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経営戦略を”なろう”に当て嵌めて読まれる作品を作る考察

 まずは経営戦略の本を先に紹介させて頂きます。

・経営戦略ワークブック―会社が元気になる「3ステップ+アクション」河瀬 誠 著 日本実業出版社

 この本は私の中では、かなり上位の読みごたえがあるビジネスワークブックとなります。


 ビジネスの世界ではフレームワークという言葉があります。経営分析をするためのツールのようなものの呼称だと思ってください。有名なところは3C4PやSWAT分析などです。でも、何故それを使うのかという部分に焦点を当てた本は、なかなか見つからないものなのです。それを上手く表現されているのが冒頭に紹介させて頂いた本となります。


 ビジネスというものは結局は世の中のニーズにマッチすれば大抵は成功するので、特にフレームワークなどを考えなくてもセンスがある人なら成功している場合もあるのですが、逆に多くの新規ビジネスにおいて思い付きのように物事をはじめて失敗している例が多いのです。


 信じられないかもしれませんが、ビックリするような思い付き戦略の例を挙げてみましょう。例えば市場は120%成長しているが今年度は自社は100%の売り上げしか挙げていない。だから2年目は120%×120%で144%のポテンシャルがあるから、営業努力の問題であると分析して、まずは値下げセールを展開するとか……


 凄くないでしょうか? まず2年目は144%のポテンシャルがあるといっている時点でビックリです。すでに120%の市場成長で売れていない時点で別の問題があるはずなのに、144%売る事ができると考えている時点でビックリです。そして、その対策が値下げセール……

 あのね……値下げしたら値下げした分、沢山売らないといけないの判ってる? と思わず呟いてしまいます。


 まあ、なんだかんだとあって、事業を成功に導くのは難しいものなのですが、先ほどの例のような変な方向性にしないようにするために、フレームワークを使う事で冷静に判断ができるようにします。しかしながら、そのフレームワークの判断も大抵は自己の都合の良いように使ってしまうので、結論が滅茶苦茶になったりします。よって、フレームワークは何故その分析をしないといけないかを理解する事が重要だったりします。


 それでは「なろう」に繋げていきましょう。書き手様の中には何万字も書いているのに全然読まれないと嘆き悲しんでいる方もいるのではないかと思います。前のエッセイではマーケティング技術を使えば作品のアピールが可能であると書きましたが、マーケティングを利用するまでの工程を本の内容を使いながら書いていきます。


 本では、事業を成功に導くなら、以下の3つの設定が必要である事が示されています。


1 登る山を決める:フレームワークを使って戦略の方向性を決定

2 山頂を描く:仮説思考でビジョンを作る

3 登る道を考える:マーケティング・ビジネスモデル・事業計画書を作る


 そして、これらを私が「なろう」に当て嵌めて、仮説していきたいと思います。


1.戦略の方向性を決定

 本では「登る山を決める」という表現をします。なろうでいうところであれば、各ジャンルやテーマを決めるという事ではないかと考えます。書いてからジャンルを決める人がいらっしゃいますし、それで成功されている方もいらっしゃいますから、私の仮説が正しいとは言いませんが、一般的にビジネスでは、やはり、自身の分析からターゲティングをするということは重要となります。

 つまり、物語を面白くするということは、他の作品よりも面白い作品を書けるネタがあるということだと考えます。そのように考えた時に自分の強みは何か等を考えるベースになるのがフレームワークです。


 フレームワークでの分析では第三者の視点を持って、どのように自身の作品を受け止められているかを冷静に分析する必要があります。


 自分のスタイルが決まっているのであれば、この戦略の方向性がみえているということになります。新しいジャンルやテーマを考える場合は、自分のスタイルに合わせながらターゲッティングをするのが良いと感じます。

 残念ながら、私の場合はまだ修行中の身なので、ランキングという視点でみれば童話作家として一番成績が良く、PVという視点でみればコメディ作家として成績が良いです。PT面からみればお下品作家であり、公募視点で見ればファンタジー作家となり、割烹の視点でみれば絵師と見られるかもしれません。全く方向性が決まっていませんね(笑)

 私のようにスタイルが定まっていないのであれば仕方がありませんが、書きたいものや読み手様が受けるものがわかっているのであれば、それを自身の戦略の方向性として定義するのが良いかと感じています。



2.仮説思考でビジョンを作る

 本では山頂を描くという書き方がされております。これを仮説思考と呼びますが、仮説思考と難しい言葉だと分かりにくいので、私が簡単に書きます。まず、物語を書きあげたところを想像してください。(書いている途中でも問題ありません)

 そして、その作品を読んでいる読み手様を想像してください。その読み手様はどういう表情をしていますか? 読み手様は何を感じて読み進めるのでしょうか? これをペルソナ活動と本の中で呼んでいます。どのような人が読むのでしょうか? 企画読みをするときは、やはり企画を期待されています。私も元々読み手なので企画作品は企画の意図にあっているかという読み方をします。どんなに書き方が上手くても企画意図と違うと残念な気持ちになります。


 つまり、自分の作品を読む読み手様がどのように感じるかを考えるということになります。人によっては、そんなことをする必要はないし、自分の作品は素晴らしいという人もいらっしゃるでしょう。私はそれほど自信があるわけではないので、読み手様が読みやすい作品を作っていきたいと感じます。



3.マーケティング・ビジネスモデル・事業計画書を作る

 ここでは事業計画書はプロットに該当するかと考えていきます。ここはどのような物語をどのように発表していくかと思います。前に書きましたが単に無名という事を何とかしたいというのであれば、マーケティング理論を使った方が手早くて良いと感じます。


 本来ビジネスモデルは、利益を生み出す製品やサービスに関する事業戦略と収益構造の検討になるので、創作という事には関係ないようにも見えますが、これも考え方によっては使えるものです。


 例を挙げると、似たような構成の物語が多いと感じられるジャンルがあるとします。いわゆるテンプレートといわれる作品の乱立です。そこに有名作家様がテンプレートを使って物語を書いたとします。それはオリジナリティがないと皆様は考えるのでしょうか? 私は戦略の一つだと考えます。


 テンプレートは同質化という戦略になります。例えば「ポカ〇スエット」と「アク〇リアス」があったとして、よく似ていると思いませんか? これらにオリジナリティはないかもしれませんが、既に商品として成り立っています。

 そして、同質化戦略には相互の作用があります。ある例を出しましょう。「マク〇ナルド」「モス〇ーガー」の例です。ハンバーガーを広めたのは前者です。でもテリヤキバーガーを作ったのは後者です。絶対王者である前者は追従してきた後者の作品を参考にしました。卑怯だと思われるかもしれませんが、流行や普及については、王者が追従するという事によって発生することもあるのです。


 つまり、世の中には流行があり、それに追従することは一つの戦略として見られます。よって、アイデアを貯めて置き、世の中の潮目を見た時にテンプレートを使って発表するという事も戦略を使った素晴らしいことだと感じます。成功されている方には成功している理由があったりします。それを探すのも一つだと思います。



 いかがでしたでしょうか? ビジネスはある程度のルールの中で売るためになりふり構わない部分もあります。「なろう」の世界をビジネスとして捉え、「PTを獲得するのに、まだまだやれることがある!」と思われた方がいらっしゃれば、書いた甲斐があったかなぁと感じております。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なろうにおける同質化戦略は、ある程度の批判が生まれるものです。 批判を受けた時に、作品へ影響が出ないように書き手が受け止められるかが重要な要素だと思いました。 [一言] ポ●リとアク●リの…
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