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あなたは何のために小説を書いていますか? 同じような質問がビジネスにはあります

 ビジネスで良く使われる物語としてイソップ寓話からの出典と言われている「三人のレンガ職人」と言う話があります。

 まずは物語を紹介します。



 旅人がある町を歩いていると、暑い中を汗を流しながら、重たいレンガを運んでは積み、運んでは積みを繰り返している3人のレンガ職人に出会いました。

そこで旅人は「何をしているのですか?」と尋ねました。


すると、その3人のレンガ職人はそれぞれ次のように答えました。


1人目は、「そんなこと見ればわかるだろう。親方の命令で“レンガ”を積んでいるんだよ。暑くて大変だからもういい加減こりごりだよ」と答えました。


2人目は、「レンガを積んで“壁”を作っているんだ。この仕事は大変だけど、(カネ)が良いからやっているのさ」と。


3人目は、「レンガを積んで、後世に残る“大聖堂”を造っているんだ。こんな仕事に就けてとても光栄だよ」と。



 この物語においてビジネスでは、「レンガを積んでいる」という仕事は同じで賃金もほとんど変わらない状況においても、目的意識によって人の動きは変わるという話に例えられます。


 先にいうと、実はこのお話はイソップ寓話にはありません。諸説ありますが、

----

『マネジメント 課題、責任、実践 中』(ダイヤモンド社:ドラッカー著 上田惇生訳)P70

三人の石工の話がある。何をしているかを聞かれて、それぞれが「暮らしを立てている」「石切りの最高の仕事をしている」「教会を建てている」と答えた。第三の男こそマネジメントの人間である。

----

 を解説するために、童話仕立てにしたのだと言われています。


 さて、この物語には4人目のレンガ職人を作る人もいますので付け加えます。


4人目は、「レンガを積んで、人々の心を救う世界を作っているのです。少しでも世界が平和になりますように」と。


 そして、ビジネスの世界で以下のような解釈をされて、4人目のようになることが重要だと言われます。


1人目のレンガ職人は:

⇒レンガをただ積むだけの作業だと思っている

2人目のレンガ職人は:

⇒レンガを積んで壁を作るという目先の目的が見えている

3人目のレンガ職人は:

⇒レンガを積んで教会を作るという最終的に作りたいものが見えている

4人目のレンガ職人は:

⇒レンガを積んで教会を作りその教会が誰にどのように役立つのかまでを考えている


 基本的には潜在の意識もありますので一概には言えませんが、ビジネスの世界では潜在の意識を自覚することで、より活力を能うる事になるという事が言われています。


 では……私なりに「なろう」に置き換えてみたいと思います。


一人目:ストーリーを書くだけの作業と思ってる。

二人目:ストーリーの一部(章とか)を書くという目先の目的が見えてる。

三人目:ストーリーを完結したいという最終的な目的が見えている。

四人目:ストーリーを完結させ誰に読んでどう楽しんでもらうかを考えている。


 あくまでも、自分はこんなに頑張っているのに何故と考えられている方のヒントとして、何か別視点でヒントになることはないかということでエッセイを書いていますので、一概に私が論じている事はあくまでも仮説であり、正しいとは思っていません。しかし、私が懇意にさせて頂いている書籍化された先生はこのような言葉を発信されています。


『自分が勇気づけられたり、感動できる物語を作ることが、私の創作の基本』


 これって四人目レンガ職人の感じがしませんか? 少なくとも私はそう感じました。才能で困難をたやすく乗り越えられる方もいらっしゃると思いますが、しっかりと自分自身を作っていくということも一つの手法ではないかと考える次第です。


 私は感想を書きたいと思ったから創作をしようと思ったという、ちょっと変わった感じで始めていますが、普通の欲求としては自分の作品は面白いので読んでもらいたいというのが普通の感覚だと思います。


 では、面白いと思わしたいのは何故でしょうか? 読んでもらいたいと思うのは何故でしょうか? そういう部分をビジネスでは経営理念と呼びます。


 経営理念の例を挙げてみましょう。


【日本マクドナルド】

 当社は今後も持株会社としてハンバーガービジネスで培った資産を有効活用し、経営の効率化と機動性の強化を通して企業価値の向上を図ることにより、長期的かつ安定的なグループ企業の成長を図りたいと考えております。

 ⇒なるほど、グループの成長と株主に対する還元ですね。


【ファーストリテイリング】(ユニクロ)

服を変え、常識を変え、世界を変えていく

ファーストリテイリンググループは─

 本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します

 独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します

 ⇒なるほど、服を通じて社会の発展を目指しています。


【キリン株式会社】

 キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、

「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します

 お客様の求めるものを見すえ、自然のもつ力を最大限に引き出し、それらを確かなかたちとして生み出していくモノづくりの技術。私たちは、こうした技術によって、お客様の期待にお応えする高い品質を追求してきました。これからも、「夢」と「志」をもって新しいよろこびにつながる「食と健康」のスタイルを一歩進んで提案し、世界の人々の健康・楽しさ・快適さに貢献していきます。

 ⇒なるほど、食と健康……凄いです。


【オリエンタルランド】(東京ディズニーランド)

自由でみずみずしい発想を原動力に

すばらしい夢と感動

ひととしての喜び

そしてやすらぎを提供します。

 ⇒なるほど、さすがは夢を提供する会社です。


【セブンイレブン】

 私たちは

 いかなる時代にもお店と共に

 あまねく地域社会の利便性を追求し続け

 毎日の豊かな暮らしを実現する

 いつでも、いつの時代も、あらゆるお客様にとって「便利な存在」であり続けたい。 私たちは、地域との信頼関係を築き、価値ある商品やサービスの提供を通じて、皆さまの「生活サービスの拠点」となるよう力を注いでいます。 セブン‐イレブンは、これからも過去の発想にとらわれることなく、時代の変化に柔軟に対応し「便利の創造」に努めてまいります。

 ⇒なるほど、コンビニは「便利」の略なので、それを創造する。感服します。


 このような、自分の使命のような言葉というのは重要なファクターだと考えます。自分の作品を読まれたいと感じるのであれば、どのような根幹を持っているかを見直すのも一つの成功の道ではないかと感じます。


 いかがでしたでしょうか? 「なろう」の世界をビジネスとして捉え、「まだまだPTを取るためにやれることがある!」と思われた方がいらっしゃれば、書いた甲斐があったかなぁと感じております。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 私は現在“3人目”を意識して作品を描いていますが、どのようにすれば私自身が納得出来る“4人目”となれるかが、なかなか見つけられず悩んでいます。 もっと大きな枠組みで見詰めるのも手なのかと考…
[一言] >四人目:ストーリーを完結させ誰に読んでどう楽しんでもらうかを考えている。 これは素晴らしい理念ですね! かくありたいものです!
[良い点] これは大切な要素ですね。 特に4人目の石工。 やはり根底に哲学や理念のある作品は強いです。 そのためにはやはり〝読書〟だけではなく、もっと外に出て、別の世界を持っておくのもいいかもしれませ…
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