表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/23

ビジネスアプローチから「自分のらしさ」を考える

 本エッセイでは「なろうで100ptとれない」という底辺と自称をされている方々に向けて、ビジネス論理を使って何かしらのアプローチができないかという内容をしばしば書かせて頂いています。その中の多くに「顧客」つまり「読み手」様に寄り添う必要があるという話を展開しています。


 そのような事を書くと読んでいる人に媚び諂えこびへつらえと書いていると勘違いされる方もいますが違います。私はあくまでも時間を対価と考えて、ビジネスアプローチする方が自身のエゴで物事を進めるよりも体系的に100ptの到達が早いのではないかという仮説を立てています。それでは今回もビジネスアプローチをしていきましょう。


 ビジネス書のひとつに「スターバックス再生物語」(徳間書房)があります。著者はスターバックスの会長およびCEOのハワード・シュルツ氏です。シュルツ氏は2000年に一度スターバックスのCEOを退任されました。その後のスターバックスは急成長を続け、10年で世界での店舗数は1000店舗から13000店舗になったそうです。ただ、2007年から業績は落ち始めたそうです。


 まず、スターバックスのイメージを皆さんはどのように感じていますでしょうか? おそらくコーヒーを飲みに行くというよりも雰囲気を楽しむ店ではないでしょうか?実際、「どこにでもある一杯のコーヒー」を「他にないもの」にするというのがスターバックスのブランド戦略です。実際にスターバックスではコーヒーバリスタを置いておき、いつでも煎れたてのコーヒーを提供するという事をしています。


 しかしながら、2007年のスターバックスは店舗の展開を広げすぎ、バリスタの教育が間に合わず、作り置きのコーヒーを提供するような事があったといいます。この事を著者は「スタバ体験」を自らコモディティ化したと言っています。コモディティ化とは「市場参入時に高付加価値を持っていた商品の市場価値が低下し、一般的な商品になること」なので、自分の良さを潰してしまった事で売り上げを落としていったと読み取れます。


 そして、シュルツ氏は2008年にCEOに復帰しました。その時に掲げた言葉は以下の通りです。

・「原点回帰」する。歴史を守るのではなく、改革や革新の気風に結び付ける

・過去の間違いは責めない

・戦略や戦術では混乱は乗り切れない。必要なのは情熱だ


 私は本エッセイで戦略や戦術の話を書いていました。それを否定するつもりはありません。ただ、試行錯誤をしていくと、どうしても迷いが生じる事があるのではないかと感じます。その時に必要な言葉は上の3つではないかと考えています。


 原点回帰といっても私自身の事をいうと、なろうで書き手になったのは「感想を書きたかったから」という理由なので、それほど強い始まりではありませんでした。それでも、ご縁を頂けた書き手様の創意工夫をしている姿をみて、私もコンテストに応募したりして色々と楽しませて頂いています。


 人によっては自分が書きたかった事を書いても全然だめで、テンプレートを使った方が読み手様の反応が良かったという人もいるかもしれません。ただ、小説を書き始めた時に書きたかったという話があるなら、自身が色々と試した結果を顧みてもう一度「原点回帰」をするのも一つの手段ではないかと感じています。


 たかが小説を書く話じゃないかという人もいるかもしれません。ただ成功する人はやはり情熱が高いのではないかと感じています。あるエピソードを紹介します。

 シュルツ氏が真剣に改革を行っていた時にコンサルタントがシュルツ氏に言いました。

「たかがコーヒービジネスじゃないか?」

 しかしながら、シュルツ氏は以下のように言ったそうです。

「スタバは人々にコーヒーを提供するコーヒービジネスではない。人々にコーヒーを提供するピープルビジネスなのだ。スタバの文化を守るという無形の価値を理解してない」


 私はこの中で「ピープルビジネス」であるという言葉に感動しました。なろうも読み手様がいて成り立つピープルビジネスと置き換えれるのではないかと感じています。ピープルビジネスだからこそ、読み手様の事を考えながら、原点回帰をするのがいいのではないかと感じています。書き手の方は自分の書いた物語を読んでもらいたいという部分がるのではないでしょうか?


 先程テンプレートの話をしましたが、自分の本質を見失うことがないように、人気のテンプレートに自分の色をつけて書く事も一つのピープルビジネスのアプローチだと私は感じます。そして、自身の文章を読んでくださる本当の読み手様が出来てから、テンプレートから外しても自分が書きたかった事を書いてもいいかと感じます。この考え方は守破離ですね。


 では、自分が書きたかったというのは、どのような事なのかという定義は難しいのですが、それについてマズローの究極の欲求である「自己実現」段階が近いかと感じています。ただ、この概念は前のエッセイにも書いていますが超越した欲求という難しい表現なので、到達点が類似しているというチクセントミハイ氏が提唱する「フロー体験」の説明がわかりやすかと感じます。


 このフロー体験とは「あっという間に時間が過ぎてしまう夢中になる事」という定義がされています。思いついた内容を書いていたら時間が一瞬に過ぎてしまった事などがあれば、それはフロー体験をしている事になります。そして驚く事にチクセントミハイ氏はフロー体験を産む方法を提唱しています。


・具体的な行動を必要とする明確な目標がある事

・行動した結果のフィードバックが直ぐに得られ、上手くいったかが直ぐにわかる事

・自分のスキルレベルとその挑戦レベルが高いレベルで釣り合っている事


 上記3つの条件が満たされると、フロー体験に突入するらしいです。いわゆる夢中になるという状況に達するということです。


 この条件は凄く重要なことだと思います。よく書き手様でポイントをクレクレする人がいますが、これは「行動した結果のフィードバックが直ぐに得られること」を手にしようとしている事になります。それではあと2つですが、具体的な行動を必要とする明確な目標がある事とはどういうことでしょうか? 私はこれが原点回帰……つまり「らしさ」だと思っています。


 そして、このフロー体験は受動的な生活を行うのではなく、能動的な生活を贈っている人の方が多く得る事ができるとあり、自分から進んで好きな事をしている人の方がフロー体験を多く得る事ができると言われています。


 自身の方向性に迷っている方がいるのであれば、行動した結果のフィードバックが直ぐに得られる友人を持ち、具体的な行動を必要とする明確な目標を建て直せば、フロー体験により作品が書けるかもしれません。ビジネス書で書かれている事は意外と小説分野でも当て嵌まるのではないかと考えています。


 いかがでしたでしょうか? 「なろう」の世界をビジネスとして捉え、「まだまだPT獲得にやれることがある!」と思われた方がいらっしゃれば、書いた甲斐があったかなぁと感じております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >・戦略や戦術では混乱は乗り切れない。必要なのは情熱だ メッチャいいこと仰る( ˘ω˘ ) 私も情熱は何より大事だと思っています!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ