましてや帰る方法を見つけるなんて不可能だろう。




翌日、港へ入港した船からユリノが降りた後、うちらはハウスキューブから出て、シノ姉、ユリノとは別行動になる。

夜にはまたこの港で待ち合わせる。

宿代もバカにならないからな…。ハウスキューブで休むためにも合流しないと。


「ユリノ、シノ姉を見失わないようにな」 

「ええ。いざとなったらレイアにも使ったアレを使います」

まさか首輪と鎖? 

「止めとけ…絶対に無理だから。話しかけていれば迷わないんだから話題を絶やすなよ」

「そうですか?わかりました」

繋ぐなんてしようものなら、ブチギレたシノ姉にヤラれる。

そもそもシノ姉を繋げるか?って話だけどな。


「何してるのよぅ〜早く稼ぎに行くわよ〜!」

「待ってください! ダンジョンはそっちではないですから!」

さっそく大丈夫か?

振り返って手を振るシノ姉に手を振り返しながら、不安でいっぱいになる。


とはいえ、うち自身もどこからレイアを探すべきか…。先行きが不安でしかない。

普通なら聞き込みをするなり、ギルドに行くってのが定番なんだろうけど…。


今までの経緯を考えても、聞き込みが意味をなすとは思えないし…吸血鬼と一緒にいるレイアがギルドに行くか?

そう思いながらも他に当てもないから、街で聞き込みをしながらギルドの場所も教えてもらい、行ってみる。



和桜の国は、見た目が時代劇そのもので、街中のあちこちに桜の花らしきものが咲いていて雅とでもいうのか、そんな雰囲気だ。

着物や袴姿で髪は結っているし、刀みたいな武器も携帯している。

それでも観光客なのか、場違いな服装の人も多々いるから、うちだけが目立つって訳でも無いのは助かる。


ギルドも完全に和風な建物で、まるで道場にでも入るかのような雰囲気。

「土足厳禁、ね…」

板張りの廊下に、室内は畳敷きだから当然か。

お母さんの実家もこんなだったな。あそこも大きな古民家だし…。

脱いだ靴をロッカーみたいなところへ仕舞い、木札を取ると鍵がかかる。

銭湯かよ…。


文机で書類仕事をしている人が受付らしいから、ギルドの札を提示したのだけど…。

「このギルドタグは、こちらでは利用できません」

「そうなのか?」

ゲームのだから?そういやうちらはゲームの世界を飛び出してるんだもんな。


「これ、アーニマルタ大陸のギルドタグですから…。ここでは滅多に見ませんが」 

そっち!? というか、あの大陸そんな名前なのかよ。確かにニャーとかワンとかそんなんばっかだったけど…。


「これはニャンダーの街で作った会員証だな…」 

「遠いところからよく起こし下さいました。ランクはそのままで、こちらのタグをお作りする事もできますが…」

「問題があるのか?」

「発行にお金がかかります。ランクを最底辺からやり直すというのであれば無料ですが、受けられる仕事に制限がかかるのでオススメはしません」

あまりに高額だと無理だな…。ランクとかは興味がないから気にしてないけど、制限がかかってダンジョンに入れない、とかになったら困る…。

んー、どうするか…。あまりお金に余裕はないんだよな。


一応、値段の確認。

金額は手持ちから考えて、決して安いとはいえない額。

でも、うちもダンジョンへ行く可能性を考えたらやっぱり作っておくべきだな。

なけなしの金ではあるけど、作ってもらう事にした。

また稼ぐしかないな。


「今日は珍しいです。アーニマルタ大陸からの方が何人も来られるなんて…」

そう言いながら書類を用意してくれる受付の人。

多分シノ姉達だろうな。ギルド札が無かったらダンジョンには入れないだろうし。


まるで将棋の駒の様な形をした木片に焼印を押して手渡してくれた。

「それに魔力を流してください」

「この木にか?」

魔桜樹(まおうじゅ)と言う特別な木で作られていますから。街で見ませんでしたか?満開に咲いている桜の木を」

「あぁ。キレイだったな…」

「ええ。それらが全て魔桜樹です。ほぼ一年中、花を咲かせているんですよ」

「花は散らねーのか?」

「年末から新年にかけて一度だけ散りますが、一月ほどでまた咲き乱れます。桜花様が品種改良された桜の木が魔桜樹ですから…」

多分、この国の偉い人なんだろうな。名前に桜が入るくらいだし。ここ、和桜の国って名前だろ?

下手したら女王その人かもしれない。


「そんな特別な木から作って大丈夫なのか?」

「手入れのために剪定した枝を使用しておりますから。ですが、魔力を帯びた枝は使い道が多く、安くはないので…」

それで発行に金がかかるわけか。

話している間にも、うちが魔力を流した木片を何やら台座に載せて作業をする受付の人。


書類に書いた内容が、魔法的な何かで木片に書き込まれてるって感じか?

「お待たせしました。無くされますと再発行にもお金がかかりますからご注意ください。それではご活躍を期待しております」

「ありがとう」

お金を払い、受け取った木片をアーニマルタだっけ?そこのギルド札と一緒に首からかけておく。

こっちのはタグって言ってたか。


一応ギルドでも聞き込みをしておくか…。

「このギルドに赤い髪の可愛い娘がこなかったか? うちの家族でさ、連れ去られたから探してるんだけど」

「事件ですか?」

「あぁ。でも記憶さえ消されてて、本人も連れ去られた自覚がないんだ」

「待ってください! それは大事件ですよ!」

すごい剣幕だな。確かにうちらには大事件だけど、ギルドの受付が態度を豹変させるようなものなのか?


「別室で詳しい話をお聞かせください」

「あ、あぁ…」

正直、レイアのためにここまで動いてくれるとは思わなくてびっくりだけど、力になってくれそうなら頼った方がいいよな?

常識はおろか土地勘すらない国だし…。


案内されるまま別室へ移動し、経緯の説明。

「内容が内容ですので、城へも報告が行きますから」

かなりオオゴトになってきたな…。

うちらにとっては一大事だったとしても、ギルドや国まで巻き込む程の事態になるなんて予想もしなかった。


うちのそんな疑問は受付の人の説明で納得するものになったのだけど…。

「我が国では精神操作系の魔法、それらを使用した記憶の改竄は罪が重いのです。ましてやその上での誘拐となると重罪ですから、国の法務部が動きます」

攫った吸血鬼の特徴もわかる限り伝えたから、なにか情報が集まるかもしれない。


「明日、もう一度ギルドへお越しください」

「あぁ。よろしく頼む」

一人で闇雲に探すより、よほど希望が見えた。

シノ姉達にも教えてやらないと!














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