表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/23

ビジネスも小説も企画勝負であるなら同じ手法が使えるはずです

 ビジネスにおける仕事の開始は企画が承認される必要がある場合が多いです。企画とは、「議論の過程の一つで特に単発的な新規の事柄を計画することや、その議論によって行われる催し物」(by Wikipedia)を示しており、企画部の方々はいつも頭を悩ませています。小説を書くということは新しい物語を作ることなので、結局は同じ手法を使っても良いのではないかというのが今回のエッセイの趣旨となります。


 新しい物語を作るという話になるとアイデアでしょう? それなら才能の問題だ! と言われる方もいますが、ビジネスの世界では企画部署があり、一人の天才を要するわけではなく、学生の頃から企画経験がない人が配属しています。つまり、この事実は企画は才能ではなく、経験とスキルであることを示しており、訓練次第で企画業務を行うことが出来るという事となります。


 ただ、ビジネスにおいては「付箋に思いつくままにアイディアを書き出していって、後からその付箋をグループ分けして要らないものをそぎ落とし、残ったものを順序よく並べて整理するKJ法」や「与えられたテーマに対して、数人のメンバーでアイデアを自由に発言するブレインストーミング」など、比較的人数をかけて組織的にアイデアを捻りだす手段などもよく使われている事も事実です。


 では、企画業務と一人で行わないといけない小説の創作は結び付かないのではないかというと、そうではありません。ビジネスにおいてアイデア出しは、期限が決まっていますので何かしら捻りだすという事をします。その時に使うのは「オズボーンのチェックリスト」です。アイデアで広告会社の代表を務め、アイデアの引き出し方を体系的に研究したアレックス・オズボーンという人物が、アイデアに困った時に自問自答していたチェックリストなのですが、これが非常に優れています。


 この手法は、アイデアが出ない時に無理矢理アイデアをひねり出す、アイデア抽出の手法となります。強引な手法ですが、発想の飛躍ができるので、思いも寄らないアイデアが生まれることもあると言われています。オズボーンのチェックリストは 9 項目から成り立っており、その内訳は以下の通りです。


・転用/他の用途(Other Use):他の使い道はないか?

・応用/マネ(Adapt):他からアイデアを借用できないか?

・変更(Modify):変えてみるとどうなる?

・拡大(Magnify):大きくしたらどうなる?

・縮小(Minify):小さくしたらどうなる?

・代用(Substitute):他に代用できるものはないか?

・置換/入れ替え(Rearrange):入れ替えてみたらどうなる?

・逆転(Reverse):逆さにしてみたらどうなる?

・結合(Combine):組み合わせてみたらどうなる?


 この9項目をみて、あれ? と思われた方はいませんか?  そうです……「なろう」で使われています。

 基本的にテンプレートの受けが良い「なろう」の世界において、この内容はうまく作用するのではないかというのが私の中にあります。


 昔からある話であれば、置換のアイデアなどは魂の入れ替えなどに使われています。拡大のアイデアなら防御力に極ぶりする人気小説がありますし、逆転のアイデアは追放モノでしょうか? 魔法に銃を組み合わせたり、異世界から代用物をとってきたりと実は、この手法をそのまま使うことができます。


 ここまで来ると、あとは自身のナレッジ(知識)ベースの世界に引き込むことができれば、お話を続ける事ができるようになると考えます。ナレッジと書くと非常に難しいと思われるかもしれませんが、意外と皆様はやっています。例えば料理が好きなら料理を「異世界もの小説」や「恋愛もの小説」に展開、ゲームが好きなら世界観をゲームの世界に変更する、地域の事に詳しければ逆転移をさせて小説に登場させてみる等……読んだことがありませんか?


 特にライバルが少ないナレッジは自分の武器になります。テレビなどでも医療ドラマやガードマンのドラマなどが受けが良かったりするのは、知らないナレッジが展開されるところに面白みがあるのかもしれません。なので、もし人よりも少し詳しいというナレッジがあるのであれば、それを小説に展開するのがいいのではないかと感じます。


 それでは、ナレッジをオズボーンのチェックリストに照らし合わせて発想に結び付けるにはどうすればよいのでしょうか? 諸説様々ありますが、一般的に以下の3つが効果的だと言われています。


・瞑想する

・音楽を聴く(歌詞無しを推奨)

・遊ぶ


 瞑想というとスピリチュアルなイメージがありますが、Google社が実際に瞑想を導入するなど効果が期待されています。この瞑想は「マインドフルネス瞑想」という種類のものになり、いったん頭で考えている事を取っ払って、呼吸などに集中するというものになります。私はこれを睡眠以外に行う脳の整理だと考えています。人間の脳には膨大な情報量が入ってくるため、睡眠という時間を使って脳の整理が行われているといわれていますが、これを瞑想により睡眠以外の時間に実施することで考えがまとまりやすくなるという事ではないかと想像しています。


 音楽を聴いたり遊んだりするのも、脳で考えてグルグル回ってしまっている思考を一旦取り除いて、スッキリさせることにより、発想が思い浮かぶというものだと思っています。つまり、何かしらのヒントがあり、ぼんやりとしたインプットが入ったらとりあえずメモをとっておいて、寝るか瞑想をすればよいということなのではと感じています。そうすると脳が上手く整理をし、オズボーンのチェックリストで生み出した新しいアイデアを受け入れるスペースができるのではないでしょうか?


 アイデアが行き詰まっているなら、あまり考えずにまずはテンプレート作品をプロットしてみる。プロット作品に対して、オズボーンのチェックリストで味付けをしていくで良いのではないかと考えます。同じお味噌汁でも味付けによって全然違いますが、でも皆さんお味噌汁っていいますよね? ラーメン屋という麺とスープと具材の組み合わせなのに人気店とそうでない店がありますよね? 世の中に全くない新しい作品を作らなくてもよいのではないでしょうか?


 このような考え方でビジネス発想は行われていたりします。実は自身のちょっとしたナレッジが上手く小説の執筆に当て嵌まるかもしれませんね。


 いかがでしたでしょうか? 「なろう」の世界をビジネスとして捉え、「まだまだPT獲得にやれることがある!」と思われた方がいらっしゃれば、書いた甲斐があったかなぁと感じております。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] マインドフルネスは一度試そうかと検討したことがありますが、依存性があるなどデメリットが懸念されるので断念しました……
[一言] >ラーメン屋という麺とスープと具材の組み合わせなのに人気店とそうでない店がありますよね? 世の中に全くない新しい作品を作らなくてもよいのではないでしょうか? なるほど! 美味しいラーメンが作…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ