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異世界に弟を奪われた姉達の奮闘記 〜なお弟はTSしても異世界を気ままに満喫中〜  作者: 狐のボタン


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和桜の城



屋敷をメイドさんに任せて、アリスと街へ向かう。

街の入り口近くまでは霧化して移動し、街へ入る前に本来の姿へ戻る。

短距離なら霧化して移動したほうが早いらしい。


「げっ…」

「うん?」

街へ入ってすぐにアリスが変な声を出した。

何かと思ったら…。


「アリサちゃん、やっと見つけたよ!」

「王女様…」

船旅の間、何度かお世話になったから相手が王女様でも少しは慣れたけど、それでも緊張はする。

それに、今はキレイな服を着てて、護衛なのか武装した人を沢山連れて歩いてる姿は威圧感が凄い。


街の人達は両脇へ寄って平伏してるし。

なにこれ…。私もしたほうがいいの!?

”必要ないわ! こんなやつに!”

アリスはやたら王女様に喧嘩腰なんだよね。

王女様もアリスは居ないって感じで無視するし。

相性が悪いのかなんなのか…。

 

「下船してすぐに船へ迎えをやったら居ないって言われてね。探してたんだよ」

「何か御用事でしたか…?」

「城へ招待しようと思って。 母上…女王陛下も会いたいって言ってるから…」

「行かないわよ! なんでアタシ達が城になんて行かなきゃいけないのよ!」

「……」

王女様は怒っているアリスへ何やら耳打ちしてる。


真っ赤になってプルプルしてるアリスが怖い…あれ絶対怒ってるよね?

「わかったわよ! 一度だけだから。挨拶が済んだらすぐに帰るわよ」

「それでいいよ」

不敵に笑う王女様は、アリスに何を言ったんだろう。


「さあ行くよアリサちゃん」

「えっ…でも…私達ご飯食べに来ただけで」

「城で料理を用意させてるから大丈夫。ほら、おいで」

手を繋がれて引っ張られるように連れて行かれるんだけど、どうしたらいいの?

これ断れないやつ?

”無理よ。ムカつくけど今はついていくしかないわ”

アリスが言いなりになるなんて珍しい…。

”うるさいわね! アタシだってこんなやつの言う事なんか!”

なにか弱みでも握られてるのだろうか…。


王女様と繋いでる手を無理矢理引き離したアリスは、私と王女様の間に割り込んだ。

護衛の人がピリピリしてるから止めた方がいいよ。相手は王女様だし… 

「アリサはアタシのよ!(船内で魅了して商品を手に入れてたのに気づかれてたなんて…。しくじったわ…。でもアリサは渡さない!)」

「ヴァンパイアでもヤキモチをやくんだね?」

「うるさいわよ!」

ケンカしながら街を歩く二人の隣で、物凄く居心地が悪い。


「あ、あの! 女王陛下は私達にどんな御用なのですか?」

「うん? あぁ。特別何かって訳じゃなくてね。僕と船で一緒だったヴァンパイアの真祖の子が可愛かったって話したら、会いたいって。可愛い子大好きなんだよ陛下」

ヴァンパイアなのも真祖なのもバレてるんだ…。

”妖狐ってのはアタシ達ヴァンパイアに近いのよ。人でも獣人でもない。この国では”あやかし”って呼ぶらしいけど…。他には幻種とか、超越種なんて言われ方もするわ。そういう同じ様な種族にはすぐにバレるのよ”

私はわかんなかったよ?

”修行不足ね。まだ力も弱いし、本調子でもないのだから仕方ないわ”

そっか…。他にもそういう種族はいるの?

”ドラゴンもある意味ではそうね。他にもいくつか居たはずだけど、今もいるかはわからないわ。元々少数しかいないし”

そうなんだ…。


「アリサ、見てご覧。あれが和桜の国のシンボル、和桜城だよ」

王女様に言われて、指差す方向を見上げると真っ白で大きな大きなお城が。

「すごい…」

「今からあそこへ行くんだよ」

「入っていいの?」

「勿論。正式な招待だからね」

大丈夫かな。失礼な事しないように気をつけなきゃ。



お城へ向かい、石垣の外周をぐるぐると長い階段を登ったら、目の前にまた大きな石垣と下から見上げたお城が目の前に。

近くで見ると更に大きい。


「何のつもり!?アタシ達をどうするつもりよ!」

「キミは本当にやかましいね。女王陛下の居城なんだよ?当たり前じゃないか」

「くっ…やっぱり来るんじゃなかったわ。 アリサは大丈夫?」

「えっ?なにが?」

「ダルくない?」

「そういえば…少しだけ」

長い階段を上がってきたからかと思ったけど違うの?


「申し訳ないね。女王陛下の身の安全をお守りする為、結界が張られてるのさ。力の強いものほど制約が強くなる」

だから私より強いアリスが…?

「アリス大丈夫?」

「ええ…ダルくて力が入らないだけよ(流石に九尾になると強いわね…。アタシ一人でなら戦えるけど、アリサを守りながらでは…。それが狙いなのかしら…やられたわ)」



お城の中は豪華だけど、派手な訳ではなく落ち着いた雰囲気。

「陛下は派手な物は好まれないのだけど、いい雰囲気じゃない?」

「はい。キレイなのに落ち着くというか…」

「いいね。アリサちゃんならそう言ってくれると思ったよ」

嬉しそうに笑う王女様。

お世辞とかではなく、本当にホッとする。このお城好きかも。

でも…アリスが辛そうだからあまり長居はしたくないな。



先ずは女王陛下へご挨拶すると言われて、案内された部屋。

「見えなくても御簾の奥に陛下は居られるから、話しかけられたら返事をしてね」

「わ、わかりました」

いないなーって思ったけど、そういう訳ではないらしい。


「そなたらか…。ヴァンパイアとは珍しい。 アリサ、我の国へは何をしに?」

「和食を食べたくて…」

「それだけか?」

「は、はい!」

緊張するし、助けてほしいけどアリスは返事をする気はないらしい。

そっぽ向いて不機嫌そう…。


「陛下、お話した通り、アリサちゃんは記憶を失っております。細かい話はそっちのヴァンパイアに尋ねられたほうがよろしいかと…」

「…態度が生意気だから断る」

「陛下…」

「可愛くない」

「うるっさいわよ! そんな影に隠れてコソコソしてるやつと話すことなんてこっちにも無いわ」

「……」

アリス!?


「悔しかったら顔を見せてみなさいよ?見せられるものならね!」

「ア、アリス。相手は女王陛下だよ!」

「そいつは偽物よ。本物はそっち」

アリスが指差したのは…王女様についてる護衛の一人。


「流石じゃのぅ…。これを見破るか」

「舐めないでもらえる?アタシをそこらのヴァンパイアと同じにしないで」

「気の強いやつじゃなぁ、可愛げの無い。アリサはこんなに可愛いのに」

突然眩しく光って、思わず目を閉じてたら、急に後ろから抱きあげられた。

な、何!?


「アリサ!」

「母上!!」

「良いじゃろぅ少しくらい。純真無垢な娘は久しぶりじゃ。我が娘らは生意気になってしまってのぅ…。なぁ?翠花よ」

「いきなり替え玉をさせておいて酷いです母上」

私が抱きかかえられてるのはなんで?何が起こってるの?


「怯えずともよい。我が桜花じゃ」

「女王陛下…?」

「うむ。可愛らしいヴァンパイアがおると聞いてのぅ。会うてみたくてな」

「母上、手は出さないでくださいとあれ程!」

「アタシのアリサを返しなさい!」

「聞こえんなぁ…。 ほれ翠花。食事を運ぶように言ってこい」

「わかりましたよ。その後は自由にしますからね!」

「構わん。もう翠花に用はないしのぅ」

翠花と呼ばれた、多分あの人も娘さんだから王女様だよね。

幾つもある大きな尻尾を揺らしながら不機嫌そうに部屋を出ていった。


「あ、あの…離していただけませんか?」

「嫌か?」

「いえ、嫌とかではなく落ち着かなくて…」

「嫌ではないのなら良いじゃろぅ…。娘らがまだ可愛かった頃を思い出すのぅ」

た、助けて…。

”助けたいけど、力が制限されてるから無理よ…。本当に忌々しい女王ね”

そんなぁ…。


食事が運び込まれて並べられても離してもらえず、抱きかかえられたまま。

あれ…前にもこんな事があったような…

「痛っ……」

「どうしたのじゃ!?」

「アリサは大怪我をしてまだ病み上がりなのよ! 早く離しなさい!」

「楓花! 医者を呼べ!」

「はい。ですが、まずは休ませてあげてください」

「それもそうじゃのぅ」

やっと離してもらえるかと思ったら膝枕をされて、フワフワしたものに包まれた。

真っ白なそれは女王陛下の尻尾だった。


「大丈夫。大丈夫じゃ。そのまま休んでおれ」

撫ぜてくれる手つきが優しくて、包まれるフワフワも心地よく…。

「お母さん…」

「…決めた。我の娘にする」

「はぁ!? アリサも何言ってんのよ!」

えっ?あっ…私今お母さんって…。初対面なのに。

それに私にはお母さんなんて…痛っッ……!

すごく頭が痛い。でも、お母さん?…あれ?私にもお母さんがいたような……。


「大きな声を出すな。辛そうにしておるじゃろぅが…」

「チッ…」

「医者を呼んでまいります」

「暫し安め」

そう言われてふわふわに包まれ、意識が溶けていった。
















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