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13/23

ビジネスの行動心理学からみた「なろう」のアプローチを考えてみましょう

 私はこのエッセイで、ビジネスの技を応用して底辺から脱出してみましょうという話を書き綴っていますが、今回は行動心理学でのアプローチを考えてみたいと思います。


 行動心理学とはアメリカの心理学者ジョン・ワトソンが提唱している「行動や仕草のパターンから心理を研究する」というもので、ビジネスマーケティングでも使われます。有名どころでは「吊り橋効果」などがあります。「吊り橋効果」をご存じありませんか? 気になる人をお化け屋敷などでドキドキするところに連れて行けば、恐怖のドキドキを恋愛だと勘違いしてくれるかもしれないとかいう一種の技のようなものです。


 もちろん、全ての人に当て嵌まるというわけではありませんが、ある一定のアクションで似たようなパターンでの行動を起こす場合が多いという話であり、ビジネスでもよく使われます。ハーバード大学の教授で脳科学、心理学、マーケティングの3つの分野に精通しているジェラルド・ザルトマン氏が「人間の思考や行動の95%は無意識下で行われている」と提唱しており、販促活動にも当然反映するべきであるとも主張していることが起因となっています。


 難しい話かなと思われると困るので例えを出す方が分かり易いと思います。例をみれば「ああ!」と思う事も多いと思います。



・カクテルパーティ効果

 たくさんのグループが雑談している中で気になるキーワードをキャッチした瞬間に、そのグループの会話が聞き取れるようになるという効果です。広告などでは「我慢しなくてもできるダイエット」のキャッチコピーが当て嵌まります。これはダイエットに失敗した人が我慢というキーワードに反応するというものです。このように人は無意識で色々なワードに反応してしまいます。


 実は「なろう」では、タイトルでカクテルパーティ効果が良く使われていると私は思っています。「なろう」は確かにジャンルが分かれており好きなジャンルを読むことができますが、殆ど毎日のように新しい物語が投稿される中、どのようにして作品を選ぶでしょうか? 基本的に外れを引きたくないので、ランキングから選択する場合が多いとは思います。このランキングにカクテル効果を用意している場合が多いのです。


 ジェラルド・ザルトマン氏によると、人が物を買う時には7つの段階があると言われています。具体的には、「注意」「興味」「連想」「欲望」「比較」「確信」「決断」となります。

 つまり、人は初めて商品に接触するとき、注意・興味を引かれ、自分の生活にどんな良いことがあるのかを連想し、考えたあげく欲望が生まれ、他と比較し確信に至り、最終的に買うと決断します。


 購買の話をそのまま読者が読む決断までの過程と考えてみましょう。最初は作品タイトルを確認することになりますので、そこに興味を持たせてる事ができれば、数多くの作品の中から読まれる可能性を増やすことができるというのが結論です。


 例えば、タイトルを長くする意味は、読み手様の興味をわかせる事が一番重要なことであるという事です。なんとなく長いタイトルをつければよいと考えるのではなく、どのように書けば読み手様がまず覗いてみようと思えるかという意識を持つだけでも作品が選ばれるかどうかの違いが出てくるのではないかと感じます。



・認知的不協和

 これは「人は矛盾する考えや行為(認知)を同時に抱えると、ストレスを抱えてしまうため下手な言い訳でも屁理屈でもいいから自分を説得にかかる」という行動心理を示します。

 お酒が好きだけど健康が気になるという時に、糖質0発泡酒というようなものがあると手に取りたくなりますよね。糖質0だから大丈夫という行動心理が働きます。


 最近の「なろう」では、「ざまぁ」系や「もう遅い」系、「最初は無能で後でチートで無双」というような話が好まれます。これは「認知的不協和」を上手く使っているのだと考えます。つまり、程よいストレスを与えてそれが解消できるという部分が好まれているという事です。そのような要素を物語に盛り込むと良いかもしれません。



・ツァイガルニク効果

 これは「途中で話をやめられると気になって仕方がなくなってしまう」行動心理を示しています。よく広告で使われるのは、「〇〇成分が凄い!」というキャッチコピーのWeb広告です。思わず見に行ってしまいますよね。これは物語でいうところのフラグでしょうか? 少し隠されているというのがポイントとなります。タイトルである程度きになるという状況を作る事ができれば、この効果を使いこなしているといえるのではないでしょうか?



・バーナム効果

 これは「ある程度誰にでも当てはまる事象を自分のことだと思ってしまう」行動心理を示しています。「最近疲れがたまったと感じませんか?」というような広告を見たことがありませんか? 古典的な手法ですが、重要なポイントとして「自分の事だ」と思わせる事です。例えば転生前の状態がブラック企業に働いていたという設定だとすると、共感を得られれば読者を掴むことが出来るかもしれません。



・返報性の原理

 これは「人から何かをもらったり何かをしてもらったりすると、お返しをしなければと思ってしまう」という行動心理です。だからといって見返りを求めて感想を書いたりポイントをいれるのは、あまり気持ちの良い話ではありません。

 しかしながら、普段から他の書き手様の小説を読んで感想を書いたり、ポイントを入れたりしないで、自分の小説には自然とポイントが入るものなのかと私は感じています。

 結果的には私も「返報性の原理」を使っているのかもしれませんが、読まれるための努力という話であれば、そのようなコミュニティも大事だと考えています。



・単純接触効果

 これは「毎日のようにみているうちに覚えてしまう」という行動心理学です。これは毎日投稿するのが良いという話に近くなると感じます。人気の書き手様はやはり毎日のように投稿されている方が多いです。私は底辺を嘆いている方は、一番この部分を外しているような気がしています。



 今回ご紹介した行動心理は購買心理の「注意」「興味」に訴えかけるもので。このように行動心理を使う事で自分の作品をまず見てもらうということができるかもしれません。多くの書き手様はこれらの事を自然に実践していたりしています。


 「注意」「興味」「連想」「欲望」「比較」「確信」「決断」を上手く読み手様に訴えかける事ができれば、読まれる作品になるのではないかと感じています。


 いかがでしたでしょうか? 「なろう」の世界をビジネスとして捉え、「まだまだPTを獲得するのにやれることがある!」と思われた方がいらっしゃれば、書いた甲斐があったかなぁと感じております。 

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― 新着の感想 ―
[一言] やはり毎日更新は強いですよね( ˘ω˘ ) 私には一生無理そうですがw
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