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異世界に弟を奪われた姉達の奮闘記 〜なお弟はTSしても異世界を気ままに満喫中〜  作者: 狐のボタン


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捕縛



アリサが忌々しい女王に膝枕されて、寝ている間に医者らしきヤツが診察。

力が出せないのがもどかしいわ…。

とっととアリサを連れてこんな城脱出しなきゃ。


「陛下。 ……が……されておりました」

「うん? ふむ……して、それはどうしたのじゃ?」

「問題なく……」

「そうか、善くやったのぅ。 そやつを捕えろ! 妖魔封じを忘れるなよ」

「「はっ!」」

「ちょっと! 何するのよ!」

「身に覚えがないとは言わぬよのぅ? アリサ、いや…レイアに何をしたのじゃ!」

「………」

「連れていけ! レイアから詳細を聞くまで大人しくしておることじゃのぅ。生きて城を出たいのならな」

チッ

…。まさかアタシの記憶封じを破られるなんて!

あの医者何者…!?



連行されて閉じ込められたのは座敷牢。

手足には妖魔封じをつけられたから、霧化は愚かアタシからアリサへ呼びかける事もできないわ…。

あの子にも早く教えておけば…。

…今のあの子では無理ね。ここ、あの女王の力が働いてるし。

あぁもう! なんでいつもうまくいかないのよ…。



……この国へ来たら、アリサの記憶が何かのきっかけで戻る可能性は覚悟してた。

だけど…だけど! こんな形でなんて想定外だわ。

周りは何としてもアタシとアリサを引裂こうとするのね。

いいわ。やってみなさい。

世界がアタシたちを引裂こうというのなら世界だろうが敵に回してやる!


…やっと、自分の気持ちも自覚できたのに…。

なんでよ…。ヴァンパイアには普通の幸せすら許されないの…?

初めて人を好きになったのに…。嫉妬だって経験した。

なのに…!


っ!


忌々しい気配で顔を上げると、例の王女か。まんまと謀られたわ。

「ごめんね、こんなつもりではなかったのだけど…」

「……てっきりアタシを罠にかけたのだと思ったわ」

「確かに僕は君の事を好きにはなれないけど、そんな姑息なことはしないよ」

「……」

「何があったか、理由があるのなら話してくれないかな?僕なら陛下に話を通すことも…」

「余計なお世話よ! アタシは間違ったことをしたなんて思ってない! アリサが目を覚ましたら聞くといいわ」

「そう…。わかった」

申し訳なさそうに去っていく王女。 アンタに借りなんて作ってたまりますか!


アイツもアリサに惹かれているのは見ていればわかる。

あの子はどうして次から次へと…! 船でも老若男女問わず気に入られて、プレゼントがすごい事になってたわよね。

心配して魅了の発動を危惧したくらい。でもそんな痕跡はなかった。

あのモテ方は天然なの? …アタシも見事にヤラれてるから何も言えないけど。


だけど、アタシとアリサは特別なんだから!

それにアタシはアリサを信じてる。

気持ち、伝わってるわよね…?見捨てたりしないわよね…?

お願いよ、アリサ。もうアタシを一人にしないで…。


え…?


俯いていたら、濡れた手の冷たさに自分で驚いた。

アタシ泣いてるの?瞳から溢れる涙はポタポタと手を濡らしつづけてる。

こんなの初めてだわ…。

長い眠りから目を覚まし、同族がもう居ないと知った時も涙なんて出なかった。

諦めと、一種の自嘲で笑いさえした。

もう一人なんだって。自由になったとも思った…。これからはアタシのしたいことをしようって。


そうして出会ったのがアリサ。

人を好きになるって事も知った…。

不安、悲しみ、期待…いろいろな感情が折り混ざり、とめどなく涙が溢れる。

「アリサ…一人にしないで…。お願いよ」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜




目を覚ましたらふわふわで心地良い。

あれ…?オレは何してたんだっけ?

「目が覚めたかのぅ?」

「女王様…」

「記憶は戻ったか?」

「記憶…? っ痛ってぇ……またかよ…」

「少しずつでよい。今はゆっくりしておればいいからのぅ。それが元のレイアの話し方か?我には普通に話してよい。許可する」

「わかった…アリスは?」

「捕らえてある」

「何でそんな事を! 命の恩人なのに…」

「その話、詳しく聴かせてくれんかのぅ…それによってはアヤツの処遇も転がるやもしれぬのじゃから」

少し頭痛も治まってきたからか、記憶も鮮明になってきたな。



「庇おうと嘘をついたり隠し事はせんことじゃ、我はそういった事を見抜くからのぅ」

「わかった。ただ、一つ。アリスはオレにとって大切な人だからな。それだけは間違いない」

「そうか…」

身体を起こせるくらいになったんだけど、膝の上に抱きかかえられて離してもらえず…。

うちのお母さんと同じかよ。

今から大切な話をするってのに、この体勢はいかがなものかと思うぞ?


とはいえ、女王様に歯向かえるわけもなく…。

安心感も凄くて、抵抗する気にもなれないんだけどな。ふわふわのせいか?

頭痛も落ち着いたから、ここ迄の経緯を詳しく話した。


…………

………

……


「それじゃと、そもそもの原因はアヤツではないか?」

「そう言ったらそうなんやろうけど、ヴァンパイアというか、アリスの事情も知った今では責める気にもなんないんだよ。しかも自身の力が半減するリスクまで負って助けてくれたんだ」

感謝してもしきれない。原因がどうとかじゃねぇんだよ。


「死にかけた直接の原因は実の姉か」

「違う! 飛び出したオレの責任だろ」

「ふむ…しかしそれもヴァンパイアに魅了されておったからであろぅ?」

「…一人でずっと寂しかったんだよ、アリスは。そんな悲しみを、記憶の共有をした時に嫌ってほど感じたからな。理不尽に戦いに巻き込まれて、仲間も失い、長い長い時を眠り、やっと目を覚ましたら一人だった、そんなの耐えられねぇよ」

「確かにのぅ…。じゃが、記憶を封じた理由は?」

「死にかけた後に、何かを思い出しそうになる度にひどい頭痛がしてたからな」

「その対策に封じたと?」

「多分な」

他に理由があったとしても、おかげで助かってたのは間違いない。


「どう思う?楓花」

「…そもそも記憶を封じたから頭痛になっていたのでは?という推測もできますが…。原因はどうあれ、レイアちゃんは様々な要因と不幸が重なり死にかけた。しかし、結果として助かったのは間違いなくヴァンパイア、アリスのお陰では無いでしょうか」

「…よいのか?楓花もレイアを気に入っておる様に見えるんじゃがのぅ」

「はい。短期間とはいえ、接してみてこんなに惹かれた子は初めてですから。とっても可愛いんですよ彼女」

「それはのぅ…。娘にしたいくらいじゃから…。 楓花はそれでよいのか?」

「事実を捻じ曲げ、こちらに都合よく解釈してしまっては、記憶を弄くり、我が物としようとした者と同じかと…」

「よう言った。 しかし、アヤツには少し反省はさせねばなるまいのぅ」


アリスになにすんだよ!?

「そんな不安そうな顔をするな。危害を加えたりはせんから心配せずともよい。だがな、アヤツは間違いを犯した。 しばし冷静になり、それを反省する時間は必要じゃろぅ?」

「その後は?」

「…心配か?」

「当たり前だろ! 大切な人だって言ったじゃねぇか!」

「そう興奮するものではないぞ、病み上がりなのは間違いないのじゃからのぅ」

じゃあ早くアリスを開放してくれよ…。記憶が戻った今、オレの意思でしっかりとお礼を言いたいのに!


何度も頼んだのに、結局アリスは開放してもらえず…。

暫くはオレも城に滞在しなければいけないから、部屋を用意してもらえた。

アリスが城に捕まってるんだから当然だよな…。

少しでいいから会いたいって言ったのも許可してもらえなかった。

何とか話せたらいいのに。



アリス! アリス!

案内された部屋で一人になったから、呼びかけてみる。

こんな時くらい何かの能力が役に立ってくれよ…オレもヴァンパイアなんだろ!?


ダメか…。いや、諦めるな。何とか声が届かねぇかと繰り返しよびかけてみる。


”アリサ!?”

うおっ…びっくりした! 繋がったのか? アリスは無事か?

”ええ…アリサこそ大丈夫?”

記憶がはっきりしただけだな。

”そう…。それじゃあアタシはもういらないのね”

そんな訳あるかよ。命の恩人だし、独りにしねぇって約束したじゃねぇか。

”いいの?”

あぁ。女王様も説得するし、姉たちにも説明する!

”ありがとう、アリサ…”

レイアって呼んでくれると嬉しいんだけどなぁ…。

”ここから出られたら考えてあげるわ”

変なとこ頑固だよなアリスは。

”うるさいわよ! せっかくアタシがつけてあげた可愛い名前なのに…”

…そうだな。じゃあミドルネームにでもしてくれ。ステータスの名前、書き換えられるんだろ?

”ええ…。迎えに行くまで浮気しないでいい子にしてなさいよ!”

はいはい。なんだよ浮気って…。

あぁ、他人から血を吸うなってやつか。

”はぁ…”

なんかため息つかれたんだが…。


それ以降、アリスの声は聞こえなくなった。

何だったんだ?



「話せた?」

「うおっ…誰や!? って、王女様!?」

部屋にいきなり現れるとか、忍びかよ…。


「楓花って呼んで。それで貸し借りなしだよ」

「貸し借りって…。何かしてくれたのか?」

「短時間だけ僕の力で二人を繋いだの」

「そうか、助かったぜ。ありがとな!」

「いいよ。 それより、話し方…それが元々?」

「ん?そうだな、口が悪くてわりぃな」

「へぇ〜。 なんかやっとレイアちゃんと話せた気がする」

「記憶なくしてたからな。アリスに言葉遣いを直せって何度も怒られたけど、結局戻っちまったな」

「僕はありのままのレイアちゃんがいいかな」 

「なんの話だ?」

「ふふっ、なんでもない。食事だから呼びに来たんだよ。因みにアリスにもしっかり食事は届けさせてるから心配しなくていいよ」

「ありがとな…。アリスが食べられないのにオレだけ食うわけにもいかねぇから…」

「そんなに大切?」

「命の恩人だからな。それに、ここまで一緒に旅をしてきた仲間でもあるから」

…ユリノ姉や、姉達はどうしてるんだろう?

ユナ姉が自分を責めてないといいけど…。無理だろうな。

早く会って、気にするなって言わないと。


会いたいな、シノ姉、ユナ姉、リオ姉、そしてユリノ姉に。後はやっと友達になったミミにも…。





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