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ベンチャービジネスのやり方をなろうに展開するのも面白いかもしれません

 ベンチャービジネスというと難しいと思うかもしれませんが、ベンチャービジネスとは大企業では手を出したがらないような冒険的・野心的な事業の事を示します。


 皆さんはベンチャービジネスって危ないイメージがあると思うかもしれませんが、GoolgeやAmazonなどは20年前は今のように有名ではありませんでした。しかし今では社会インフラとして重要な位置を占めています。Googleは1998年の創業なので、当時はベンチャー企業であったといえると思います。


 近年の起業はいわゆるスタートアップといわれるものが多いです。日本では銀行の融資などが基本となっているので、あまり馴染みがないのではないかと思いますが、最近はクラウドファンディングなどでスタートアップが認知されだしました。既にアメリカなどではカルフォルニア州のサンノゼに起業家のスタートアップ支援をする場所があり、投資家が設け方を教えたりしています。日本では渋谷にスタートアップ支援施設が出来ています。


 雑談はさておき、今回ベンチャービジネスの手法を取り上げたのは、既に沢山の書き手様がいるなろうの世界に飛び込むのが、起業に似ているのではないかと考えたからです。


 では、どうすればいいのかという話になるのですが、スティーブン・G・ブランク著の「アントレプレナーの教科書」に書かれています。この本は、従来の「製品開発モデル」である以下の

1.コンセプトをつくる

2.製品開発し、テストをする

3.販売を開始する

という手法は「顧客が買うかを検証していない」と新規事業開発について否定をしています。


 ここで毎回無料である「なろう」で買う買わないの話は変だと言われる方がいますので、私の考え方を再度書きます。私は「時は金なり」の考え方を持っており、時間という対価を支払うかどうかを考えないといけないという持論を持っています。その面で「なろう」をビジネスとして捉える事ができると考えています。


 話を戻しまして「アントレプレナーの教科書」では、「製品開発ではなく顧客開発をしろ」と言っています。そもそも新商品の役割は「顧客に新しい価値を提供する事」としており、以下のように断言しています。

・成功する商品は、顧客が価値を認識して買う。

・失敗する商品は、誰も価値を認識せず買わない。


 そして、 数多くの顧客ニーズに対応するのではなく、本当に買う顧客が存在するかを検証し、その顧客を開発する必要があり、3つの事を考えるようにと示しています。

・自社商品が解決する顧客の課題は何か?

・顧客は課題を重要で切実と思っているか?

・どうすれば、その顧客に到達できるか?


 いままで書いたことを単純に『なろう』流に時間を対価として、読み替えて考えてみましょう。

・読まれる作品は、顧客が時間をかけて読んでも良いと認識するものである。

・作品の要素として読み手様の満足度をあげるものは何か?

・読み手様は何で満足したいと思っているか?

・読んで感想を聞ける読み手様に出会うことが出来るか?


 なかなか興味深い内容に変わったかと思います。私はこれに対応するものとして、なろう内で行われているイベントに参加するのが良いと感じています。イベントとはテーマを元に小説を書いてみようというものであり、感想を頂ける場合もあります。それにより、自分が考えている現状と理想のギャップを見出せるかもしれません。


 さらに「アントレプレナーの教科書」では商品開発においての勘違いも3つ書いています。

勘違い1.全ての顧客ニーズを理解しようとする。

勘違い2.顧客の要望リストの内容をそのまま開発する。

勘違い3.顧客を集めてインタビューをして買うかどうかを確かめる。


 ここで「え?」っと思われたのではないでしょうか? 顧客の言うとおりのものを商品にすれば売れるんじゃないのと思われた方が多いのではないかと思います。実はポイントとして「あったらいいけど、買うかどうかは別」という事を示しているのです。「なろう」に置き換えると、1は不特定多数を望まずに確実に読んで頂ける読み手様を対象にする事。2は確実に読んでもらえる人の要素をいれる。3は実際に読む人にインタビューをすることが、勘違い対策になるのではと思います。

 このことは、しっかりとしたポリシーがあるなら感想欄で否定されても挫ける必要はないという事も表しています。


 そして、「アントレプレナーの教科書」では次のように結論付けています。「新製品を成功させるために必要な事は、素晴らしい製品を開発する事だけではない。顧客に幅広く意見を聞く事でもない。どうしてもその商品が必要だという少数の顧客を見つけ、唯一無二の選択肢になる事であり、その後に顧客の範囲を広げるべきである」


 さて、毎回で申し訳ありませんが、本エッセイは「底辺と嘆いている人が100ptを目指す」という事をベースにしています。このエッセイを読まれた方は「なんで自分の小説は面白いのに誰も読まないのか?」と考えている方がいるのではないでしょうか?


 それであれば、一度イベントに参加して自身が書きたい話を派生させて、イベント条件を満たす物語を書いてみるのは如何でしょうか? 企画に参加していきなり物語なんて書けないと言う方にもう一つスタートアップの考え方で有名な本をご紹介します。


 エリック・リース著書の「リーンスタートアップ」です。ここで書かれているのは「顧客にメリットを提供しない活動は全て無駄」という考えのもと、顧客からの学びを重視し、無駄を徹底的に省いて新規事業を立ち上げるという内容です。ここでは「実用上必要最低限の機能をもった製品」を早く作り検証をしろとも言っています。最近流行りのプルーフオブコンセプト(PoC)というものです。


 最初から完璧を目指す工数は全て無駄であり、まずは粗削りでも顧客に突き刺さる事。そして、その後に改善のループを回して完成させるということを目指すべきであると書いています。


 では、すこし厳しい書き方になるかもしれませんが、「なろう」流に解釈してみましょう。言い換えると……「自己満足で読み手様が時間という対価を使いたいと思わない作品は全て無駄」という事になります。そして、「少人数でも自分の作品を読んでくださる読み手様に刺さる作品を書いて、それにより得た経験で新たな作品を書きましょう」という事になります。


 最後に私の経験を書きます。私が書いた処女作のヒューマンドラマの長編は完結後の結果は30pt程度だったと思います。次に書いたSF短編も30pt程度だったと思います。その後、コメディの長編を書いていましたが、途中にたまたま漫才・コントイベントに参加をしました。


 漫才・コントのイベントで作品を見てくださった方が、コメディ長編を読んで下さり10万PVの完結ブーストをする作品となり、PTも500PTを超えました。その後、ご縁を頂けた方が多く参加する過去作品イベントで処女作を出したところ、500PTを超える事もできました。短編という事もありPVは2000以下ですが、対PV比率で考えると大きな数字になります。


 さらに全く宣伝をしていない処女作はいつの間にか100ptを超えています。これらは私は狙って実践した内容ではありませんが、今思い返せば私自身が顧客開発のプロセスを踏んだのではないかと感じています。ただ、そもそも私が小説を書いていた人間ではないこともあり「実用上必要最低限の機能をもった製品」のような粗削りの作品だらけという状況でもあります。それでも作品の多くを100pt超えていますので、今回のエッセイは参考になるのではないかと感じています。


 いかがでしたでしょうか? 「なろう」の世界をビジネスとして捉え、「まだまだPT獲得にやれることがある!」と思われた方がいらっしゃれば、書いた甲斐があったかなぁと感じております。

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― 新着の感想 ―
[一言] >「少人数でも自分の作品を読んでくださる読み手様に刺さる作品を書いて、それにより得た経験で新たな作品を書きましょう」 これはいい手法ですね! 急がば回れの精神ですよね!
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