なろうは既に市場ができている世界であると仮定をして考えます
市場という考え方はビジネスに良く使われます。戦に勝つためには相手を知るという事は重要な事です。なろうの事を調べてみましょう。
なろうは、2004年のサイト開設当初は個人サイトとしての運営でしたが、その後のアクセス数の増加により2008年よりグループによる運営に移行し、2010年に正式に法人化しています。(wikipediaより)
この執筆の現在2020年になるわけですから、すでに16年が経過しており、ビジネスの世界でいうのであれば、市場ができている世界だと考えてよいと思っています。
ビジネスの世界でも先駆者で成功をした人は絶対的な地位を持っており、その市場に入る事は難しいと言われています。なろうも先駆者の書き手様は市場を席捲している人が多く、そのような書き手様の作品は読まれやすいとも言えます。じゃあ後発の書き手は読まれるようになるなんて無理じゃないかという人もいるかもしれませんが、今までに論じたマーケティング等を使えば、底辺からの脱出は可能だとも考えます。
あるサイトから確認したときの底辺作家を含めた定義は以下のようになっています。
・底辺作家 ブクマ0~100
・中流作家 ブクマ100以上、総合評価10000以下
・上流作家 総合評価10000ポイント以上
・超上流作家 総合評価20000ポイント以上
私がなろうに登録したのは2019年4月で2020年5月31日現在の私の状況は上の定義によりますと中流作家という位置づけになります。ただ、中流作家という位置づけになれたのは単純に言えば運が良かったという状況で、思い起こせば今までの私の「なろう活動」はビジネス論理に当て嵌まっているなと考えています。もしかしたらビジネス論理を自然と当て嵌めていたのかもしれません。
弱者が強者に勝つ方法はあるのか? 下剋上はできるのかという話がありますが、ビジネスの世界では弱者の戦略というものがあります。なろうの世界では書籍化作家様がなろうで執筆を続けているという現状をみると、すでにデビューをされている書籍化作家様にはすでにブランドが構築されている強者という事になります。強者と弱者がわかれている「なろうの世界」は、現在のビジネス市場と似ていると考えて良いかとも思います。
では、ビジネスおける弱者の戦略とは何でしょうか? 一般的に言われるのは以下の5つの戦略となります。
①局地戦
②接近戦
③一騎討ち戦
④一点集中主義
⑤陽動戦
一般的には強者の基本戦略は「ミート戦略」で弱者の基本戦略は「差別化戦略」と言われています。「ミート戦略」とは、流行を追ってブランドを駆使して同質化することによって、弱者よりも優位に立つというものです。少し古いお話ですが、昔パナソニックがソニーが作ったもののマネをすることで常に優位に立つということをした事は有名です。
「差別化戦略」は簡単にみえて実は凄く難しいです。突拍子もないものを創ればよいという事ではありません。そこで上記の5つの戦略が必要になってきます。実際のビジネスの世界でもダイソンが弱者の戦略を駆使して掃除機のシェアを一気に持っていき強者となりました。つまりやり方次第という事です。
なろうにおいて私はこの弱者の戦略を3つに分けたいと思います。以下が区分となります。
①局地戦と③一騎打ち
②接近戦
④一点集中主義と⑤陽動戦
局地戦は「勝てる市場を探すか、勝てる市場を作り出す」ことを示し、一騎打ちは「競合が1社しかいない、もしくは少ない市場・顧客を狙う」ことを示します。ここまで書けば大体見えてきたと思いますが、なろうは「異世界ファンタジー」「オンラインゲーム」「悪役令嬢物」に人気があります。つまり、このジャンルを避けて小説を書く事です。
だからと言って、ここを狙って書いたからといって成功するという話でもありません。私の例をみれば、コメディー連載をほぼ平日毎日更新していました。前に書いたマーケティング戦略にたまたまマッチすることで週間2位を頂けるまでになり、最終的にブックマークを100以上を頂けた作品となりました。
接近戦は「顧客に近づくという考え方」になります。なろうでは企画読みや活動報告の利用だと考えています。逆お気に入りユーザー様を持っているという事は、「作品に対して支持をして頂ける可能性がある方」を持っているという事になります。私の例をみれば、短編童話で月間2位を頂けました。
先に申し上げますが、私はクレクレはしない主義にしています。自然と評価をして頂けることを期待しているからです。私の逆お気に入りユーザー様は100人以上いますので、もしクレクレをしていれば理論上として1000ptの獲得が出来る計算です。でも、そんなことをして何が楽しいのでしょうか? 人間関係も壊れるかもしれませんし、そんなことをしても空しいだけです。では何故私が逆お気に入りユーザー様が必要かというと、感想を頂きたいからです。少しでも感想を頂ければ改善がみえると考えています。
一点集中主義は「重点をおくべきところを決め、そこに力を集中する」ことを示し、陽動戦は「相手が思いもよらない方法で展開し敵を動揺させる」ことを示します。私の例を挙げる事はできません。私は「異世界ファンタジー」「オンラインゲーム」「悪役令嬢物」を書いていないからです。しかしながら、ビジネス視点でやるべきことは分かります。それは「読み手が望まない差別化をしない」という事です。
これはどういうことを示しているかと言いますと、いわゆるテンプレート作品を書く必要があるという事になります。
差別化をしろと言いながら、差別化をするなという二律背反の話が出てきました。よって、弱者の戦略はとても難しいという話となります。まず、ある有名な言葉を紹介します。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
かの有名なオットー・フォン・ビスマルク(1815年-1898年)の言葉であり、原文を訳すと次のようになります。「愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ、最初から自分の誤りを避けるため、他人の経験から学ぶのを好む」。これを私なりに解釈すると、「他人の経験や先人の知恵からの教訓は、何かしらの理由があるので、まずそれを実践して学ぶことが必要となる」となります。
実際の例を見ましょう。ダイソンの掃除機は、だれが見ても掃除機であることは確かです。ごみを吸い取るという構造において、他の掃除機メーカーと何が異なるのでしょうか? 既に市場ができていたはずの中で、何故ダイソンが逆転することができたのでしょうか? そこに弱者の法則が適応されたと考えられます。それが、一点集中主義と陽動戦となります。一つは一点集中主義で示した「吸引力」、そしてその技術によってハンディ掃除機の常識を覆した陽動戦だと言われています。
つまり何が言いたいかという話をすると、テンプレート作品をベースにする必要があり、そこに自身の一点集中をさせる特徴部分を作る必要があるということと、誰もが考えつかない結果を導き出すということが重要になるということになります。
最初の異世界もののテンプレートは数種類しかなかったと思いますが、2020年現在私が調べるだけでもテンプレートは数十種類はありました。つまり、その当時から一転集中や陽動戦で派生したものが、テンプレートとしてのスタンダードに変化したのだと考えられます。
基本的な異世界ものの内容としては、主人公が現代からの異世界の転生で、知識チートか神からのスキルチートを貰う。女性の登場人物が多くストレスフリーの展開、敵の強さがインフレしたとしても自分の強さもインフレする。最後は主人公の英雄譚が語られる。という感じのストーリーにどこまで自分なりの味付けをすることができるのかというのが勝負になるのではないかと感じます。
真似をすることに嫌悪を感じる方もいるかもしれませんが、ビスマルクの言葉の通り他者の経験から学ぶものは沢山あります。また、米軍の戦略なども古代ローマ時代の包囲戦のやり方が教科書になっているほどなので、マネをすること自体は悪くない事だと私は考えています。
もちろん、そのまま模倣するというのは良くありません。受け入れられる話にするということが重要であると感じています。なので、他人よりも少し毛色が異なる専門知識などがあれば、それを展開して小説を書いても良いのではないかと感じます。いわゆる個性を出すということだと考えます。
いかがでしたでしょうか? 「なろう」の世界をビジネスとして捉え、「まだまだPTの獲得にやれることがある!」と思われた方がいらっしゃれば、書いた甲斐があったかなぁと感じております。