Dead zone
見つかった!
不覚だった。こちらは丸腰。異臭の元を偵察に来た俺は全速力を持って逃げ出した。もっと死角を活用して動かねばならなかった。己の慢心を悔いたところでもう遅い。
パンッ!
甲高い音がして一瞬前まで俺が居た地面がえぐれる。
やつらの装備は完璧だ。俺一人でどうにかなるレベルじゃない。そう判断した俺は咄嗟に通路の影に隠れた。
自分の身体が未だに無傷であることを確認する。油断は禁物──そう思って居た矢先だった。
突然、俺の頭上に光が射し込んだ。
「っっっ……!?」
驚愕。なんてやつらだ。やつらは基地の天井を取り外したのだ。逃れようと駆け出すがもう遅い。
毒ガスが襲来する。呼吸を止めて離脱しようともがくが執拗に噴霧は続く。マスクをしているやつに影響はないらしい。防備を盾にした卑劣な攻撃だ。
(限界……か……)
広範囲に噴霧されたガスを、俺はついに吸い込んでしまった。
思えば悪くない生き方だった。
辛い記憶も多い。罠にかかった仲間を見捨てての遁走。終わらない戦禍の中で涙を飲んで仲間の屍肉を喰らったこともあった。
しかし、それでも数多くの兄弟と共に過ごした日々。家族を守っているという実感が俺を幾度となく奮い起たせた。
それも、もう終わり──か
悪くない。しかしまだ、だ。
俺はまだやつらに一矢を報いていない。
「うおぉぉ!」
俺は最後の力を振り絞り、強く床を蹴った。
「いやぁ!!!? ご…ゴキが、ゴキが顔にぃぃぃぃぃぃいぃぃっ!?!?!?!?」
私は食べ差しのカップ麺が置いてあるにも関わらず死に体のそれに向かって殺虫剤を振り回した。
『人』って単語を使わないようにしたら何度か詰まった。便利なんだなぁ 人って




